不器用な二人
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おざなりに返事をすると、仙道がくすりと小さく笑った。
その反応に、結花は少しだけムッとした。
突っ伏す体勢はそのままに顔だけをあげて仙道をにらみつけてやると、仙道がにこりと穏やかに微笑んだ。
「オレのせいで淋しい思いさせちゃったお詫びに、いいものあげるよ。少しここで待ってて」
「え? うん……」
いつもと変わらぬ仙道の調子に毒気を抜かれて結花が素直に頷くと、仙道が良い子と結花の頭をひと撫でした。
行ってくるねと教室を出て行く仙道を、結花は涙に濡れた瞳で静かに見送った。
すっかり涙もかわいた結花が、ひとり教室で仙道の帰りを待っていると、突然ドアが勢い良く開かれた。
間髪入れずに飛び込んできた激しい怒号に、結花は驚いて身を竦ませる。
「くぉら仙道ぉおおお! ここかぁああああ! 今日という今日は観念してもらう……ぞ……って、あ……れ、結花……?」
「あ、こし……の……」
入ってきたのは越野だった。
越野は目を瞠って自分を見つめている結花に気づくと、硬直したように言葉を止めた。
なにかを躊躇するように息を吸い込んで、ふいと静かに顔を背ける。
「……こんなところでなにやってんだよ。もうとっくに部活の時間だろ」
「!」
結花の心臓がどきりと拍動した。
いままでと全然違う、親しみのかけらもない冷たい声音だったけれど、あれ以来越野が結花に口を利いてくれたのは初めてだった。
淡い期待に結花の心臓が高鳴る。
もしかしたら、仲直りできるかもしれない。この機を逃さず、謝らなくては。
だけど気持ちだけが逸って、言葉がなにも浮かんでこない。
(ど、どうしよう。早くなんか言わないと、越野が行っちゃう……!)
サーっと結花の体から血の気が引いた。
焦りばかりが募って、どんどん思考が定まらなくなっていく。
教室の時計の針がこちこち進む音がやけに大きく響いて、結花を余計追い詰めた。
顔を青くさせて言葉をつまらせる結花を越野は一瞥すると、そのままふいと背を向けた。
「じゃーな」
短く言って、歩き出す。
(あ、や……行っちゃう!)
「待って!!」
気づいた時には、結花の体は勝手に動きだしていた。
教室を出てすぐの廊下で、結花は越野の右腕を両手でしっかりつかまえると、必死に懇願する。
「待って、越野!」
「……離せよ」
振り向かずに放たれた冷たい言葉に、結花の心臓が凍りついた。
(やっぱり仲直りなんて越野は望んでないのかもしれない)
足が震えた。
思わず離してしまいそうになった手に力を込めて、結花は懸命に首を横に振る。
「い、いや! わ、わたし、越野に謝りたくって……!」
「謝るってなにをだよ」
「この前のこと! わたし、ほんとうはあんなこと言うつもりじゃなかったの! ほんとはずっとずっと越野に謝りたくて……!」
「……いまさら、何言ってんだよ……」
その反応に、結花は少しだけムッとした。
突っ伏す体勢はそのままに顔だけをあげて仙道をにらみつけてやると、仙道がにこりと穏やかに微笑んだ。
「オレのせいで淋しい思いさせちゃったお詫びに、いいものあげるよ。少しここで待ってて」
「え? うん……」
いつもと変わらぬ仙道の調子に毒気を抜かれて結花が素直に頷くと、仙道が良い子と結花の頭をひと撫でした。
行ってくるねと教室を出て行く仙道を、結花は涙に濡れた瞳で静かに見送った。
すっかり涙もかわいた結花が、ひとり教室で仙道の帰りを待っていると、突然ドアが勢い良く開かれた。
間髪入れずに飛び込んできた激しい怒号に、結花は驚いて身を竦ませる。
「くぉら仙道ぉおおお! ここかぁああああ! 今日という今日は観念してもらう……ぞ……って、あ……れ、結花……?」
「あ、こし……の……」
入ってきたのは越野だった。
越野は目を瞠って自分を見つめている結花に気づくと、硬直したように言葉を止めた。
なにかを躊躇するように息を吸い込んで、ふいと静かに顔を背ける。
「……こんなところでなにやってんだよ。もうとっくに部活の時間だろ」
「!」
結花の心臓がどきりと拍動した。
いままでと全然違う、親しみのかけらもない冷たい声音だったけれど、あれ以来越野が結花に口を利いてくれたのは初めてだった。
淡い期待に結花の心臓が高鳴る。
もしかしたら、仲直りできるかもしれない。この機を逃さず、謝らなくては。
だけど気持ちだけが逸って、言葉がなにも浮かんでこない。
(ど、どうしよう。早くなんか言わないと、越野が行っちゃう……!)
サーっと結花の体から血の気が引いた。
焦りばかりが募って、どんどん思考が定まらなくなっていく。
教室の時計の針がこちこち進む音がやけに大きく響いて、結花を余計追い詰めた。
顔を青くさせて言葉をつまらせる結花を越野は一瞥すると、そのままふいと背を向けた。
「じゃーな」
短く言って、歩き出す。
(あ、や……行っちゃう!)
「待って!!」
気づいた時には、結花の体は勝手に動きだしていた。
教室を出てすぐの廊下で、結花は越野の右腕を両手でしっかりつかまえると、必死に懇願する。
「待って、越野!」
「……離せよ」
振り向かずに放たれた冷たい言葉に、結花の心臓が凍りついた。
(やっぱり仲直りなんて越野は望んでないのかもしれない)
足が震えた。
思わず離してしまいそうになった手に力を込めて、結花は懸命に首を横に振る。
「い、いや! わ、わたし、越野に謝りたくって……!」
「謝るってなにをだよ」
「この前のこと! わたし、ほんとうはあんなこと言うつもりじゃなかったの! ほんとはずっとずっと越野に謝りたくて……!」
「……いまさら、何言ってんだよ……」