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瑞穂がびくりと体を震わせる。
「宗一郎、違うの、これは……っ」
「言い訳はいいよ。俺、瑞穂に結花のこと聞かれたとき、そんな風に答えなかったよね? ちゃんと結花のことが好きだからって、そう言ったはずだけど」
宗一郎の容赦の無い言葉が、びしびしと瑞穂に突き刺さる。
なんとなく口を挟めなくて、結花は息を呑んで成り行きを見守った。
結花を瑞穂から庇うようにして立っている宗一郎の背中から、怒りのオーラがほとばしっているような気がした。
「ごめんね、俺、ほんとは二人が話し始めた時から教室の前にいたんだ。だから聞いちゃったけど、俺、別に瑞穂に支えられてきたなんて思ってないよ。瑞穂とは確かに同じバスケ部でクラスも同じだったからそういう話もしたけど、でもそれだけだよ。俺は瑞穂なんて頼りにしてない。だから、俺の隣りに瑞穂がいないんだろ? こんなの、どんな問題よりも簡単な方程式だと思うけど」
「で、でもだけど……っ! わたしだって宗一郎のことがずっと好きだったのに!」
瑞穂のその言葉で、宗一郎の全身を包んでいた怒りのオーラが冷えた。
今度は氷のように静かで冷たい怒りが宗一郎を包む。
「だからなに? 俺のこと好きだったからなんだっていうの? それが、結花を傷つけることに対する免罪符になるとでも思ってるの?」
「そ、いちろ……」
「これ以上余計なことを言ったら、俺は瑞穂を許さないよ。俺に嫌われたくないんだったら、一刻も早くここを出ていってくれない?」
「――っ!」
宗一郎が冷たく言い放つと、瑞穂は瞳いっぱいに涙を浮かべて、逃げるようにして教室を出て行った。
その背中を見送って、段々と足音が聞こえなくなると、宗一郎が疲れたようにため息をついて結花を振り返った。
「!」
なんとなく顔を合わせづらくて、思わず下を向いた結花の視界に、宗一郎のつま先が映る。
ぎゅっと瞳を閉じると、何を言われるのかと結花は体を硬くした。
と。
「いったぁ!?」
おでこに、鋭い衝撃を感じた。
どうやら宗一郎にでこぴんをされたらしい。
じんじんと痛むそこを手で押さえて、結花は目の前の宗一郎を凝視する。
「いったぁ、じゃないでしょ、結花。なんで瑞穂なんかの言うことに納得しちゃってるの?」
「ぇえ?」
間抜けな呟きが結花の口をついて出た。
どうしよう、ちょっと状況についていけない。
混乱を深める結花を、宗一郎が腕組みしてじっとりとした眼差しで見つめてくる。
「えと……ごめんなさい?」
「なんで疑問系なの」
宗一郎は呆れたようにため息をつくと、組んでいた腕をほどいた。
しょうがないなあというように瞳を細めて微笑すると、結花の頬に残っていた涙を優しく親指の腹で拭う。
「不安になっちゃった?」
包み込むような優しいそのささやきに、驚きで引っ込んでいた結花の涙がまたぶり返した。
ぽろぽろと両の瞳から涙を零しながら、結花はこくこくと頷く。
「そっか。……うん。泣かなくて大丈夫だよ、結花。結花の不安、俺、ちゃんとわかってるから」
「そ……いちろ……」
二人きりになった教室で、結花は宗一郎の胸にすがるように抱きつく。
優しく回された宗一郎の腕の力が心地よくて、そこから温かいものが結花の心にしみこんでくる。
「宗一郎、違うの、これは……っ」
「言い訳はいいよ。俺、瑞穂に結花のこと聞かれたとき、そんな風に答えなかったよね? ちゃんと結花のことが好きだからって、そう言ったはずだけど」
宗一郎の容赦の無い言葉が、びしびしと瑞穂に突き刺さる。
なんとなく口を挟めなくて、結花は息を呑んで成り行きを見守った。
結花を瑞穂から庇うようにして立っている宗一郎の背中から、怒りのオーラがほとばしっているような気がした。
「ごめんね、俺、ほんとは二人が話し始めた時から教室の前にいたんだ。だから聞いちゃったけど、俺、別に瑞穂に支えられてきたなんて思ってないよ。瑞穂とは確かに同じバスケ部でクラスも同じだったからそういう話もしたけど、でもそれだけだよ。俺は瑞穂なんて頼りにしてない。だから、俺の隣りに瑞穂がいないんだろ? こんなの、どんな問題よりも簡単な方程式だと思うけど」
「で、でもだけど……っ! わたしだって宗一郎のことがずっと好きだったのに!」
瑞穂のその言葉で、宗一郎の全身を包んでいた怒りのオーラが冷えた。
今度は氷のように静かで冷たい怒りが宗一郎を包む。
「だからなに? 俺のこと好きだったからなんだっていうの? それが、結花を傷つけることに対する免罪符になるとでも思ってるの?」
「そ、いちろ……」
「これ以上余計なことを言ったら、俺は瑞穂を許さないよ。俺に嫌われたくないんだったら、一刻も早くここを出ていってくれない?」
「――っ!」
宗一郎が冷たく言い放つと、瑞穂は瞳いっぱいに涙を浮かべて、逃げるようにして教室を出て行った。
その背中を見送って、段々と足音が聞こえなくなると、宗一郎が疲れたようにため息をついて結花を振り返った。
「!」
なんとなく顔を合わせづらくて、思わず下を向いた結花の視界に、宗一郎のつま先が映る。
ぎゅっと瞳を閉じると、何を言われるのかと結花は体を硬くした。
と。
「いったぁ!?」
おでこに、鋭い衝撃を感じた。
どうやら宗一郎にでこぴんをされたらしい。
じんじんと痛むそこを手で押さえて、結花は目の前の宗一郎を凝視する。
「いったぁ、じゃないでしょ、結花。なんで瑞穂なんかの言うことに納得しちゃってるの?」
「ぇえ?」
間抜けな呟きが結花の口をついて出た。
どうしよう、ちょっと状況についていけない。
混乱を深める結花を、宗一郎が腕組みしてじっとりとした眼差しで見つめてくる。
「えと……ごめんなさい?」
「なんで疑問系なの」
宗一郎は呆れたようにため息をつくと、組んでいた腕をほどいた。
しょうがないなあというように瞳を細めて微笑すると、結花の頬に残っていた涙を優しく親指の腹で拭う。
「不安になっちゃった?」
包み込むような優しいそのささやきに、驚きで引っ込んでいた結花の涙がまたぶり返した。
ぽろぽろと両の瞳から涙を零しながら、結花はこくこくと頷く。
「そっか。……うん。泣かなくて大丈夫だよ、結花。結花の不安、俺、ちゃんとわかってるから」
「そ……いちろ……」
二人きりになった教室で、結花は宗一郎の胸にすがるように抱きつく。
優しく回された宗一郎の腕の力が心地よくて、そこから温かいものが結花の心にしみこんでくる。