secret lesson
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「もちろん。それに、結花ちゃんがここでひとりで練習してるって知っちゃったから、帰りも心配だしね。いつかのホームルームで先生に一年女子が痴漢に遭いました、なんて言われたら寝覚めも悪いし」
「! なんですか、それ」
わざとからかうように言うと、結花が怒ったように唇を尖らせた。
宗一郎はその頭を優しく撫でて、微笑む。
「冗談だよ。だから、そういうわけだからこれからは一緒に練習させてくれないかな」
「……はい。先輩が負担じゃないなら、ぜひよろしくお願いします」
「こちらこそ」
結花がはにかむような笑顔を見せて承諾してくれた。
宗一郎は嬉しくなってその笑顔を見ていたけれど、ふいに辺りがとっぷり暮れていることに気づいた。
あわてて腕時計で時間を確認する。時計の針はもう八時半を指していた。
女子高生が出歩くには遅い時間だ。きっとご両親も心配していることだろう。
「ごめん、俺のせいで遅くなっちゃったね。帰ろう、送るよ」
「え! だ、大丈夫です。ひとりで帰れます」
ぶんぶんと首を振る結花に、宗一郎は苦笑した。
遠慮なんかしなくていいのに。
「俺のことなら気にしなくて大丈夫だよ。ここから家も近いし」
「え、そうなんですか?」
「うん。自転車で十分くらい。結花ちゃんも遅くまでここで練習してるくらいなんだから、近くなんでしょ?」
「あ、はい。ここからだいたい歩いて十五分くらいです」
「そっか。じゃあ自転車で十分もあれば着くね。乗って」
立ち上がり自転車に跨って言うと、結花が困ったように眉を下げた。
「いやいや、先輩! 最初から二人乗りはハードル高いです」
「二人乗りはじめて?」
「そこじゃなくてですね! あの……その……」
顔を真っ赤にしてごにょごにょと結花が口ごもる。
その様子がかわいくて、宗一郎は破顔した。
「はは! 恥ずかしいの? いいよ、わかった。じゃあ歩いて帰ろうか」
「……お願いします」
宗一郎は自転車を降りると、それを引きながら結花の隣りを歩いた。
好きなものの話。嫌いなものの話。得意な教科。苦手な教科。
結花と話すのはとても楽しくて、宗一郎には結花の家に着くまでの距離がほんとうにあっという間に感じられた。
結花と一緒に練習するようになってから約二週間。
日々を重ねるに連れて宗一郎はだんだんとそれが楽しみになっていった。
今では練習が目的なのか、結花に会うことが目的なのかわからない。
もしかすると、最初から結花に惹かれていて、結花との時間を持つことこそが目的だったのかもしれない。
(俺って、こんなに積極的だったのかな)
自分で自分に驚いた。
これまでバスケ一筋で、あまり女の子に興味を抱いたことなんてなかったのに。
結花も最近では屈託なく話してくれるようになった。
最初は遠慮がちで大人しかった結花が、時折軽口を叩いてくれるようになったのが宗一郎には嬉しくてたまらない。
宗一郎は日課の五百本シュートを終えると、いそいそと部室へ向かった。
備え付けのシャワールームで汗を軽く流して、それから制服に着替える。タオルやユニフォームをカバンに詰めて、ロッカーを閉めた。
――と。
「あれ、神さん。もう帰るんスか?」
「! なんですか、それ」
わざとからかうように言うと、結花が怒ったように唇を尖らせた。
宗一郎はその頭を優しく撫でて、微笑む。
「冗談だよ。だから、そういうわけだからこれからは一緒に練習させてくれないかな」
「……はい。先輩が負担じゃないなら、ぜひよろしくお願いします」
「こちらこそ」
結花がはにかむような笑顔を見せて承諾してくれた。
宗一郎は嬉しくなってその笑顔を見ていたけれど、ふいに辺りがとっぷり暮れていることに気づいた。
あわてて腕時計で時間を確認する。時計の針はもう八時半を指していた。
女子高生が出歩くには遅い時間だ。きっとご両親も心配していることだろう。
「ごめん、俺のせいで遅くなっちゃったね。帰ろう、送るよ」
「え! だ、大丈夫です。ひとりで帰れます」
ぶんぶんと首を振る結花に、宗一郎は苦笑した。
遠慮なんかしなくていいのに。
「俺のことなら気にしなくて大丈夫だよ。ここから家も近いし」
「え、そうなんですか?」
「うん。自転車で十分くらい。結花ちゃんも遅くまでここで練習してるくらいなんだから、近くなんでしょ?」
「あ、はい。ここからだいたい歩いて十五分くらいです」
「そっか。じゃあ自転車で十分もあれば着くね。乗って」
立ち上がり自転車に跨って言うと、結花が困ったように眉を下げた。
「いやいや、先輩! 最初から二人乗りはハードル高いです」
「二人乗りはじめて?」
「そこじゃなくてですね! あの……その……」
顔を真っ赤にしてごにょごにょと結花が口ごもる。
その様子がかわいくて、宗一郎は破顔した。
「はは! 恥ずかしいの? いいよ、わかった。じゃあ歩いて帰ろうか」
「……お願いします」
宗一郎は自転車を降りると、それを引きながら結花の隣りを歩いた。
好きなものの話。嫌いなものの話。得意な教科。苦手な教科。
結花と話すのはとても楽しくて、宗一郎には結花の家に着くまでの距離がほんとうにあっという間に感じられた。
結花と一緒に練習するようになってから約二週間。
日々を重ねるに連れて宗一郎はだんだんとそれが楽しみになっていった。
今では練習が目的なのか、結花に会うことが目的なのかわからない。
もしかすると、最初から結花に惹かれていて、結花との時間を持つことこそが目的だったのかもしれない。
(俺って、こんなに積極的だったのかな)
自分で自分に驚いた。
これまでバスケ一筋で、あまり女の子に興味を抱いたことなんてなかったのに。
結花も最近では屈託なく話してくれるようになった。
最初は遠慮がちで大人しかった結花が、時折軽口を叩いてくれるようになったのが宗一郎には嬉しくてたまらない。
宗一郎は日課の五百本シュートを終えると、いそいそと部室へ向かった。
備え付けのシャワールームで汗を軽く流して、それから制服に着替える。タオルやユニフォームをカバンに詰めて、ロッカーを閉めた。
――と。
「あれ、神さん。もう帰るんスか?」