不器用な二人
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越野と口を利かない日が一週間を過ぎた頃、結花はとうとう我慢できなくなって自分の机に突っ伏した。
今は放課後で、教室には誰もいない。
結花もそろそろ部活に行かなくてはいけない時間だけれど、どうしても行く気になれなかった。
今日の部活も、男子バスケ部と体育館の割り当てが重なっている。
行けばどうしても越野と顔をあわせてしまうだろう。
顔をあわせたら、またあの繰り返しだ。
冷たく視線を逸らす越野の顔を思い出して、結花の目尻にじわっと涙が浮かび上がった。
ほんとうは結花だって早く仲直りしたいのに、どうして素直になれないんだろう。
自分がこんなに意地っ張りだったなんて知らなかった。
仲直りしたい気持ちとは裏腹に、結花の体は勝手にかわいくない態度を繰り返してしまう。
越野と何日も話せなくて、こんなにも心は参っているというのに。
「ううう、越野ぉ~」
なんでもなく毎日のように話していた日々が懐かしい。
一緒に帰っていたなんて、今ではウソみたいだ。
結花の胸がぎゅっと小さくなった。
淋しい。淋しくてどうにかなってしまいそうだ。
だけど、結花の胸を苦しめるのは、それだけじゃなかった。
(もしも、越野はほんとうに仲直りを望んでなかったとしたら……?)
考えただけで、ずきりと心臓が悲鳴をあげた。
結花は売り言葉に買い言葉だったけれど、越野はそうじゃなくて、あれが紛れもない本心だったとしたら?
越野のほうは、結花と話すこともなくなって、ほんとうにせいせいしてるんだとしたら?
そう思うと怖くて、どうしようもなかった。
(こんなことなら、あの時ちゃんと謝っておけばよかった……)
結花の脳裏に、ケンカ初日のことがよみがえる。
あの時視線を最初に逸らしてしまったのは結花だ。
あの日、それをせずにきちんと謝っておけば、こんなことにならずに済んだのかもしれない。
だけど、どんなに後悔してもあの日に戻れるわけではないし、日が重なるに連れてどんどん越野との距離は遠くなるばかりだった。
今更、どんな顔をして謝ればいいって言うんだろう。
かろうじて瞳に留まっていた涙が、一滴机に落ちた。
と、そのとき。
「あれ、結花ちゃん?」
教室に、仙道の声が響いた。
驚いて振り返ると、きょとんとした顔の仙道が、教室の入り口でこちらを見つめていた。
仙道は結花が振り返ったのを見ると、にこにこと教室に入ってくる。
「どうしたの、こんな時間にひとりで。そろそろ部活でしょ……って、あれ? 泣いて……る?」
「せ、仙道~っ!」
ケンカの原因であるはずの仙道が、このときばかりは救世主に見えた。
「ふうん、そっかそういうことか」
結花は教室に来た仙道に事情を説明した。
話を聞いた仙道はぽつりと納得したように呟く。
「どうしたんだろうって思ってたんだよね。あんなに仲良かったのに急に全然話さなくなったし、一緒に帰ることもなくなったでしょ? もしかして結花ちゃんが越野に告白してフラれちゃったのかなって思ったけど、そういう色っぽい雰囲気でもないしさ」
机に突っ伏している結花の頭に、がしがしと仙道の大きな手が触れた。
目線だけをあげて仙道を見ると、仙道が優しく瞳を細めて微笑んだ。
「つらかったね。よしよし」
「……だれのせいだと思ってんのよ」
仙道の言葉に思わず甘えてしまいたくなったけれど、そもそもケンカの原因は仙道が部活をサボったことだ。
今は放課後で、教室には誰もいない。
結花もそろそろ部活に行かなくてはいけない時間だけれど、どうしても行く気になれなかった。
今日の部活も、男子バスケ部と体育館の割り当てが重なっている。
行けばどうしても越野と顔をあわせてしまうだろう。
顔をあわせたら、またあの繰り返しだ。
冷たく視線を逸らす越野の顔を思い出して、結花の目尻にじわっと涙が浮かび上がった。
ほんとうは結花だって早く仲直りしたいのに、どうして素直になれないんだろう。
自分がこんなに意地っ張りだったなんて知らなかった。
仲直りしたい気持ちとは裏腹に、結花の体は勝手にかわいくない態度を繰り返してしまう。
越野と何日も話せなくて、こんなにも心は参っているというのに。
「ううう、越野ぉ~」
なんでもなく毎日のように話していた日々が懐かしい。
一緒に帰っていたなんて、今ではウソみたいだ。
結花の胸がぎゅっと小さくなった。
淋しい。淋しくてどうにかなってしまいそうだ。
だけど、結花の胸を苦しめるのは、それだけじゃなかった。
(もしも、越野はほんとうに仲直りを望んでなかったとしたら……?)
考えただけで、ずきりと心臓が悲鳴をあげた。
結花は売り言葉に買い言葉だったけれど、越野はそうじゃなくて、あれが紛れもない本心だったとしたら?
越野のほうは、結花と話すこともなくなって、ほんとうにせいせいしてるんだとしたら?
そう思うと怖くて、どうしようもなかった。
(こんなことなら、あの時ちゃんと謝っておけばよかった……)
結花の脳裏に、ケンカ初日のことがよみがえる。
あの時視線を最初に逸らしてしまったのは結花だ。
あの日、それをせずにきちんと謝っておけば、こんなことにならずに済んだのかもしれない。
だけど、どんなに後悔してもあの日に戻れるわけではないし、日が重なるに連れてどんどん越野との距離は遠くなるばかりだった。
今更、どんな顔をして謝ればいいって言うんだろう。
かろうじて瞳に留まっていた涙が、一滴机に落ちた。
と、そのとき。
「あれ、結花ちゃん?」
教室に、仙道の声が響いた。
驚いて振り返ると、きょとんとした顔の仙道が、教室の入り口でこちらを見つめていた。
仙道は結花が振り返ったのを見ると、にこにこと教室に入ってくる。
「どうしたの、こんな時間にひとりで。そろそろ部活でしょ……って、あれ? 泣いて……る?」
「せ、仙道~っ!」
ケンカの原因であるはずの仙道が、このときばかりは救世主に見えた。
「ふうん、そっかそういうことか」
結花は教室に来た仙道に事情を説明した。
話を聞いた仙道はぽつりと納得したように呟く。
「どうしたんだろうって思ってたんだよね。あんなに仲良かったのに急に全然話さなくなったし、一緒に帰ることもなくなったでしょ? もしかして結花ちゃんが越野に告白してフラれちゃったのかなって思ったけど、そういう色っぽい雰囲気でもないしさ」
机に突っ伏している結花の頭に、がしがしと仙道の大きな手が触れた。
目線だけをあげて仙道を見ると、仙道が優しく瞳を細めて微笑んだ。
「つらかったね。よしよし」
「……だれのせいだと思ってんのよ」
仙道の言葉に思わず甘えてしまいたくなったけれど、そもそもケンカの原因は仙道が部活をサボったことだ。