不器用な二人
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先輩だ。片づけをサボって話し込んでいるのを見つかってしまった。
「あ、はーいすいません! ――それじゃあ二人とも、また後でね」
慌てて先輩に返事をして踵を返す結花の背中に、越野の声が飛んでくる。
「おう! 結花、いつものとこで待ち合わせな!」
「おっけー!」
結花はひらひらと二人に手を振ると、片づけを再開した。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
結花は仙道から差し出されたハロハロイチゴ味を受け取ると、短くお礼を言ってそれを受け取った。
わくわくと蓋を開け、街灯を受けて輝くルビーのようなそれをスプーンですくうと、一気に頬張る。
口の中いっぱいに広がる甘い香りと、部活でほてった体を癒す冷たさに、結花の表情が自然と緩んだ。
「んんん~! おぉいしい~!」
くぅうっと目を閉じて唸る結花を見て、仙道がははっと笑う。
「そんなにおいしそうに食べてくれると、おごり甲斐があるね」
「そう? もっといろいろなもの奢ってくれてもいいんだよ! もちろん全部おいしそうに食べるから!」
「んー、それは遠慮しとく」
前かがみになって結花が提案すると、仙道がにっこり笑顔でそれを拒んだ。
「なーんだ、ちぇ。つまんない」
ちっと結花は舌打ちをする。
それを横目に見ながら、ひょいと越野がスプーンを伸ばしてきた。
越野は断りもなく結花のアイスをすくって、そのまま自分の口へと運んでいく。
「ああ! 越野! なんでわたしのアイスを食べるの! 自分のがあるじゃない!」
「だってお前うまそうに食うから欲しくなったんだよ、いいだろ一口くらい」
「全然よくない! ザ・自由! ザ・ジャイアニズム! お前のものはオレのもの、オレのものはオレのもの!」
あまりの言い草に、結花は熱くなった。
おいしそうだったら断りもなしに人のアイスを勝手に取っていいのか! 否! いいわけがない!
憤慨する結花の剣幕に、越野が大げさに耳を塞ぐ。
「だー、もう! うるせぇな!」
それでもぎゃあぎゃあと抗議を続けていると、越野が小さく嘆息した。
無造作に自分のスプーンで手元のハロハロブルーハワイ味をすくうと、文句を言い続けている結花の口に乱暴に放り込む。
「ほら。これで同じだろ!」
「!」
「おお」
横でおもしろそうな声をあげる仙道とは反対に、結花の体は硬直した。
反射で閉じた結花の口から越野はスプーンを引っこ抜くと、ひとくちであんな騒ぐこたねぇだろとぶつぶつと文句を言いながら、再び自分のハロハロを食べ始める。
いましがた、結花の口にあったそのスプーンで。
「――!」
カッと結花の全身が、火をつけたように熱くなった。
(かかかか、間接キス……!?)
「あ、はーいすいません! ――それじゃあ二人とも、また後でね」
慌てて先輩に返事をして踵を返す結花の背中に、越野の声が飛んでくる。
「おう! 結花、いつものとこで待ち合わせな!」
「おっけー!」
結花はひらひらと二人に手を振ると、片づけを再開した。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
結花は仙道から差し出されたハロハロイチゴ味を受け取ると、短くお礼を言ってそれを受け取った。
わくわくと蓋を開け、街灯を受けて輝くルビーのようなそれをスプーンですくうと、一気に頬張る。
口の中いっぱいに広がる甘い香りと、部活でほてった体を癒す冷たさに、結花の表情が自然と緩んだ。
「んんん~! おぉいしい~!」
くぅうっと目を閉じて唸る結花を見て、仙道がははっと笑う。
「そんなにおいしそうに食べてくれると、おごり甲斐があるね」
「そう? もっといろいろなもの奢ってくれてもいいんだよ! もちろん全部おいしそうに食べるから!」
「んー、それは遠慮しとく」
前かがみになって結花が提案すると、仙道がにっこり笑顔でそれを拒んだ。
「なーんだ、ちぇ。つまんない」
ちっと結花は舌打ちをする。
それを横目に見ながら、ひょいと越野がスプーンを伸ばしてきた。
越野は断りもなく結花のアイスをすくって、そのまま自分の口へと運んでいく。
「ああ! 越野! なんでわたしのアイスを食べるの! 自分のがあるじゃない!」
「だってお前うまそうに食うから欲しくなったんだよ、いいだろ一口くらい」
「全然よくない! ザ・自由! ザ・ジャイアニズム! お前のものはオレのもの、オレのものはオレのもの!」
あまりの言い草に、結花は熱くなった。
おいしそうだったら断りもなしに人のアイスを勝手に取っていいのか! 否! いいわけがない!
憤慨する結花の剣幕に、越野が大げさに耳を塞ぐ。
「だー、もう! うるせぇな!」
それでもぎゃあぎゃあと抗議を続けていると、越野が小さく嘆息した。
無造作に自分のスプーンで手元のハロハロブルーハワイ味をすくうと、文句を言い続けている結花の口に乱暴に放り込む。
「ほら。これで同じだろ!」
「!」
「おお」
横でおもしろそうな声をあげる仙道とは反対に、結花の体は硬直した。
反射で閉じた結花の口から越野はスプーンを引っこ抜くと、ひとくちであんな騒ぐこたねぇだろとぶつぶつと文句を言いながら、再び自分のハロハロを食べ始める。
いましがた、結花の口にあったそのスプーンで。
「――!」
カッと結花の全身が、火をつけたように熱くなった。
(かかかか、間接キス……!?)