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胸が切り刻まれた様に痛くなる。
「好きなんだ、琴梨」
「う、うそ! そんなの信じられないよ。わたしだって、もう子どもじゃない! これまで……いろんな恋愛もしてきた。だから、そんな言葉で騙されたりしないんだからっ!」
「…………」
琴梨の言葉に、仙道は押し黙った。
からだを苦しいような切ないような衝動が駆け巡る。
「この琴梨のからだに……誰か他の男が触れたの?」
いまにも泣きそうな声が仙道の口からついて出た。
琴梨がその声音に驚いて、戸惑うような声をあげる。
「え……?」
「琴梨も、オレじゃない男の腕の中で、安心したり……した?」
「彰……くん?」
「はは。……悔しいな。今更後悔したって遅いんだけど。――琴梨に触れられるのは、この世界でオレだけがよかった」
体から力が抜けた。
解放された琴梨がくるりと仙道を振り向く。
自分を見上げてくる琴梨の瞳がひどく綺麗で、仙道は眉尻を下げて微笑みながら、琴梨の頬に手を添えた。
そこに、琴梨の涙が一筋流れる。
仙道が優しくその涙を親指の腹でぬぐってやると、また別の涙がそこを濡らした。
仙道はその動作を繰り返す。
「ずっと……っ!」
琴梨が涙の間を縫うようにして声を出した。
瞳を細めて、仙道は琴梨を見つめる。
「うん」
「わたしだって、ずっと彰くんのこと好きだったんだから……っ」
「うん……」
「だけど、彰くんはバスケですごくみんなの注目を浴びるようになって、その頃からわたしに対して距離を置くようになっちゃったから……わたし、彰くんにとって邪魔なんだなって、思って……!」
「うん」
「それからは、そばに行くのも怖かったよ……。でも好きだったから、少しでも話したくて、だから何度も近くに行こうとしたのに、彰くんはわたしを見てくれなかった。だからもう諦めようって、離れて……。高校に彰くんが来るって聞いた時も、ほんとうは会うの怖かった。女の子にいい加減だって噂も知ってたし、わたしなんてもう絶対忘れられてるって。知り合い面したら嫌がられるかもとも思ってた。でも離れてもまだ彰くんのこと、忘れられなかったから……っ。だからまた少しでも話せるようになったらって、勇気を出して試合を見に行って、でも彰くんは……っ」
「うん……。気づかないふりしてごめん、琴梨」
今度は正面から優しく抱きしめると、琴梨もすがりつく様に抱きついてきた。
仙道の胸に顔をうずめて、むせび泣く。
「今更ずるいよ……! わたしのほうが、ずっとずっと彰くんのこと好きだったんだから……っ」
「うん。ごめんね、琴梨。好きだよ。オレも、ずっとずっと琴梨が好きだった」
「彰くん……っ!」
仙道は琴梨を強く抱き締めると、その頭に頬を寄せた。
ふわりと鼻腔をくすぐる甘いシャンプーの香りと、自分のからだに遠慮がちにまわされた琴梨の腕に、胸が優しく締めつけられる。
「琴梨……。遅くなっちゃったけど、オレと結婚してくれる?」
「……結婚は、早いと思う……っ!」
ぐしっと鼻を啜りながら、仙道の胸に顔を押し付けたまま琴梨がくぐもった声をあげた。
その髪を優しく撫でながら、仙道は、ははと小さく肩を揺らす。
「残念。……じゃあ、結婚を前提に、オレとお付き合いしてください」
「……――はい」
微かだけれど、でも紛れもない琴梨の声が仙道の耳に響いた。
胸が喜びで溢れて、どうすればいいのかわからない。
仙道は一度強く琴梨を抱きしめると、そっとからだを離した。
「琴梨、愛してる」
囁くように呟いて、琴梨の唇に、そっと自身のそれを押し当てた。
初めての行為ではないのに、ふわりとやわらかい琴梨の唇にからだの中心がじんと痺れる。
「大切にするよ。ずっと」
気持ちを込めて囁くと、琴梨が今まで見た中で一番綺麗な顔で微笑んだ。
「うん。大好き、彰くん」
微笑むと、仙道は再び琴梨に顔を寄せた。
やっと手に入れた、世界でただひとりだけのキミ。
ずっとずっと大切に守っていくよ。
