不器用な二人
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「まあまあ、越野。落ち着いて。仙道だって反省してるよ、きっと」
「いいや、してないね。あいつはむしろ、オレが怒られてるのを見て楽しんでるに決まってる!」
ぐっとこぶしを握りこんで力強く言う越野に、結花は苦笑した。
「えー、いくら仙道でもそんなことないでしょ。ひどいなあ、越野は。言いすぎだよ」
「はぁ!? ひどいのはオレかよ!? 悪いのは全部部活サボる仙道の方だろが!」
「確かに仙道が悪いけど、でも越野もかたすぎるんだって」
「かたくねぇよ! 部活のある日は部活に出ろって、当たり前のこと言ってるだけだろ!? それの何がかたいんだよ! お前どっかおかしいんじゃねぇの!?」
プチッと、結花の中で何かが切れる音がした。
結花はただ二人の仲を険悪にしないようにと思って仙道をフォローしただけなのに、なんでこんな言われ方をしなければならないんだろう。すごく腹が立つ。
「ちょっと! なんでわたしの頭がおかしいってことになるのよ!」
「だって、仙道は悪くねぇんだろ!」
「そうは言ってないじゃない!」
「言ったも同然だろうが! お前の部活に対する姿勢はオレと同じだと思ってたけど、どうやら違ったみたいだな。お前も仙道と同類かよ! ったく、お前なんかと仲良くして損したぜ!」
「! な、どういう意味よ!」
「そのまんまの意味だよ」
ぎろりと冷たい一瞥を寄越す越野に、結花の怒りも爆発した。
(仲良くして損しただなんて、いくらなんでもそこまで言うことないじゃない!)
ばちんと勢い良く越野の顔を平手打つ。
「った! なにすんだよ!」
「こっちだって、あんたみたいな融通の利かない頑固者と仲良くするんじゃなかったわよ!」
「ああそうかよ! じゃあもう今日で終わりにしようぜ!」
「え~え、喜んでそうさせてもらうわよ! 明日っからあんたと話さないですむと思ったら、せいせいするわよ!」
「それはこっちのせりふだよ!」
ふんっとお互い顔を背けた。
越野が去っていく足音が、結花の耳に響く。
その音が完全に聞こえなくなって、ひとり残された結花はがっくりその場に膝をついた。
「や、やっちゃった……」
後悔が一気に押し寄せてきた。
完全に売り言葉に買い言葉だ。
越野はほんとうにただの被害者で、仙道が全面的に悪いのに。なんでわざわざ仙道なんか庇って、大好きな越野と絶交宣言をかわしたりしてるんだろう。バカみたいだ。
「……はぁ」
結花は重いため息をつくと、のろのろと立ち上がった。
「あした、学校へ行ったら謝ろう……」
そうすれば、きっと越野も少し不機嫌に、だけど最後には笑って許してくれるはずだ。
結花は小さく頷いて自分を勇気づけると、いつもは越野と楽しく帰る道を、とぼとぼとひとりで歩いて帰った。
ひどく淋しかった。
次の日。
結花は自分の考えがいかに甘いものだったかを思い知らされた。
朝、出会い頭に謝ってしまおうと固く決意していたはずだったのに、いざ越野の顔を見た瞬間、勢い良く顔をそらしてしまった。
ハッと我に返ったときには既に遅く、忌々しそうな舌打ちを残して越野はその場を去っていった。
呼び止めることもできず、それからはお互いに顔をあわせるたびに、そんなことの繰り返しだった。
「はぁ~、どうしよう……」
「いいや、してないね。あいつはむしろ、オレが怒られてるのを見て楽しんでるに決まってる!」
ぐっとこぶしを握りこんで力強く言う越野に、結花は苦笑した。
「えー、いくら仙道でもそんなことないでしょ。ひどいなあ、越野は。言いすぎだよ」
「はぁ!? ひどいのはオレかよ!? 悪いのは全部部活サボる仙道の方だろが!」
「確かに仙道が悪いけど、でも越野もかたすぎるんだって」
「かたくねぇよ! 部活のある日は部活に出ろって、当たり前のこと言ってるだけだろ!? それの何がかたいんだよ! お前どっかおかしいんじゃねぇの!?」
プチッと、結花の中で何かが切れる音がした。
結花はただ二人の仲を険悪にしないようにと思って仙道をフォローしただけなのに、なんでこんな言われ方をしなければならないんだろう。すごく腹が立つ。
「ちょっと! なんでわたしの頭がおかしいってことになるのよ!」
「だって、仙道は悪くねぇんだろ!」
「そうは言ってないじゃない!」
「言ったも同然だろうが! お前の部活に対する姿勢はオレと同じだと思ってたけど、どうやら違ったみたいだな。お前も仙道と同類かよ! ったく、お前なんかと仲良くして損したぜ!」
「! な、どういう意味よ!」
「そのまんまの意味だよ」
ぎろりと冷たい一瞥を寄越す越野に、結花の怒りも爆発した。
(仲良くして損しただなんて、いくらなんでもそこまで言うことないじゃない!)
ばちんと勢い良く越野の顔を平手打つ。
「った! なにすんだよ!」
「こっちだって、あんたみたいな融通の利かない頑固者と仲良くするんじゃなかったわよ!」
「ああそうかよ! じゃあもう今日で終わりにしようぜ!」
「え~え、喜んでそうさせてもらうわよ! 明日っからあんたと話さないですむと思ったら、せいせいするわよ!」
「それはこっちのせりふだよ!」
ふんっとお互い顔を背けた。
越野が去っていく足音が、結花の耳に響く。
その音が完全に聞こえなくなって、ひとり残された結花はがっくりその場に膝をついた。
「や、やっちゃった……」
後悔が一気に押し寄せてきた。
完全に売り言葉に買い言葉だ。
越野はほんとうにただの被害者で、仙道が全面的に悪いのに。なんでわざわざ仙道なんか庇って、大好きな越野と絶交宣言をかわしたりしてるんだろう。バカみたいだ。
「……はぁ」
結花は重いため息をつくと、のろのろと立ち上がった。
「あした、学校へ行ったら謝ろう……」
そうすれば、きっと越野も少し不機嫌に、だけど最後には笑って許してくれるはずだ。
結花は小さく頷いて自分を勇気づけると、いつもは越野と楽しく帰る道を、とぼとぼとひとりで歩いて帰った。
ひどく淋しかった。
次の日。
結花は自分の考えがいかに甘いものだったかを思い知らされた。
朝、出会い頭に謝ってしまおうと固く決意していたはずだったのに、いざ越野の顔を見た瞬間、勢い良く顔をそらしてしまった。
ハッと我に返ったときには既に遅く、忌々しそうな舌打ちを残して越野はその場を去っていった。
呼び止めることもできず、それからはお互いに顔をあわせるたびに、そんなことの繰り返しだった。
「はぁ~、どうしよう……」