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窓から覗く景色は黄金色。
校庭に植わっている銀杏の木も、透明な風にさらわれてその葉を優雅に泳がせている。
季節はもう十一月。
今年受験の結花にとっては追い込みの季節だ。
「ふう」
帰りのHRの済んだ放課後、日直のさようならの号を聞くと結花は着席した。
今日は予備校の授業はない。
こういう日は同じクラスで彼氏の神宗一郎の部活が終わるまで、教室で自習をして待つことが日課になっていた。
ちなみに宗一郎は十月の頭に外部の大学にスポーツ推薦で合格を決めている。
勉学の面でもかなり有名で、その名を知らぬものはほとんどいないほどの名門校であるその大学。結花もその大学を第一志望校と定めたけれど、そんな場所の指定校推薦を獲得するのは難しく、結花はおとなしく一般入試に向けて日々勉強に勤しんでいた。
(でも正直、ちゃんと入れるか不安……)
模試での結果は最高でC判定だ。内心で呟き、そっとため息を吐く。
と、そこに宗一郎がやってきた。
「どうしたの? ため息なんてついて」
「宗一郎」
柔和な笑みを浮かべてこちらを見ている宗一郎に、結花は肩を竦めて見せる。
「ん。ちょっと」
「…………。今日も、待っててくれるの?」
一瞬何かを考えるように黙り込んだ宗一郎は、すぐにそれを笑顔の奥に隠して結花に訊ねた。
結花もそれに笑顔を返す。
「うん。待ってる。今日はね、宗一郎を待ってる間に、英語をやっつけようと思います!」
「へえ、英語」
「そう」
「だから、帰ってきたらわからないとこ教えてねっていうんでしょ?」
「うっ。鋭い」
ずばっと図星を指されて、結花は言葉に詰まった。
宗一郎は学力でも、進学を決めた大学の推薦を取れるほど頭が良い。
どうせ自分なんて、と拗ねた気持ちで唇をすぼめる結花の頭を、宗一郎が優しく撫でる。
「わからないとこ、すぐわかるようにちゃんと目印つけておいてね。俺も今日はなるべく早く引き上げるようにするから」
「うん、ありがと」
すると、少し離れたところからぴゅいっと冷やかすような口笛が聞こえた。
そちらに視線をやると、クラスメイトの幾人かがにやにやとからかうような笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「よお、相変わらずお熱いこって」
「おかげさまで」
嫌な顔をする結花の隣りで、宗一郎がさらりとそんな言葉を返す。
毒気を抜かれたクラスメイトたちが、参ったというように苦笑した。
「まったく、神はからかいがいがないよな」
「ふふ。俺もこれでも一応努力はしてるんだよ?」
「なんの努力だよ」
「そうだな。どうすれば俺と結花の仲の良さがわかってもらえるか、っていう努力かな」
クラスメイトが辟易した顔をする。
「うへえ。もう十分伝わってるよ」
「それはどうも」
肩を竦める宗一郎に、クラスメイトが今度は屈託なく笑う。
「にしても、ほんと仲良いよな、お前ら」
「羨ましいだろ?」
校庭に植わっている銀杏の木も、透明な風にさらわれてその葉を優雅に泳がせている。
季節はもう十一月。
今年受験の結花にとっては追い込みの季節だ。
「ふう」
帰りのHRの済んだ放課後、日直のさようならの号を聞くと結花は着席した。
今日は予備校の授業はない。
こういう日は同じクラスで彼氏の神宗一郎の部活が終わるまで、教室で自習をして待つことが日課になっていた。
ちなみに宗一郎は十月の頭に外部の大学にスポーツ推薦で合格を決めている。
勉学の面でもかなり有名で、その名を知らぬものはほとんどいないほどの名門校であるその大学。結花もその大学を第一志望校と定めたけれど、そんな場所の指定校推薦を獲得するのは難しく、結花はおとなしく一般入試に向けて日々勉強に勤しんでいた。
(でも正直、ちゃんと入れるか不安……)
模試での結果は最高でC判定だ。内心で呟き、そっとため息を吐く。
と、そこに宗一郎がやってきた。
「どうしたの? ため息なんてついて」
「宗一郎」
柔和な笑みを浮かべてこちらを見ている宗一郎に、結花は肩を竦めて見せる。
「ん。ちょっと」
「…………。今日も、待っててくれるの?」
一瞬何かを考えるように黙り込んだ宗一郎は、すぐにそれを笑顔の奥に隠して結花に訊ねた。
結花もそれに笑顔を返す。
「うん。待ってる。今日はね、宗一郎を待ってる間に、英語をやっつけようと思います!」
「へえ、英語」
「そう」
「だから、帰ってきたらわからないとこ教えてねっていうんでしょ?」
「うっ。鋭い」
ずばっと図星を指されて、結花は言葉に詰まった。
宗一郎は学力でも、進学を決めた大学の推薦を取れるほど頭が良い。
どうせ自分なんて、と拗ねた気持ちで唇をすぼめる結花の頭を、宗一郎が優しく撫でる。
「わからないとこ、すぐわかるようにちゃんと目印つけておいてね。俺も今日はなるべく早く引き上げるようにするから」
「うん、ありがと」
すると、少し離れたところからぴゅいっと冷やかすような口笛が聞こえた。
そちらに視線をやると、クラスメイトの幾人かがにやにやとからかうような笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「よお、相変わらずお熱いこって」
「おかげさまで」
嫌な顔をする結花の隣りで、宗一郎がさらりとそんな言葉を返す。
毒気を抜かれたクラスメイトたちが、参ったというように苦笑した。
「まったく、神はからかいがいがないよな」
「ふふ。俺もこれでも一応努力はしてるんだよ?」
「なんの努力だよ」
「そうだな。どうすれば俺と結花の仲の良さがわかってもらえるか、っていう努力かな」
クラスメイトが辟易した顔をする。
「うへえ。もう十分伝わってるよ」
「それはどうも」
肩を竦める宗一郎に、クラスメイトが今度は屈託なく笑う。
「にしても、ほんと仲良いよな、お前ら」
「羨ましいだろ?」
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