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恋に落ちて

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由美の歯切れの良い返事を聞きながら、結花は不安に揺れる心に気合を入れた。






じりじりするような時を何時間も耐えて、やっと放課後になった。
それまでの間、何度か洋平と話す機会があったけれど、そのどれも顔を見て話すことが出来なかった。
変に緊張してしまって、いままでの自分がどんな風に洋平と接していたのかわからない。
いつもは縮めたくてどうしようもなかった洋平との距離も、いまは縮まることがこわかった。
からだの中で大きくどきどきと、心臓が嫌な感じに脈打っている。
結花は元気良く体育館に向かう由美の後ろをついて歩きながら、すでに逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
体育館が近づくにつれて、脈打つ鼓動の音が大きくなる。

「ついたー!」

由美のはしゃぐような明るい声に、結花はびくりと顔をあげた。

「ここが特等席なんだよねー! こっから流川くんがよく見えるんだ」

弾んだ声音でそういう由美の肩越しに、結花も体育館を覗き見る。
大きな体格のバスケ部員たちが数人、所狭しとコート内を駆け回っていた。
なんだかとても圧巻だ。中学で見たものより、迫力が段違いだった。
その時、体育館を揺るがすような黄色い歓声があがった。

「わっ!」

驚いて肩を竦める結花の視界に映る、やたら整った顔のバスケ部員。

「あれが流川くんだよ」

由美がちょうど結花の見ていた部員を指差して言う。
なるほど、あれがウワサの流川くんか。この歓声も頷ける。

「へえ……かっこいいね」

つかの間不安を忘れてそんな呟きをもらした時、その流川の奥、結花からちょうど真向かいの扉の前に、誰か女の子と仲良さげに話している洋平の姿が、矢のように結花の目に飛び込んできた。






「――っ」

ばくんと、心臓が跳ねる。
再びからだの中が不安で支配されて、胃の底がとても重たくなった。
洋平の隣りに佇む女の子。肩までのさらさらの髪を揺らしながら、楽しそうに洋平の話しに笑みを零している。
優しげな雰囲気の、とてもかわいらしい女の子だ。
きっと、あれが由美の言っていた『洋平とよく話している女の子』だろう。

(……うう。かわいい……)

想像してた以上だった。
自分が男の子だったら、確実に守ってあげたいタイプの子だ。
洋平が悪戯っぽい表情でその子に話しかける。女の子が怒ったように頬を膨らませて、それを見て洋平が弾けるように笑った。
その子を見つめる洋平の表情が、目が、結花が今まで見たことないくらい優しいものに感じられた。
まるでまぶしいものでも見つめているかのように、やわらかく目を細めて、楽しそうに話をしている。

「…………」

由美の黄色い歓声が聞こえる。
バッシュが体育館の床をこするにぎやかな音が聞こえる。
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