恋に落ちて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(それとももしかして、さっき目が合った時のわたしの顔がよっぽどひどくて、心配して追いかけてきてくれてるのかな……)
優しい洋平のことだ、充分ありえる話だった。
結花を激しい自己嫌悪が襲う。
最悪だ。きっと結花が洋平と話せることが嬉しかったように、洋平だってきっとあの子と話せることが嬉しいに違いないのに。
心臓がくるったように暴れて、全身が酸素を求めて脈打った。もう体力も限界だった。
「ちょっと待……ってってば、柏木さん!」
「きゃっ」
とうとう追いつかれてしまって、結花は強い力で洋平に腕をつかまれた。
「は、離して」
荒い息をつきながら、それでも顔だけは頑なに前を向いたまま言う。
「もう逃げないって言うなら」
洋平のなにかを抑えているような低い声音に、思わず結花は首を縦に振った。
ゆっくりと、洋平の手が離れていく。
「ね、柏木さん。オレ、なにかした?」
洋平の困ったような声音に、結花の胸がずきんと痛む。
洋平は何もしていない。ただ、結花が勝手にショックを受けただけだ。
結花は洋平にこれ以上心配をかけないよう、なんとか平静を取り繕って、一際明るい声で言う。
「な、なんでもないの。ちょっと用事を思い出しただけ」
「…………。じゃあ、オレの顔をちゃんと見て言ってよ」
ぐいと腕を引っ張られ、結花の体は洋平と向き合う形になった。
それでも顔をどうしても見れなくて、結花は慌てて目を伏せる。
洋平が弱ったようにため息をついた。
「ウソ、つくなよ。柏木さん、午後からなんか様子おかしかっただろ? オレ、気付かねぇうちになんかしちまったんなら謝るよ。――悪かった」
洋平のその言葉に、結花の胸が苦しくなった。
違うのに。ほんとうに洋平はなにもしてないのに。
どうして洋平はこんなに優しんだろう。
結花の悲しみに、苦しみに、洋平はいつだって気づいてくれる。
それに気づいて、いつだって手を差し伸べてくれる。
どうして。
「……好き」
「……え?」
気づいたら、結花の口から想いがあふれ出していた。
きっとこんな気持ち、洋平には迷惑だろう。
でもだけど、止められなかった。
「好き。わたし、水戸くんが好きなの……っ」
優しくて、強くて。今だって、結花のことなどほうっておけばいいのに、それができない。
そんな洋平のことが、すごくすごく好き。
「――っ!」
洋平が息を呑む気配がした。
伏せた顔をあげることが出来ない。
洋平から返る沈黙がこわい。
優しい洋平。きっとどうすればいいか困らせているんだと思うと、胸がつぶれそうだった。
「ご、ごめんなさい」
伏せた瞳から涙が零れ出す。
嗚咽を漏らす喉から、結花はなんとか声を絞り出した。
「水戸くんが好きなのは、さっきのあの女の子……だよね? 水戸くんのこと困らせるつもりなんてなかったのに、わたし……。ほんとうに、ごめんなさい」
優しい洋平のことだ、充分ありえる話だった。
結花を激しい自己嫌悪が襲う。
最悪だ。きっと結花が洋平と話せることが嬉しかったように、洋平だってきっとあの子と話せることが嬉しいに違いないのに。
心臓がくるったように暴れて、全身が酸素を求めて脈打った。もう体力も限界だった。
「ちょっと待……ってってば、柏木さん!」
「きゃっ」
とうとう追いつかれてしまって、結花は強い力で洋平に腕をつかまれた。
「は、離して」
荒い息をつきながら、それでも顔だけは頑なに前を向いたまま言う。
「もう逃げないって言うなら」
洋平のなにかを抑えているような低い声音に、思わず結花は首を縦に振った。
ゆっくりと、洋平の手が離れていく。
「ね、柏木さん。オレ、なにかした?」
洋平の困ったような声音に、結花の胸がずきんと痛む。
洋平は何もしていない。ただ、結花が勝手にショックを受けただけだ。
結花は洋平にこれ以上心配をかけないよう、なんとか平静を取り繕って、一際明るい声で言う。
「な、なんでもないの。ちょっと用事を思い出しただけ」
「…………。じゃあ、オレの顔をちゃんと見て言ってよ」
ぐいと腕を引っ張られ、結花の体は洋平と向き合う形になった。
それでも顔をどうしても見れなくて、結花は慌てて目を伏せる。
洋平が弱ったようにため息をついた。
「ウソ、つくなよ。柏木さん、午後からなんか様子おかしかっただろ? オレ、気付かねぇうちになんかしちまったんなら謝るよ。――悪かった」
洋平のその言葉に、結花の胸が苦しくなった。
違うのに。ほんとうに洋平はなにもしてないのに。
どうして洋平はこんなに優しんだろう。
結花の悲しみに、苦しみに、洋平はいつだって気づいてくれる。
それに気づいて、いつだって手を差し伸べてくれる。
どうして。
「……好き」
「……え?」
気づいたら、結花の口から想いがあふれ出していた。
きっとこんな気持ち、洋平には迷惑だろう。
でもだけど、止められなかった。
「好き。わたし、水戸くんが好きなの……っ」
優しくて、強くて。今だって、結花のことなどほうっておけばいいのに、それができない。
そんな洋平のことが、すごくすごく好き。
「――っ!」
洋平が息を呑む気配がした。
伏せた顔をあげることが出来ない。
洋平から返る沈黙がこわい。
優しい洋平。きっとどうすればいいか困らせているんだと思うと、胸がつぶれそうだった。
「ご、ごめんなさい」
伏せた瞳から涙が零れ出す。
嗚咽を漏らす喉から、結花はなんとか声を絞り出した。
「水戸くんが好きなのは、さっきのあの女の子……だよね? 水戸くんのこと困らせるつもりなんてなかったのに、わたし……。ほんとうに、ごめんなさい」