「好きなんだ、琴梨」
「う、うそ! そんなの信じられないよ。わたしだって、もう子どもじゃない! これまで……いろんな恋愛もしてきた。だから、そんな言葉で騙されたりしないんだからっ!」
「…………」
琴梨の言葉に、仙道は押し黙った。
からだを苦しいような切ないような衝動が駆け巡る。
「この琴梨のからだに……誰か他の男が触れたの?」
いまにも泣きそうな声が仙道の口からついて出た。
琴梨がその声音に驚いて、戸惑うような声をあげる。
「え……?」
「琴梨も、オレじゃない男の腕の中で、安心したり……した?」
「彰……くん?」
「はは。……悔しいな。今更後悔したって遅いんだけど。――琴梨に触れられるのは、この世界でオレだけがよかった」
体から力が抜けた。
解放された琴梨がくるりと仙道を振り向く。
自分を見上げてくる琴梨の瞳がひどく綺麗で、仙道は眉尻を下げて微笑みながら、琴梨の頬に手を添えた。
そこに、琴梨の涙が一筋流れる。
仙道が優しくその涙を親指の腹でぬぐってやると、また別の涙がそこを濡らした。
仙道はその動作を繰り返す。
「ずっと……っ!」
琴梨が涙の間を縫うようにして声を出した。
瞳を細めて、仙道は琴梨を見つめる。
「うん」
「わたしだって、ずっと彰くんのこと好きだったんだから……っ」
「うん……」
「だけど、彰くんはバスケですごくみんなの注目を浴びるようになって、その頃からわたしに対して距離を置くようになっちゃったから……わたし、彰くんにとって邪魔なんだなって、思って……!」
「うん」
「それからは、そばに行くのも怖かったよ……。でも好きだったから、少しでも話したくて、だから何度も近くに行こうとしたのに、彰くんはわたしを見てくれなかった。だからもう諦めようって、離れて……。高校に彰くんが来るって聞いた時も、ほんとうは会うの怖かった。女の子にいい加減だって噂も知ってたし、わたしなんてもう絶対忘れられてるって。知り合い面したら嫌がられるかもとも思ってた。でも離れてもまだ彰くんのこと、忘れられなかったから……っ。だからまた少しでも話せるようになったらって、勇気を出して試合を見に行って、でも彰くんは……っ」
「うん……。気づかないふりしてごめん、琴梨」
今度は正面から優しく抱きしめると、琴梨もすがりつく様に抱きついてきた。
仙道の胸に顔をうずめて、むせび泣く。
「今更ずるいよ……! わたしのほうが、ずっとずっと彰くんのこと好きだったんだから……っ」
「うん。ごめんね、琴梨。好きだよ。オレも、ずっとずっと琴梨が好きだった」
「彰くん……っ!」
仙道は琴梨を強く抱き締めると、その頭に頬を寄せた。
ふわりと鼻腔をくすぐる甘いシャンプーの香りと、自分のからだに遠慮がちにまわされた琴梨の腕に、胸が優しく締めつけられる。
「琴梨……。遅くなっちゃったけど、オレと結婚してくれる?」
「……結婚は、早いと思う……っ!」
ぐしっと鼻を啜りながら、仙道の胸に顔を押し付けたまま琴梨がくぐもった声をあげた。
その髪を優しく撫でながら、仙道は、ははと小さく肩を揺らす。
「残念。……じゃあ、結婚を前提に、オレとお付き合いしてください」
「……――はい」
微かだけれど、でも紛れもない琴梨の声が仙道の耳に響いた。
胸が喜びで溢れて、どうすればいいのかわからない。
仙道は一度強く琴梨を抱きしめると、そっとからだを離した。
「琴梨、愛してる」
囁くように呟いて、琴梨の唇に、そっと自身のそれを押し当てた。
初めての行為ではないのに、ふわりとやわらかい琴梨の唇にからだの中心がじんと痺れる。
「大切にするよ。ずっと」
気持ちを込めて囁くと、琴梨が今まで見た中で一番綺麗な顔で微笑んだ。
「うん。大好き、彰くん」
微笑むと、仙道は再び琴梨に顔を寄せた。
やっと手に入れた、世界でただひとりだけのキミ。
ずっとずっと大切に守っていくよ。
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