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仙道は自分の視界が揺らぐのを感じた。
胸が苦しい。
こんな風に伊織を追い詰めて。これ以上ないくらい怯えさせて。
それでも。
(それでも、オレは伊織ちゃんに逃げないで欲しい。また、オレを見て欲しいんだ……!)
なんて自分勝手なんだろう。
最初に伊織から逃げ出したのは自分のほうなのに。
もしも。……もしも、これでダメだったら。
ただ伊織を傷つけるだけの結果で終わってしまうんだったら。
(そのときは、本当に諦めよう……)
「伊織ちゃん……!」
これで最後かもしれない。
仙道はその感触を刻み付けるように強く伊織を抱きしめると、そっと体を離した。
肩に手を置いて、じっと俯いて涙する伊織の頭を見つめる。
弱腰になりそうな自分を叱咤しながら、仙道は唇を持ち上げた。
声よ、震えるな。
「……伊織ちゃん。じゃあ、オレとはもう会わないの?」
「!」
伊織が、弾かれたように顔を上げた。
涙に濡れたその瞳が、驚いたように見開かれていく。
仙道はくるおしい程の気持ちを胸に抱きながら、言葉を続ける。
視界が、滲む。
「伊織ちゃんにとっては、オレも、思い出したくない過去の一部なの……?」
「そ……れは……!」
仙道の泣き出しそうな表情に、伊織は胸が潰れた思いがした。
伊織は仙道にしがみついて、必死に首を横に振る。
「ちがいます! 彰さんは、悪くないです! わたしが……わたしが、よわい……から! ごめんなさい……! ちがうのに……! 彰さんは、いつだって、やさしくて……! なのに、そんなふうに思わせて……ごめんなさい! 彰さん、ごめんなさい!!」
「伊織ちゃん……!」
仙道は再び伊織を抱きしめた。
願いを込めるように、祈りを込めるようにその腕に力を込める。
「オレ、こんなことで伊織ちゃんを諦めたくない……! せっかく、せっかくまた逢えたのに……。好きなんだ、伊織ちゃん。オレ、今でもまだこんなに……こんなにキミのことが好きなんだ……!」
「あきら……さん!」
仙道は伊織の頭に頬を寄せる。
こんなに、好き。
あの夏にキミを失ってから今まで、ずっとずっと後悔の連続で。
バスケや、他の女と遊ぶことで忘れようとしたけど、毎晩毎晩まぶたを閉じて思い出すのはキミの顔。
目覚めると、儚く消えて。
あの永遠に失った日のことを思い出す。
あの夏から、今まで、ずっとそんな日々の繰り返しだった。
そんなのは、もう嫌だ。
「あきら……さん。でも、わたし……!」
ふいに伊織が強い力で仙道を自分から引き離した。
仙道は伊織の目を見て、伊織がなにを言わんとしているのか気付いた。
苦しげに眉を寄せて、伊織の唇に自身の人差し指を添える。
驚いたように目を瞠る伊織に、仙道は泣くのを堪えるように微笑む。
「わかってるから。言わないで、伊織ちゃん」
伊織が、今は誰を好きなのか。
その心に、今は誰が住んでるのか。
ちゃんと気付いてる。
もうあんまり望みはないんだろうってことも、ほんとうはちゃんと気付いてる。
(でも、最後までみっともないくらい足掻きたいんだ……)
胸が苦しい。
こんな風に伊織を追い詰めて。これ以上ないくらい怯えさせて。
それでも。
(それでも、オレは伊織ちゃんに逃げないで欲しい。また、オレを見て欲しいんだ……!)
なんて自分勝手なんだろう。
最初に伊織から逃げ出したのは自分のほうなのに。
もしも。……もしも、これでダメだったら。
ただ伊織を傷つけるだけの結果で終わってしまうんだったら。
(そのときは、本当に諦めよう……)
「伊織ちゃん……!」
これで最後かもしれない。
仙道はその感触を刻み付けるように強く伊織を抱きしめると、そっと体を離した。
肩に手を置いて、じっと俯いて涙する伊織の頭を見つめる。
弱腰になりそうな自分を叱咤しながら、仙道は唇を持ち上げた。
声よ、震えるな。
「……伊織ちゃん。じゃあ、オレとはもう会わないの?」
「!」
伊織が、弾かれたように顔を上げた。
涙に濡れたその瞳が、驚いたように見開かれていく。
仙道はくるおしい程の気持ちを胸に抱きながら、言葉を続ける。
視界が、滲む。
「伊織ちゃんにとっては、オレも、思い出したくない過去の一部なの……?」
「そ……れは……!」
仙道の泣き出しそうな表情に、伊織は胸が潰れた思いがした。
伊織は仙道にしがみついて、必死に首を横に振る。
「ちがいます! 彰さんは、悪くないです! わたしが……わたしが、よわい……から! ごめんなさい……! ちがうのに……! 彰さんは、いつだって、やさしくて……! なのに、そんなふうに思わせて……ごめんなさい! 彰さん、ごめんなさい!!」
「伊織ちゃん……!」
仙道は再び伊織を抱きしめた。
願いを込めるように、祈りを込めるようにその腕に力を込める。
「オレ、こんなことで伊織ちゃんを諦めたくない……! せっかく、せっかくまた逢えたのに……。好きなんだ、伊織ちゃん。オレ、今でもまだこんなに……こんなにキミのことが好きなんだ……!」
「あきら……さん!」
仙道は伊織の頭に頬を寄せる。
こんなに、好き。
あの夏にキミを失ってから今まで、ずっとずっと後悔の連続で。
バスケや、他の女と遊ぶことで忘れようとしたけど、毎晩毎晩まぶたを閉じて思い出すのはキミの顔。
目覚めると、儚く消えて。
あの永遠に失った日のことを思い出す。
あの夏から、今まで、ずっとそんな日々の繰り返しだった。
そんなのは、もう嫌だ。
「あきら……さん。でも、わたし……!」
ふいに伊織が強い力で仙道を自分から引き離した。
仙道は伊織の目を見て、伊織がなにを言わんとしているのか気付いた。
苦しげに眉を寄せて、伊織の唇に自身の人差し指を添える。
驚いたように目を瞠る伊織に、仙道は泣くのを堪えるように微笑む。
「わかってるから。言わないで、伊織ちゃん」
伊織が、今は誰を好きなのか。
その心に、今は誰が住んでるのか。
ちゃんと気付いてる。
もうあんまり望みはないんだろうってことも、ほんとうはちゃんと気付いてる。
(でも、最後までみっともないくらい足掻きたいんだ……)