secret lesson
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(うう……ノブ……ごめん!)
そんなこととは露知らず、信長は勢いよく宗一郎に抱きついてくる。
「うわっ」
「神さぁ~ん! 神さんにそんなこと言ってもらえるなんて、俺感激ッス!」
「う、うん。これからもよろしくね、ノブ」
宗一郎は苦い気持ちでそう言うと、そそくさとその場を逃げ出した。
(うう、まだ胸が痛い……)
自転車をこぎながら、宗一郎は重いため息をついた。
今度なにか奢ってやろうと心に決めてもう一度息を吐き出すと、気持ちを入れ替えて公園へと急ぐ。
近くまで来ると、もう既にボールの音がしていた。
今日は信長に引き止められていつもより少し遅くなってしまった。
宗一郎は自転車を降りると、足早に結花の元へと向かう。
「おまたせ。ごめんね、今日は少し遅くなっちゃった」
「神先輩」
宗一郎に気づいて、結花がふわりと笑う。
その笑顔に、宗一郎の胸が高鳴った。
「だいじょうぶ、全然待ってないですよ」
「そう? よかった。帰り際に後輩に捕まっちゃってさ」
「後輩……。もしかして、清田くんですか?」
小首を傾げて聞いてくる結花に、宗一郎は目を丸くした。
「あれ。結花ちゃん、ノブのこと知ってるの?」
「はい。同じクラスですよ。と言っても話したことないので、向こうはわたしのことなんて知らないと思いますけど。――清田くん、よく神先輩のこと教室で話してるんですよ。入学してから今日まで、彼の口から神先輩の名前を聞かなかったことないです」
「ふうん」
時折笑みを零しながら楽しそうに話す結花を見て、なんとなく宗一郎はおもしろくない気持ちになった。
胸の辺りが少しもやもやしている。
話したことがないという割りには、随分詳しく信長のことを見てるじゃないか。
黙り込んだ宗一郎に気づかずに、結花は話を続けていく。
「今日は神先輩になにしてもらうんだとか、明日は神先輩とどこそこ行くんだとか、ほんと口を開けば神先輩のことばっかりで、清田くんたらほんとうに嬉しそうで……」
結花の弾むような声音が、宗一郎の耳元を次々と通り過ぎていく。
胸がちくりと痛んだ。
(もしかして、結花ちゃんはノブのことが好きなのかな)
嫌だな、と宗一郎は思った。
結花を渡したくない。結花が信長のものになるかもしれないなんて、考えたくなかった。
楽しそうな結花の声。
痛む胸。
もどかしい感情。
どうしようもない。
「えっ。神……先輩!?」
気づいたら宗一郎は、結花の腕を掴んでその体を抱き寄せていた。
「じ、神先輩!? いきなりなにするんですか! は、離して下さい!」
勢いよく胸を押され、腕から結花が逃げていく。
だけど、掴んだ腕だけは離さない。
そんなこととは露知らず、信長は勢いよく宗一郎に抱きついてくる。
「うわっ」
「神さぁ~ん! 神さんにそんなこと言ってもらえるなんて、俺感激ッス!」
「う、うん。これからもよろしくね、ノブ」
宗一郎は苦い気持ちでそう言うと、そそくさとその場を逃げ出した。
(うう、まだ胸が痛い……)
自転車をこぎながら、宗一郎は重いため息をついた。
今度なにか奢ってやろうと心に決めてもう一度息を吐き出すと、気持ちを入れ替えて公園へと急ぐ。
近くまで来ると、もう既にボールの音がしていた。
今日は信長に引き止められていつもより少し遅くなってしまった。
宗一郎は自転車を降りると、足早に結花の元へと向かう。
「おまたせ。ごめんね、今日は少し遅くなっちゃった」
「神先輩」
宗一郎に気づいて、結花がふわりと笑う。
その笑顔に、宗一郎の胸が高鳴った。
「だいじょうぶ、全然待ってないですよ」
「そう? よかった。帰り際に後輩に捕まっちゃってさ」
「後輩……。もしかして、清田くんですか?」
小首を傾げて聞いてくる結花に、宗一郎は目を丸くした。
「あれ。結花ちゃん、ノブのこと知ってるの?」
「はい。同じクラスですよ。と言っても話したことないので、向こうはわたしのことなんて知らないと思いますけど。――清田くん、よく神先輩のこと教室で話してるんですよ。入学してから今日まで、彼の口から神先輩の名前を聞かなかったことないです」
「ふうん」
時折笑みを零しながら楽しそうに話す結花を見て、なんとなく宗一郎はおもしろくない気持ちになった。
胸の辺りが少しもやもやしている。
話したことがないという割りには、随分詳しく信長のことを見てるじゃないか。
黙り込んだ宗一郎に気づかずに、結花は話を続けていく。
「今日は神先輩になにしてもらうんだとか、明日は神先輩とどこそこ行くんだとか、ほんと口を開けば神先輩のことばっかりで、清田くんたらほんとうに嬉しそうで……」
結花の弾むような声音が、宗一郎の耳元を次々と通り過ぎていく。
胸がちくりと痛んだ。
(もしかして、結花ちゃんはノブのことが好きなのかな)
嫌だな、と宗一郎は思った。
結花を渡したくない。結花が信長のものになるかもしれないなんて、考えたくなかった。
楽しそうな結花の声。
痛む胸。
もどかしい感情。
どうしようもない。
「えっ。神……先輩!?」
気づいたら宗一郎は、結花の腕を掴んでその体を抱き寄せていた。
「じ、神先輩!? いきなりなにするんですか! は、離して下さい!」
勢いよく胸を押され、腕から結花が逃げていく。
だけど、掴んだ腕だけは離さない。