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夢小説設定
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「そうなんだ。それは初耳だ」
「あはは、だっていま初めて言いましたもん。……だから、彰さん。もう練習サボったりしないでください」
後半を、伊織は仙道の瞳をじっと見上げながら言った。
仙道はそれにたじろいで、視線をふいっとそらす。
「う、ん」
「あ、なんで目を逸らして言うんですか。さては彰さん、守る気ないでしょう」
「いや、違うよ。ちゃんと守るよ」
たまに破るけど。仙道はそれを口には出さず、心の中だけでこっそり呟く。
「じゃあちゃんと目を見て言ってください」
伊織はぐっと仙道の顔を覗きこんだ。
一瞬目と目があったが、すぐに仙道が顔ごと横に向いてそれから逃げる。
「……ごめん、ムリ」
「! やっぱり守る気ないんですね」
「違うよ」
「うー、じゃあなんなんですか?」
伊織が納得いかない様子で食い下がる。
仙道はそれにまいったように息を吐いた。
「伊織ちゃんはさ、もう少しガード固くしたほうがいいよ」
「? どういう意味ですか?」
「だから、そんな目でじっと見られたら、キスしちゃうよってこと」
「!」
仙道のそのセリフに、伊織が大きく後ろに飛び退いた。
(なっ、な、な……!)
伊織の頭が恥ずかしさでパンクしそうになる。
「ははは。まあ、キスしてもいいなら目を見て言うけど……どうする?」
「……!!」
伊織はその問いに、ぶんぶんと真っ赤に染まった顔を横に振って答えた。
仙道がそれを見て悪戯っぽく微笑む。
「なんだ、残念」
「あ、彰さんてほんと……油断も隙もない」
「えー、伊織ちゃんは隙だらけだよ。我慢したオレは紳士だと思うな」
「あそこで我慢してなかったら、ただの犯罪ですっ!」
「わ、傷つくなー」
そう言って仙道がはははと笑う。
もう、と頬をふくらませて伊織は再び仙道の隣りにならんだ。
仙道が押してくれている伊織の自転車のタイヤが、からからと乾いた音を立てる。
その音に耳を澄ましながら、伊織は歩を進めた。
しばらく歩いたところで、ふいに沈黙が落ちる。
「?」
タイヤの音が聞こえなくなったことに気付いて、伊織は振り返る。
仙道が、こちらが苦しくなるくらい切ない表情をして、伊織を見つめていた。
伊織の心臓が、どきんと飛び跳ねる。
「あ、きらさん……」
どきどきと、次第に早まる鼓動。
仙道のただならぬ雰囲気に、伊織の指先からぴりぴりとした緊張が全身に伝わってくる。
仙道は伊織を見て淋しそうに微笑むと、ゆっくりと口を開いた。
「ねえ、伊織ちゃん。どうしてオレを避けるの?」
「あはは、だっていま初めて言いましたもん。……だから、彰さん。もう練習サボったりしないでください」
後半を、伊織は仙道の瞳をじっと見上げながら言った。
仙道はそれにたじろいで、視線をふいっとそらす。
「う、ん」
「あ、なんで目を逸らして言うんですか。さては彰さん、守る気ないでしょう」
「いや、違うよ。ちゃんと守るよ」
たまに破るけど。仙道はそれを口には出さず、心の中だけでこっそり呟く。
「じゃあちゃんと目を見て言ってください」
伊織はぐっと仙道の顔を覗きこんだ。
一瞬目と目があったが、すぐに仙道が顔ごと横に向いてそれから逃げる。
「……ごめん、ムリ」
「! やっぱり守る気ないんですね」
「違うよ」
「うー、じゃあなんなんですか?」
伊織が納得いかない様子で食い下がる。
仙道はそれにまいったように息を吐いた。
「伊織ちゃんはさ、もう少しガード固くしたほうがいいよ」
「? どういう意味ですか?」
「だから、そんな目でじっと見られたら、キスしちゃうよってこと」
「!」
仙道のそのセリフに、伊織が大きく後ろに飛び退いた。
(なっ、な、な……!)
伊織の頭が恥ずかしさでパンクしそうになる。
「ははは。まあ、キスしてもいいなら目を見て言うけど……どうする?」
「……!!」
伊織はその問いに、ぶんぶんと真っ赤に染まった顔を横に振って答えた。
仙道がそれを見て悪戯っぽく微笑む。
「なんだ、残念」
「あ、彰さんてほんと……油断も隙もない」
「えー、伊織ちゃんは隙だらけだよ。我慢したオレは紳士だと思うな」
「あそこで我慢してなかったら、ただの犯罪ですっ!」
「わ、傷つくなー」
そう言って仙道がはははと笑う。
もう、と頬をふくらませて伊織は再び仙道の隣りにならんだ。
仙道が押してくれている伊織の自転車のタイヤが、からからと乾いた音を立てる。
その音に耳を澄ましながら、伊織は歩を進めた。
しばらく歩いたところで、ふいに沈黙が落ちる。
「?」
タイヤの音が聞こえなくなったことに気付いて、伊織は振り返る。
仙道が、こちらが苦しくなるくらい切ない表情をして、伊織を見つめていた。
伊織の心臓が、どきんと飛び跳ねる。
「あ、きらさん……」
どきどきと、次第に早まる鼓動。
仙道のただならぬ雰囲気に、伊織の指先からぴりぴりとした緊張が全身に伝わってくる。
仙道は伊織を見て淋しそうに微笑むと、ゆっくりと口を開いた。
「ねえ、伊織ちゃん。どうしてオレを避けるの?」