不器用な二人
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うっかりほだされてなるものか。
「あはは、まあ、オレのせい……だよね?」
「そうよ! 半分は仙道のせいでもあるんだからね! でも、もう半分は自分のせいでもあるけどな! ははは、不器用な性格万歳!」
立ち上がり、一気にまくしたてると、再び結花は机に突っ伏した。
今度はおでこを机にくっつけて、完全に顔を伏せる。
そうだ。この事態を起こしたのは紛れもなく自分自身だ。
仙道はただのきっかけにすぎなくて、全ては自分のかわいくない性格が原因だった。
結花の頭を仙道が大きな手のひらで撫でる。
その温かさに、結花の鼻の奥がツンと刺激された。
「仙道ぉ」
「うん?」
「越野、ほんとうにわたしのこと嫌いになっちゃったのかな」
「うーん」
「越野は、わたしと仲直りすることなんて望んでない?」
「どうだろうね」
「このままでいたいって思ってるのかなぁ……」
「さあねえ」
「……うそでもいいから、そんなことないよって言ってよ」
おざなりな返事を繰り返す仙道に痺れをきらして、結花は拗ねたように抗議した。
「うそでいいの?」
仙道がきょとんと目をぱちくりさせて、罪のない声で聞き返してくる。
その言葉に、結花の喉がグッとつまった。
「……よくない」
しぼりだすようにして、結花は必死に声を紡ぎ出す。
今の仙道の答えで、はっきりと越野の気持ちがわかってしまった。
胸にぽっかりと大きな穴が空く。絶望で目の前が暗くなった。
越野は、このままでいいと思っている。
だから、仙道は否定することをしないのだ。
(ウソのなぐさめじゃ、結局なんの意味もないもんね……)
ぐしっと結花は鼻を啜った。
目頭が熱い。手足がぎゅうっと痺れて、その感覚が薄れていった。
きつく閉じたまぶたの裏に、越野の顔が浮かんでは消えていく。
告白する前に、こうなってよかったのかもしれない。
言い聞かせるようにして、結花は心の中で呟く。
万が一にでも告白して、億が一にでもうまくいったとして、その結果この事態に行きついたりなんてしたら、それこそ立ち直ることなんてできない。だから、よかったじゃないか。
全然良くなんてないけれど、今よりもっと悪い状態を想像して、必死にそう自分を励ます。
(よかったのよ。傷が深くなる前に越野と離れられて。今なら思い出も少ないし、きっと越野のことなんてすぐに忘れられる……。だから、これでよかったんだ……)
だけど、心は正直だ。
納得してくれない。騙されてくれない。
言い聞かせるそばから、自分はもっと越野と仲良くなりたかったと、これからもいろんな感情や時間を共有したかったと、声高に反論してくる。
もう叶わないのに。
だからこそ悲痛に反論してくる心の声が、結花にはとても苦しかった。
「ね、結花ちゃん」
「……なに」
それまで黙って結花の頭を撫で続けていた仙道が、ふいに話しかけてきた。
結花は顔をあげずに声だけを返した。
みっとない鼻声が、静かな教室に響く。
それがひどく惨めで、できることならこのまま消えてしまいたかった。
「実はさ、オレの相棒も最近調子悪いみたいなんだよね」
「へえ。仙道なぐさめてあげなよ」
相棒とは、きっと越野のことだろう。
こんな状態で越野の話を振ってくるなんてあんまりだ。
「あはは、まあ、オレのせい……だよね?」
「そうよ! 半分は仙道のせいでもあるんだからね! でも、もう半分は自分のせいでもあるけどな! ははは、不器用な性格万歳!」
立ち上がり、一気にまくしたてると、再び結花は机に突っ伏した。
今度はおでこを机にくっつけて、完全に顔を伏せる。
そうだ。この事態を起こしたのは紛れもなく自分自身だ。
仙道はただのきっかけにすぎなくて、全ては自分のかわいくない性格が原因だった。
結花の頭を仙道が大きな手のひらで撫でる。
その温かさに、結花の鼻の奥がツンと刺激された。
「仙道ぉ」
「うん?」
「越野、ほんとうにわたしのこと嫌いになっちゃったのかな」
「うーん」
「越野は、わたしと仲直りすることなんて望んでない?」
「どうだろうね」
「このままでいたいって思ってるのかなぁ……」
「さあねえ」
「……うそでもいいから、そんなことないよって言ってよ」
おざなりな返事を繰り返す仙道に痺れをきらして、結花は拗ねたように抗議した。
「うそでいいの?」
仙道がきょとんと目をぱちくりさせて、罪のない声で聞き返してくる。
その言葉に、結花の喉がグッとつまった。
「……よくない」
しぼりだすようにして、結花は必死に声を紡ぎ出す。
今の仙道の答えで、はっきりと越野の気持ちがわかってしまった。
胸にぽっかりと大きな穴が空く。絶望で目の前が暗くなった。
越野は、このままでいいと思っている。
だから、仙道は否定することをしないのだ。
(ウソのなぐさめじゃ、結局なんの意味もないもんね……)
ぐしっと結花は鼻を啜った。
目頭が熱い。手足がぎゅうっと痺れて、その感覚が薄れていった。
きつく閉じたまぶたの裏に、越野の顔が浮かんでは消えていく。
告白する前に、こうなってよかったのかもしれない。
言い聞かせるようにして、結花は心の中で呟く。
万が一にでも告白して、億が一にでもうまくいったとして、その結果この事態に行きついたりなんてしたら、それこそ立ち直ることなんてできない。だから、よかったじゃないか。
全然良くなんてないけれど、今よりもっと悪い状態を想像して、必死にそう自分を励ます。
(よかったのよ。傷が深くなる前に越野と離れられて。今なら思い出も少ないし、きっと越野のことなんてすぐに忘れられる……。だから、これでよかったんだ……)
だけど、心は正直だ。
納得してくれない。騙されてくれない。
言い聞かせるそばから、自分はもっと越野と仲良くなりたかったと、これからもいろんな感情や時間を共有したかったと、声高に反論してくる。
もう叶わないのに。
だからこそ悲痛に反論してくる心の声が、結花にはとても苦しかった。
「ね、結花ちゃん」
「……なに」
それまで黙って結花の頭を撫で続けていた仙道が、ふいに話しかけてきた。
結花は顔をあげずに声だけを返した。
みっとない鼻声が、静かな教室に響く。
それがひどく惨めで、できることならこのまま消えてしまいたかった。
「実はさ、オレの相棒も最近調子悪いみたいなんだよね」
「へえ。仙道なぐさめてあげなよ」
相棒とは、きっと越野のことだろう。
こんな状態で越野の話を振ってくるなんてあんまりだ。