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「もー、宗ちゃんはわかってないなあ。あの仙道さんならするに決まってるでしょー。しかも、あんな大勢の前で言ってるみたいなかるぅーいのじゃなくて、もっと真剣なや・つ! 好きだよ伊織ちゃん、なんて勢い余って抱きついてキスしちゃったりして~!」
「…………」
ジェスチャーつきできゃあきゃあ嬉しそうに騒ぐまりあを見て、宗一郎が眉間にしわを寄せた。
胸に不快感が広がっていく。
こっちは練習でもして必死に気を紛らわそうとしているのに、なぜまりあはそんなことばかり言うんだろう。
宗一郎は苛立つ気持ちを落ち着かせようと、心の中で深呼吸する。
「ねね、宗ちゃんだってほんとはそう思ってるんでしょ? あのふたりなんだかんだ仲良いし、明日になったら彼氏彼女になってたりして~! きゃ~っ!」
「…………」
「? 宗ちゃん?」
ふいに黙り込んだ宗一郎に、まりあが不思議そうに小首をかしげた。
宗一郎は無言のまま、まりあを腕から引き剥がし、そのまま手に持っていたボールを乱暴にカゴに戻すと、静かな怒りを漂わせながら低く言い放つ。
「まりあ。それ以上言ったら本気で怒るよ」
「っ! な、なんで、別にいいじゃない、伊織ちゃんが誰と付き合おうと……」
「まりあ」
宗一郎はまだなにか言おうとしたまりあを冷たく一瞥した。
その類の言葉は今は聞きたくはなかった。たとえそれがかわいい幼馴染みの口からだったとしても。
まりあの目に、じわじわと涙が浮かぶ。
しまったと宗一郎が思ったときには遅かった。
「な……によ、宗ちゃんのバカぁっ!!」
まりあは手に持っていたタオルを宗一郎に思いっきり投げつけると、カバンを引っつかんで走りだした。
「まりあ!」
宗一郎の呼び止める声もむなしく、まりあの背中はあっという間に見えなくなっていく。
宗一郎はそれを見送って、深くため息をついた。
またやってしまった。
がっくりと膝を折って、その場に座り込む。
「じ、神さん! 大丈夫っスか!?」
呆気に取られて見守っていた信長だったが、しゃがみこんだ宗一郎にハッとなってそのそばに駆け寄る。
宗一郎は顔は上げずに信長に答えた。
「うん……」
「うん、て。神さん全然大丈夫じゃなさそうじゃないッスか!」
「ノブ、笑っていいよ」
「へ?」
脈絡のない宗一郎の発言に、信長は素っ頓狂な声を上げた。
笑う? 何に対して?
疑問符を浮かべている信長に、宗一郎は自嘲するように口を開く。
「ノブは俺のこと尊敬してるって言ってくれたけど、俺、ほんとはこんな情けないやつなんだ。伊織ちゃんのことになると、全然余裕なくなっちゃって。まりあにまで八つ当たりして……。しかもこれで二回目。ほんと、ダメだなぁ……」
ははっと眉尻を下げて笑う宗一郎に、信長がゆるやかに首を振った。
「……そんなことないっス。誰だって好きな相手のことだったらそうなって当たり前っスよ」
「そうかな」
「そうっス! なんか逆にオレ安心しました。神さん、あんまりにもあっさりしすぎてたから」
「あっさり? 俺がいつ?」
「伊織が仙道と帰るって決めたとき、止めなかったじゃないスか」
「ああ、あれか……」
「…………」
ジェスチャーつきできゃあきゃあ嬉しそうに騒ぐまりあを見て、宗一郎が眉間にしわを寄せた。
胸に不快感が広がっていく。
こっちは練習でもして必死に気を紛らわそうとしているのに、なぜまりあはそんなことばかり言うんだろう。
宗一郎は苛立つ気持ちを落ち着かせようと、心の中で深呼吸する。
「ねね、宗ちゃんだってほんとはそう思ってるんでしょ? あのふたりなんだかんだ仲良いし、明日になったら彼氏彼女になってたりして~! きゃ~っ!」
「…………」
「? 宗ちゃん?」
ふいに黙り込んだ宗一郎に、まりあが不思議そうに小首をかしげた。
宗一郎は無言のまま、まりあを腕から引き剥がし、そのまま手に持っていたボールを乱暴にカゴに戻すと、静かな怒りを漂わせながら低く言い放つ。
「まりあ。それ以上言ったら本気で怒るよ」
「っ! な、なんで、別にいいじゃない、伊織ちゃんが誰と付き合おうと……」
「まりあ」
宗一郎はまだなにか言おうとしたまりあを冷たく一瞥した。
その類の言葉は今は聞きたくはなかった。たとえそれがかわいい幼馴染みの口からだったとしても。
まりあの目に、じわじわと涙が浮かぶ。
しまったと宗一郎が思ったときには遅かった。
「な……によ、宗ちゃんのバカぁっ!!」
まりあは手に持っていたタオルを宗一郎に思いっきり投げつけると、カバンを引っつかんで走りだした。
「まりあ!」
宗一郎の呼び止める声もむなしく、まりあの背中はあっという間に見えなくなっていく。
宗一郎はそれを見送って、深くため息をついた。
またやってしまった。
がっくりと膝を折って、その場に座り込む。
「じ、神さん! 大丈夫っスか!?」
呆気に取られて見守っていた信長だったが、しゃがみこんだ宗一郎にハッとなってそのそばに駆け寄る。
宗一郎は顔は上げずに信長に答えた。
「うん……」
「うん、て。神さん全然大丈夫じゃなさそうじゃないッスか!」
「ノブ、笑っていいよ」
「へ?」
脈絡のない宗一郎の発言に、信長は素っ頓狂な声を上げた。
笑う? 何に対して?
疑問符を浮かべている信長に、宗一郎は自嘲するように口を開く。
「ノブは俺のこと尊敬してるって言ってくれたけど、俺、ほんとはこんな情けないやつなんだ。伊織ちゃんのことになると、全然余裕なくなっちゃって。まりあにまで八つ当たりして……。しかもこれで二回目。ほんと、ダメだなぁ……」
ははっと眉尻を下げて笑う宗一郎に、信長がゆるやかに首を振った。
「……そんなことないっス。誰だって好きな相手のことだったらそうなって当たり前っスよ」
「そうかな」
「そうっス! なんか逆にオレ安心しました。神さん、あんまりにもあっさりしすぎてたから」
「あっさり? 俺がいつ?」
「伊織が仙道と帰るって決めたとき、止めなかったじゃないスか」
「ああ、あれか……」