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瑞穂の言っていることは、常に結花がいつも心の中で思ってきたことだった。
瑞穂の知っている宗一郎を、結花はほとんど知らない。
宗一郎の部活の悩みもただうんうんと聞いているだけで、きっと瑞穂のように力にはなれなかっただろう。
宗一郎にとって、瑞穂の存在が大きかったろうことは想像に難くない。
「…………」
ずきりと、結花の胸が痛んだ。
じゃあどうして宗一郎が自分と付き合ってくれているのか、結花は自分の中に答えを持たなかった。
二年になって同じクラスになって。一学期に開かれる合唱コン、その練習を吹奏楽部である結花たちが主軸になって引っ張っていくことになり、そこで結花が担当した男子のテナーパートに宗一郎がいた。
それから少しずつ少しずつ話すようになって。夏休みに入る少し前に結花が告白したのをきっかけに付き合い始めた。
そこまで思い返して、結花はハッと目を見開いた。
(そうか……)
心の中でふやふやと漂っていた疑問が、すとんとあるべき場所に着地した。
視界が開けた気持ちになって、だけどその答えの残酷さに、結花の胸が塞がっていく。
(そっか……)
はっきりと、理解した。
きっと宗一郎は、結花の告白を断れなかったに違いない。
だから、いまも仕方なしにずるずると結花と付き合っているのだ。
「宗一郎、どうしてあなたと付き合ってるのって聞いたら、告白されたからって言ってた」
まるで結花の心を見透かしたようなタイミングで、瑞穂がそんなことを言う。
「もう、いい加減にしてあげたら? どうせあなたの頭じゃいくら勉強したってわたしたちと同じとこになんて来れるわけない。もういい加減宗一郎と別れてあげてよ」
瑞穂の言葉が、するするとなんの抵抗もなく結花の中に吸い込まれていく。
そうして、それは結花の心のやわらかいところに留まって、結花の心を攻撃し続けた。
段々と視界が暗くなっていく。
苦しくてからだがばらばらに砕け散ってしまいそうだ。
「宗一郎が、ほんとうにそんなこと言ってた?」
力の無い、乾いた結花の声。
瑞穂が小さくこくりと頷く。
「ええ」
「そ……っか」
ぽたりと、瞳から落ちた滴が結花の上履きに落ちた。
じんわりと広がる黒い染み。
それを見つめながら、結花はゆっくりと唇を押し開く。
「わかった。じゃあ、近いうちに宗一郎と話してみるね」
「話す必要なんてないよ」
そのとき、新たな声がそこに割り込んだ。
驚いて振り返る結花と瑞穂の視線の先、教室のドアに背を預けるようにして立っている宗一郎がいた。
「そういちろ……」
驚く結花を一瞥して、宗一郎がつかつかと二人のほうに歩いてくる。
その表情は厳しく引き締められていて、宗一郎が怒っているのがすぐわかった。
「瑞穂。俺の大事な彼女いじめるのやめてくれない?」
宗一郎のものとは思えない、怒りを含んだ冷たい声。
瑞穂の知っている宗一郎を、結花はほとんど知らない。
宗一郎の部活の悩みもただうんうんと聞いているだけで、きっと瑞穂のように力にはなれなかっただろう。
宗一郎にとって、瑞穂の存在が大きかったろうことは想像に難くない。
「…………」
ずきりと、結花の胸が痛んだ。
じゃあどうして宗一郎が自分と付き合ってくれているのか、結花は自分の中に答えを持たなかった。
二年になって同じクラスになって。一学期に開かれる合唱コン、その練習を吹奏楽部である結花たちが主軸になって引っ張っていくことになり、そこで結花が担当した男子のテナーパートに宗一郎がいた。
それから少しずつ少しずつ話すようになって。夏休みに入る少し前に結花が告白したのをきっかけに付き合い始めた。
そこまで思い返して、結花はハッと目を見開いた。
(そうか……)
心の中でふやふやと漂っていた疑問が、すとんとあるべき場所に着地した。
視界が開けた気持ちになって、だけどその答えの残酷さに、結花の胸が塞がっていく。
(そっか……)
はっきりと、理解した。
きっと宗一郎は、結花の告白を断れなかったに違いない。
だから、いまも仕方なしにずるずると結花と付き合っているのだ。
「宗一郎、どうしてあなたと付き合ってるのって聞いたら、告白されたからって言ってた」
まるで結花の心を見透かしたようなタイミングで、瑞穂がそんなことを言う。
「もう、いい加減にしてあげたら? どうせあなたの頭じゃいくら勉強したってわたしたちと同じとこになんて来れるわけない。もういい加減宗一郎と別れてあげてよ」
瑞穂の言葉が、するするとなんの抵抗もなく結花の中に吸い込まれていく。
そうして、それは結花の心のやわらかいところに留まって、結花の心を攻撃し続けた。
段々と視界が暗くなっていく。
苦しくてからだがばらばらに砕け散ってしまいそうだ。
「宗一郎が、ほんとうにそんなこと言ってた?」
力の無い、乾いた結花の声。
瑞穂が小さくこくりと頷く。
「ええ」
「そ……っか」
ぽたりと、瞳から落ちた滴が結花の上履きに落ちた。
じんわりと広がる黒い染み。
それを見つめながら、結花はゆっくりと唇を押し開く。
「わかった。じゃあ、近いうちに宗一郎と話してみるね」
「話す必要なんてないよ」
そのとき、新たな声がそこに割り込んだ。
驚いて振り返る結花と瑞穂の視線の先、教室のドアに背を預けるようにして立っている宗一郎がいた。
「そういちろ……」
驚く結花を一瞥して、宗一郎がつかつかと二人のほうに歩いてくる。
その表情は厳しく引き締められていて、宗一郎が怒っているのがすぐわかった。
「瑞穂。俺の大事な彼女いじめるのやめてくれない?」
宗一郎のものとは思えない、怒りを含んだ冷たい声。