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宗一郎が眉根を寄せて言う。
「伊織ちゃん、なんか仙道といろいろあるみたいなんだ。ほんとうは俺だって行かせたくないけど、このままじゃ伊織ちゃんが一番つらいだろ? ……俺が助けてあげられる問題なら助けたいけど、今回の場合はそうじゃない。伊織ちゃんには、ちゃんと仙道と向き合うことが必要なんだ」
「神さん……。でもそれで伊織と仙道がうまくいっちゃったらどうすんスか?」
「うーん。そうなったら……奪う、かな」
「! 神さん!」
信長がぱっと顔を輝かせた。
それをみて宗一郎が悪戯っぽく笑う。
「はは、冗談だよ」
「いや、ぜんっぜん冗談に聞こえないっスよ! わー、神さんかっこいいっス! やっぱ神さんサイコーっス!」
興奮してはしゃいだ様子で、うおーオレも奪って欲しいぜ! などとわけのわからない事を叫んでいる後輩を笑って眺めながら、宗一郎は胸のうちに強い意志を宿して口を開く。
「うん、まあ冗談って言うかなんていうか……。もしそうなっても俺、諦めないよ」
宗一郎が強気にニッと笑う。
信長はそれにほんとうに嬉しそうに笑って元気良く頷いた。
「オレ、全力で応援するっス!」
「はは。ありがと、ノブ。――さ、練習しようか。ずっとこのままだと心臓に悪いしね」
「伊織のこと考えて落ち着かないっスもんね」
「……ノブ、俺にいじめられたいの?」
「ぎゃー違うッス、そういう意味じゃないっスよ!」
「じゃあ今日はノブもシュート練習しようか。スリーポイント十本連続で決めるまで返さないよ、ノブ」
「ぎゃー! 神さんほんとうに違うんスってばー! 勘弁してくださいよー!!」
海南大附属高校男子バスケ部専用体育館。そこに清田信長の悲痛な叫び声が響き渡った。
並んで帰る伊織と仙道を、街灯があたたかく照らし出していた。
空にはいくつもの星が明るく瞬いていて、月も優しく見守ってくれている。
伊織は足もとに伸びる二人分の影を見て、胸がきゅっと痛んだ。
仙道とこんな風に一緒に帰るのなんて、いったい何年ぶりだろう。
(あの頃は毎日一緒に帰って……。それがすごく楽しみだったな……)
ふいにそのときの感情がよみがえってきて、伊織は泣き出したいような気持ちになる。
あんなに大好きで、あんなに伊織の全てを占めていた仙道。
まさか何年後かにこんな形で一緒に帰ることになるなんて思わなかった。
「伊織ちゃん」
「は、はい!」
物思いに耽っていたところをふいに話しかけられ、伊織はびくりと肩を揺らした。
それを怯えていると勘違いした仙道が、切なそうに微笑んで伊織を見つめる。
「はは。そんなにこわがらなくていいよ。なにも取って食おうってわけじゃないんだから」
「そ、そんな風には思ってません。ちょっと考え事してて……」
「考え事?」
「はい。……彰さんと、こんな風に帰るの、久しぶりだなって」
「――!」
その言葉に仙道は一瞬驚いたように目を見開いて、ついで懐かしむように目を細めた。
「そうだね。あの頃は、毎日一緒に帰ってたもんね」
「はい。いつも彰さんのほうが終わるのちょっと早いんですよね。わたし、彰さんが真剣に練習してるの見るのすごく好きだったのに、それだからいつも見れなくて……ちょっと残念でした」
いつもきらきらして、楽しそうにバスケをしてて。
チームメイトのみんなから信頼されてるのが、見てるこっちにまで伝わってきて。
そんな仙道を見るのが、伊織はほんとうに大好きだった。
「伊織ちゃん、なんか仙道といろいろあるみたいなんだ。ほんとうは俺だって行かせたくないけど、このままじゃ伊織ちゃんが一番つらいだろ? ……俺が助けてあげられる問題なら助けたいけど、今回の場合はそうじゃない。伊織ちゃんには、ちゃんと仙道と向き合うことが必要なんだ」
「神さん……。でもそれで伊織と仙道がうまくいっちゃったらどうすんスか?」
「うーん。そうなったら……奪う、かな」
「! 神さん!」
信長がぱっと顔を輝かせた。
それをみて宗一郎が悪戯っぽく笑う。
「はは、冗談だよ」
「いや、ぜんっぜん冗談に聞こえないっスよ! わー、神さんかっこいいっス! やっぱ神さんサイコーっス!」
興奮してはしゃいだ様子で、うおーオレも奪って欲しいぜ! などとわけのわからない事を叫んでいる後輩を笑って眺めながら、宗一郎は胸のうちに強い意志を宿して口を開く。
「うん、まあ冗談って言うかなんていうか……。もしそうなっても俺、諦めないよ」
宗一郎が強気にニッと笑う。
信長はそれにほんとうに嬉しそうに笑って元気良く頷いた。
「オレ、全力で応援するっス!」
「はは。ありがと、ノブ。――さ、練習しようか。ずっとこのままだと心臓に悪いしね」
「伊織のこと考えて落ち着かないっスもんね」
「……ノブ、俺にいじめられたいの?」
「ぎゃー違うッス、そういう意味じゃないっスよ!」
「じゃあ今日はノブもシュート練習しようか。スリーポイント十本連続で決めるまで返さないよ、ノブ」
「ぎゃー! 神さんほんとうに違うんスってばー! 勘弁してくださいよー!!」
海南大附属高校男子バスケ部専用体育館。そこに清田信長の悲痛な叫び声が響き渡った。
並んで帰る伊織と仙道を、街灯があたたかく照らし出していた。
空にはいくつもの星が明るく瞬いていて、月も優しく見守ってくれている。
伊織は足もとに伸びる二人分の影を見て、胸がきゅっと痛んだ。
仙道とこんな風に一緒に帰るのなんて、いったい何年ぶりだろう。
(あの頃は毎日一緒に帰って……。それがすごく楽しみだったな……)
ふいにそのときの感情がよみがえってきて、伊織は泣き出したいような気持ちになる。
あんなに大好きで、あんなに伊織の全てを占めていた仙道。
まさか何年後かにこんな形で一緒に帰ることになるなんて思わなかった。
「伊織ちゃん」
「は、はい!」
物思いに耽っていたところをふいに話しかけられ、伊織はびくりと肩を揺らした。
それを怯えていると勘違いした仙道が、切なそうに微笑んで伊織を見つめる。
「はは。そんなにこわがらなくていいよ。なにも取って食おうってわけじゃないんだから」
「そ、そんな風には思ってません。ちょっと考え事してて……」
「考え事?」
「はい。……彰さんと、こんな風に帰るの、久しぶりだなって」
「――!」
その言葉に仙道は一瞬驚いたように目を見開いて、ついで懐かしむように目を細めた。
「そうだね。あの頃は、毎日一緒に帰ってたもんね」
「はい。いつも彰さんのほうが終わるのちょっと早いんですよね。わたし、彰さんが真剣に練習してるの見るのすごく好きだったのに、それだからいつも見れなくて……ちょっと残念でした」
いつもきらきらして、楽しそうにバスケをしてて。
チームメイトのみんなから信頼されてるのが、見てるこっちにまで伝わってきて。
そんな仙道を見るのが、伊織はほんとうに大好きだった。