secret lesson
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信長の言葉に、宗一郎はちゃんと結花を知ってるんだななんて見当違いな感想を抱いた。
けれど、結花の叩きつけるような声で、すぐに現実に引き戻される。
「るっさい、清田くんは黙ってて!」
「な! なんだよ……。オレはあぶねぇから注意しただけだろ。ったく、おっかねぇな……」
きっと結花が叫ぶところなんて初めてみたんだろう。信長が面食らったように身を引いて、ぶつぶつと小さく文句を言っている。
結花はつかつかと宗一郎の目の前まで来ると、キッと宗一郎を睨みあげた。
その体が小さく震えている。
きっとこの行動にだってよっぽど勇気がいったに違いない。
(ほんと、かわいいなぁ……)
呑気にそんなことを思って気づかれないようにくちもとだけで笑うと、宗一郎は表情を引き締めた。
先ほど受け止めたボールを差し出す。
「はい。これからは気をつけてね」
それだけ言って練習に戻ろうとすると、今度は背中にボールが当たった。
どうやら結花が宗一郎に向けて投げたらしい。
力が全然入ってなかったからちっとも痛くなかったけど、ただ単純に驚いた。
結花の意図がわからなくて、ぶつかったボールを拾い上げ戸惑うように結花を見ていると、今度こそ信長が色めき立った。
「おい、柏木! お前いい加減にしろよ! 神さんはやっさしいからさっきの悪送球を笑って許してくれたのに、お前いまのは絶対わざとだろ! 何考えてんだよ!」
「だ、だって……!」
「ぁあ!?」
「だって、神先輩が悪いんだもん! わたしのこと無視するから!!」
「!」
宗一郎は目を瞠って結花を見つめた。
どういう意味だろう。
たしかに結花のことは無視したけれど、でもそれも引いては結花のためで。
なにより、こんな風に自分と知り合いだということを、今言い合いを繰り広げている信長その人に知られたくなかったのではなかったか。
わけがわからない。
混乱する宗一郎をよそに、二人のやり取りが白熱していく。
「はぁ!? お前何言ってんだよ! 無視もなにも、お前のこと神さんが知ってるわけないだろうが!」
「あれからメールも電話もしてるのに!」
「自分のこと知って欲しいからってこんなあぶねぇ手段に出る女、神さんが相手にするか!」
「昨日だって……わたしになにも言わせないで言い逃げして……ひどいです!」
「とにかく一昨日来やがれってんだよ!」
まったく会話が噛み合っていない。
二人の珍妙なやり取りに、体育館に残っていた生徒の視線が次第にこちらに集まり始めてきた。
結花の目は、もう信長を見てはいない。
必死に宗一郎だけを見つめていた。
その目尻に涙が滲んでいるのを見て、宗一郎はとても切ない気持ちになる。
結花の元まで行くと、溢れそうになっていたその涙を人差し指で掬った。
結花が驚いたように身を竦ませる。
信長が呆気に取られて宗一郎と結花を交互に見た。
「え、神さん……? 柏木と知り合いなんですか?」
「うん。俺の好きな子」
「へえ……え……ええ!?」
さらりと言うと、信長が素っ頓狂な声をあげた。
その反応がおかしくて、宗一郎はくすくすと笑う。
「はは、冗談だよ」
結花のためにもすかさず否定して、宗一郎は結花に視線を移した。
「さ、結花ちゃん……」
「冗談……なんですか?」
「え?」
結花が言った。
けれど、結花の叩きつけるような声で、すぐに現実に引き戻される。
「るっさい、清田くんは黙ってて!」
「な! なんだよ……。オレはあぶねぇから注意しただけだろ。ったく、おっかねぇな……」
きっと結花が叫ぶところなんて初めてみたんだろう。信長が面食らったように身を引いて、ぶつぶつと小さく文句を言っている。
結花はつかつかと宗一郎の目の前まで来ると、キッと宗一郎を睨みあげた。
その体が小さく震えている。
きっとこの行動にだってよっぽど勇気がいったに違いない。
(ほんと、かわいいなぁ……)
呑気にそんなことを思って気づかれないようにくちもとだけで笑うと、宗一郎は表情を引き締めた。
先ほど受け止めたボールを差し出す。
「はい。これからは気をつけてね」
それだけ言って練習に戻ろうとすると、今度は背中にボールが当たった。
どうやら結花が宗一郎に向けて投げたらしい。
力が全然入ってなかったからちっとも痛くなかったけど、ただ単純に驚いた。
結花の意図がわからなくて、ぶつかったボールを拾い上げ戸惑うように結花を見ていると、今度こそ信長が色めき立った。
「おい、柏木! お前いい加減にしろよ! 神さんはやっさしいからさっきの悪送球を笑って許してくれたのに、お前いまのは絶対わざとだろ! 何考えてんだよ!」
「だ、だって……!」
「ぁあ!?」
「だって、神先輩が悪いんだもん! わたしのこと無視するから!!」
「!」
宗一郎は目を瞠って結花を見つめた。
どういう意味だろう。
たしかに結花のことは無視したけれど、でもそれも引いては結花のためで。
なにより、こんな風に自分と知り合いだということを、今言い合いを繰り広げている信長その人に知られたくなかったのではなかったか。
わけがわからない。
混乱する宗一郎をよそに、二人のやり取りが白熱していく。
「はぁ!? お前何言ってんだよ! 無視もなにも、お前のこと神さんが知ってるわけないだろうが!」
「あれからメールも電話もしてるのに!」
「自分のこと知って欲しいからってこんなあぶねぇ手段に出る女、神さんが相手にするか!」
「昨日だって……わたしになにも言わせないで言い逃げして……ひどいです!」
「とにかく一昨日来やがれってんだよ!」
まったく会話が噛み合っていない。
二人の珍妙なやり取りに、体育館に残っていた生徒の視線が次第にこちらに集まり始めてきた。
結花の目は、もう信長を見てはいない。
必死に宗一郎だけを見つめていた。
その目尻に涙が滲んでいるのを見て、宗一郎はとても切ない気持ちになる。
結花の元まで行くと、溢れそうになっていたその涙を人差し指で掬った。
結花が驚いたように身を竦ませる。
信長が呆気に取られて宗一郎と結花を交互に見た。
「え、神さん……? 柏木と知り合いなんですか?」
「うん。俺の好きな子」
「へえ……え……ええ!?」
さらりと言うと、信長が素っ頓狂な声をあげた。
その反応がおかしくて、宗一郎はくすくすと笑う。
「はは、冗談だよ」
結花のためにもすかさず否定して、宗一郎は結花に視線を移した。
「さ、結花ちゃん……」
「冗談……なんですか?」
「え?」
結花が言った。