君の速度で
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「そ、友達」
「……あ、そ……」
あっけらかんとした調子で言うと、祥子が呆れたようにため息をこぼして、仙道先輩に同情するわと疲れた声音で呟いた。
結花は、なんだかバカにされているような気がしておもしろくなくて、なにようと拗ねたように唇を尖らせた。
朝練の帰り、仙道は今日も結花の顔を見に行った後、自分の教室へと入っていった。
既にそこにいた越野が、仙道を見つけて近寄ってくる。
「よお、仙道。今日もあの子のとこに寄ってたのか?」
「うん。今日もかわいい笑顔に癒されてきた」
「そりゃよかったな」
朝からだらしない顔で笑う仙道に、越野が適当な相槌を打つ。
その態度に仙道は不満げに口をすぼめた。
「なんだよー、越野ー。真剣に聞いてよ」
「あー、もううるせえな! そう毎日毎日お前ののろけばっかり聞いてられるかよ! そもそもそのゆるみきった顔なんとかしろよな、気色悪ぃ!」
「うわ、ひどい越野! 去年は去年で女遊びばっかしてんなとかひとりに絞れとか散々言ってきたくせに!」
いざひとりに絞った途端、また新しいお小言が開始されるとは。
明らかに納得のいかない状況に、仙道はぶーぶーと抗議する。
「はいはい、もうわかったからそのブタみてぇな声やめろ」
「ちぇっ」
「にしても、よく続くよなぁ……。もう一ヶ月ちょっとか? あの子んとこ行くようになってから」
「ん、そう。よく覚えてるね、越野」
「そっからお前のこののろけの日々が始まってるからな。嫌でも深く記憶に刻みつけられてんだよ」
心底嫌そうに顔を歪ませる越野に、仙道はあははと軽快に笑う。
途端越野からギロリと鋭い視線が飛んできて、仙道はひゃっと体を小さくさせた。
「で、どうなんだよ」
越野ががらりと調子を変える。
「脈、ありそうなのか?」
「うーん。相変わらずかなぁ」
真剣な表情で問うてくる越野に、仙道は飄々と返した。
越野がそんな仙道を一瞥して、言いにくいのをごまかそうとするように目を伏せる。
「ふうん……。なあ。こういっちゃなんだけれど、もう諦めたらどうだ? 一ヶ月も通って反応ないなんて、もう見込みないも同然だろ」
声を低くして抑揚なく言う越野を見て、仙道は目の端に優しさをのぼらせた。
(ほんと、なんだかんだでいいやつ)
結局なにかと文句を言いながらも、越野は仙道が心配で心配でしょうがないのだ。
不器用な友情に胸をくすぐられ、仙道はくつくつと喉の奥で笑いをかみ殺しながら言う。
「ありがと、越野。でも大丈夫。これも計算のうちだから」
「あ、計算?」
「そう。結花ちゃん、たぶん恋愛にうといんだよ。オレの見たところ、おそらく初恋もまだだと思うな。だからオレも急がないで、ゆっくり結花ちゃんのペースでオレを好きになってもらいたいんだ」
「……へえ」
越野が驚いたように目を見開く。
「なんか、お前がマジメだと調子狂うな。ちょっと前まで、恋愛にオクテなやつは相手にしないとか、フランクな付き合いだけで充分とか言ってたくせに」
「……あ、そ……」
あっけらかんとした調子で言うと、祥子が呆れたようにため息をこぼして、仙道先輩に同情するわと疲れた声音で呟いた。
結花は、なんだかバカにされているような気がしておもしろくなくて、なにようと拗ねたように唇を尖らせた。
朝練の帰り、仙道は今日も結花の顔を見に行った後、自分の教室へと入っていった。
既にそこにいた越野が、仙道を見つけて近寄ってくる。
「よお、仙道。今日もあの子のとこに寄ってたのか?」
「うん。今日もかわいい笑顔に癒されてきた」
「そりゃよかったな」
朝からだらしない顔で笑う仙道に、越野が適当な相槌を打つ。
その態度に仙道は不満げに口をすぼめた。
「なんだよー、越野ー。真剣に聞いてよ」
「あー、もううるせえな! そう毎日毎日お前ののろけばっかり聞いてられるかよ! そもそもそのゆるみきった顔なんとかしろよな、気色悪ぃ!」
「うわ、ひどい越野! 去年は去年で女遊びばっかしてんなとかひとりに絞れとか散々言ってきたくせに!」
いざひとりに絞った途端、また新しいお小言が開始されるとは。
明らかに納得のいかない状況に、仙道はぶーぶーと抗議する。
「はいはい、もうわかったからそのブタみてぇな声やめろ」
「ちぇっ」
「にしても、よく続くよなぁ……。もう一ヶ月ちょっとか? あの子んとこ行くようになってから」
「ん、そう。よく覚えてるね、越野」
「そっからお前のこののろけの日々が始まってるからな。嫌でも深く記憶に刻みつけられてんだよ」
心底嫌そうに顔を歪ませる越野に、仙道はあははと軽快に笑う。
途端越野からギロリと鋭い視線が飛んできて、仙道はひゃっと体を小さくさせた。
「で、どうなんだよ」
越野ががらりと調子を変える。
「脈、ありそうなのか?」
「うーん。相変わらずかなぁ」
真剣な表情で問うてくる越野に、仙道は飄々と返した。
越野がそんな仙道を一瞥して、言いにくいのをごまかそうとするように目を伏せる。
「ふうん……。なあ。こういっちゃなんだけれど、もう諦めたらどうだ? 一ヶ月も通って反応ないなんて、もう見込みないも同然だろ」
声を低くして抑揚なく言う越野を見て、仙道は目の端に優しさをのぼらせた。
(ほんと、なんだかんだでいいやつ)
結局なにかと文句を言いながらも、越野は仙道が心配で心配でしょうがないのだ。
不器用な友情に胸をくすぐられ、仙道はくつくつと喉の奥で笑いをかみ殺しながら言う。
「ありがと、越野。でも大丈夫。これも計算のうちだから」
「あ、計算?」
「そう。結花ちゃん、たぶん恋愛にうといんだよ。オレの見たところ、おそらく初恋もまだだと思うな。だからオレも急がないで、ゆっくり結花ちゃんのペースでオレを好きになってもらいたいんだ」
「……へえ」
越野が驚いたように目を見開く。
「なんか、お前がマジメだと調子狂うな。ちょっと前まで、恋愛にオクテなやつは相手にしないとか、フランクな付き合いだけで充分とか言ってたくせに」