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しりとり真剣勝負

「かに」
「肉」
「国」
「にんにく」
「く……車!」
「マイク」
「く……く……くじ!」
「軸」
「く……く……く……クジャク!!」
「苦肉の策」
「うええ、また『く』!?」

いったいこれで何度目の『く』だ。
思いっきり眉を寄せて宗一郎を睨めば、彼は罪のない顔で「うん。『く』だよ」とにこりと微笑んでくる。
おのれ。そんな眩しい笑顔でごまかそうったってそうはいかないんだから!

「さっきっから『く』ばっかり返してきてつまんない!」
「そう? じゃあギブアップする?」
「ぐ……っ。ギ、ギブアップはしない」

こんな姑息な手を使う宗一郎に絶対負けてなるものか!
『く』……他に『く』は……。
あ!

「……車椅子!」
「スモーク」
「く……く……くじ引き!」
「曲」
「く……く……く……っ!」

思わずクイニーアマンと叫びそうになったけどこれはダメだ。
しりとりに負けちゃう。
他に『く』を探さないと……!
隣りを歩く宗一郎は呑気に鼻歌を歌いながら空を見上げていて、なんだかもう本当にすっごく腹が立つ。

空!?

「雲!!」
「木工細工」
「!!」

だ、だめだ。
もう『く』がなにも出てこない……。

「……参りました」
「やった! じゃあ明日はお弁当よろしくね」

宗一郎がとても嬉しそうに笑う。
料理下手なわたしとしては、手作り弁当を掛けたこの勝負ぜったい負けるわけにはいかなかったんだけど、こんなに喜んでもらえるならまあ、いいかな。

「胃薬、ちゃんと用意しといてよね」
「うん。覚悟しとく」

否定もせずに受け入れた宗一郎のお腹に軽いパンチをいれつつ、明日のお弁当はなににしようかと思い巡らせた。






(はい、宗一郎お弁当! 一段目がのり弁で、二段目が五目ご飯だよ)
(うわぁ……。おかずは?)
(お星様になりました。キラッ☆)
(焦がしたんだ……)
(ご、ごめんね! 怒った?)
(ううん。いいよ。想定内。俺の為に早起きしてくれてありがとう)
(!)

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