君の速度で
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そっと隣りに並ぶ仙道を仰ぎ見る。
最近ではこんなふうに一緒に歩く機会も増えたけれど、やはりこうしてみると、仙道はとても大きい。
広い背中をそっとのぞき見て、なんとなく頬をほころばせていると、仙道がそんな結花に気づいた。
おかしそうに眉尻を下げて微笑んでくる。
「どうしたの? オレの背中になんかついてる?」
「あ、いえ。広くて大きな背中だなぁと思って」
「はは。ありがと。頼りがいあるでしょ?」
「見た目はばっちりです」
「あはは、見た目だけ? ひどいなぁ」
軽口を叩きあいながら歩く体育館への道のりはあっというまだった。
仙道と別れて、結花は二階へ向かう。
もうすでにそこには多くの女の子たちがバスケ部の練習を見学に来ていた。
(す、すごい……。試合があるわけでもないのに、こんなに人がいるんだ……)
半分圧倒されながらも、一番前の席になんとか空いた席を見つけて、身を乗り出すようにして仙道の姿を探す。
特徴的なツンツンヘアーは、離れたところからでもすぐに見つけることができた。
仙道もこちらに気付いて、にこにこと下から手を振ってくる。結花もそれに笑顔で手を振り返した。
仙道が、良く通る声で集合の合図をかける。
はじめて見る、部員たちに指示を出しながら練習に励む仙道の姿。まるで別人みたいで、なんだか結花の胸を落ち着かなくさせた。
どきどきと、心臓がもどかしい速度で加速する。
その騒がしい鼓動に戸惑いを覚えながらも、結花は一生懸命バスケをする仙道の姿から目を離せないでいた。
気づくと、部活が終わっていた。
結花は慌てて荷物をまとめて一階へ降りる。
楽しかったと、誘ってくれたことにお礼を言って帰ろうとしたら、送ってくれると仙道に引き止められた。
また結花の心臓が忙しなく動き始める。
(ど、どうしちゃったの、わたし……)
自分の感情を持て余しながら仙道が仕度を終えるのを待って、帰ろうと声をかけてきた仙道の横に並ぶ。
そっとその顔を仰ぎ見た。
よく知っている人のはずなのに、まるで今日はじめて会う人のように、結花の体が緊張する。
「……どうしたの?」
結花の様子に気づいた仙道が、怪訝な表情で結花を見た。
「い、いえっ。なんでもないですっ」
ビクッと肩を跳ね上げさせ、上ずった声で返事をする。
(し、しまった……)
けれど仙道はふうんと不思議そうに首を傾げただけで、何事もなかったかのように他愛無い話をはじめた。
その気遣いにホッと安堵しながら、結花はもう一度こっそり仙道を窺い見る。
再び心臓が飛び跳ねた。
(な、なんで……)
自分で自分がどうなってしまったのかわからない。
つい数時間前まで普通に話をしていた相手なのに、どうして突然顔を見るだけでこんなにも心臓がうるさく騒ぎ立てるようになってしまったのだろう。
仙道のいる側の皮膚がちりちりと熱い。
顔を見ることが出来ない。
「結花ちゃん?」
最近ではこんなふうに一緒に歩く機会も増えたけれど、やはりこうしてみると、仙道はとても大きい。
広い背中をそっとのぞき見て、なんとなく頬をほころばせていると、仙道がそんな結花に気づいた。
おかしそうに眉尻を下げて微笑んでくる。
「どうしたの? オレの背中になんかついてる?」
「あ、いえ。広くて大きな背中だなぁと思って」
「はは。ありがと。頼りがいあるでしょ?」
「見た目はばっちりです」
「あはは、見た目だけ? ひどいなぁ」
軽口を叩きあいながら歩く体育館への道のりはあっというまだった。
仙道と別れて、結花は二階へ向かう。
もうすでにそこには多くの女の子たちがバスケ部の練習を見学に来ていた。
(す、すごい……。試合があるわけでもないのに、こんなに人がいるんだ……)
半分圧倒されながらも、一番前の席になんとか空いた席を見つけて、身を乗り出すようにして仙道の姿を探す。
特徴的なツンツンヘアーは、離れたところからでもすぐに見つけることができた。
仙道もこちらに気付いて、にこにこと下から手を振ってくる。結花もそれに笑顔で手を振り返した。
仙道が、良く通る声で集合の合図をかける。
はじめて見る、部員たちに指示を出しながら練習に励む仙道の姿。まるで別人みたいで、なんだか結花の胸を落ち着かなくさせた。
どきどきと、心臓がもどかしい速度で加速する。
その騒がしい鼓動に戸惑いを覚えながらも、結花は一生懸命バスケをする仙道の姿から目を離せないでいた。
気づくと、部活が終わっていた。
結花は慌てて荷物をまとめて一階へ降りる。
楽しかったと、誘ってくれたことにお礼を言って帰ろうとしたら、送ってくれると仙道に引き止められた。
また結花の心臓が忙しなく動き始める。
(ど、どうしちゃったの、わたし……)
自分の感情を持て余しながら仙道が仕度を終えるのを待って、帰ろうと声をかけてきた仙道の横に並ぶ。
そっとその顔を仰ぎ見た。
よく知っている人のはずなのに、まるで今日はじめて会う人のように、結花の体が緊張する。
「……どうしたの?」
結花の様子に気づいた仙道が、怪訝な表情で結花を見た。
「い、いえっ。なんでもないですっ」
ビクッと肩を跳ね上げさせ、上ずった声で返事をする。
(し、しまった……)
けれど仙道はふうんと不思議そうに首を傾げただけで、何事もなかったかのように他愛無い話をはじめた。
その気遣いにホッと安堵しながら、結花はもう一度こっそり仙道を窺い見る。
再び心臓が飛び跳ねた。
(な、なんで……)
自分で自分がどうなってしまったのかわからない。
つい数時間前まで普通に話をしていた相手なのに、どうして突然顔を見るだけでこんなにも心臓がうるさく騒ぎ立てるようになってしまったのだろう。
仙道のいる側の皮膚がちりちりと熱い。
顔を見ることが出来ない。
「結花ちゃん?」