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夢小説設定
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こんな風に伊織が無邪気に甘えてくれるのは、自分を友達としか認識していないからだ。
(……オレってつくづく男と思われてねえのな)
こんな風に抱き寄せても、伊織に顔色ひとつ変えられないなんて。
でもそれでもいい。この地位を望んだのは自分自身だ。
信長はふうと息を吐き出すと、そのまま力強く抱きしめたい衝動をぐっと我慢して、伊織の頭をがしがし撫でた。
そうしてゆっくり伊織から体を離す。
伊織に泣いて潤んだ瞳で見つめられて、信長の心臓がせわしなく動きはじめる。
信長はそんな自分の感情を隠すように、乱暴に伊織にタオルを渡すと、言った。
「仙道に何かされそうになったら、オレに連絡しろよ。すぐに飛んでってやるから」
「……ノブ~、大好き~~っ」
「なっちょっ、バカ、抱きつくな!!」
感極まって抱きついてきた伊織を信長は慌てて引き剥がす。
信長のタオルでおとなしく涙を拭きはじめた伊織の頭をもう一度がしがしと撫でて、信長は倉庫をあとにした。
ついに、このときが来てしまった。
伊織は更衣室で着替え終わると、はぁと深くため息を吐き出す。
夢だったらいいのに。そんな一縷の望みを抱きながら部室のドアをそろそろと開けた。
その先に制服姿でボールをくるくるまわす仙道の姿を見つけて、伊織はがっくりと肩を落とす。
(ああ、夢なわけないよね現実よね……)
しばらく伊織はうなだれたまま立ち尽くしていたが、観念したように仙道に声をかけた。
「……お待たせしました」
「あ、伊織ちゃん。準備できた? もう帰れるの?」
「残念ながら」
「はは。伊織ちゃんも往生際が悪いなぁ」
「うう、彰さんは諦めが悪いですね」
「まあね」
精一杯の皮肉で言ってやったつもりなのに、なんだかにっこり返されてしまった。
もうきっと、この人には何を言ってもダメだ。
そう感じて、伊織は疲れたような息を吐く。
「じゃあ帰ろうか」
「……はい。お先に失礼します」
どんよりした顔で伊織はそう言うと、仙道と一緒に体育館を後にした。
宗一郎は、去っていく二人の背中を眉根を寄せて見送った。
ほんとうは仙道となんて帰らせたくない。
だけど、しょうがない。これは、伊織にとっても必要なことだから。
そう念じて、宗一郎は今すぐあとを追いかけたい衝動を必死で抑え込む。
「わー、本当にあのふたり一緒に帰ったね!」
まりあが嬉しそうに言って宗一郎の腕に巻きついてくる。
「ねね、宗ちゃん。仙道さん、絶対帰り道伊織ちゃんに告白するよね」
「さあね。俺にはわからないよ」
平静を装って宗一郎はそう言う。
そんな宗一郎に気付いてないのか、まりあが不満げにばら色のほっぺをぷぅと膨らませて反論した。
(……オレってつくづく男と思われてねえのな)
こんな風に抱き寄せても、伊織に顔色ひとつ変えられないなんて。
でもそれでもいい。この地位を望んだのは自分自身だ。
信長はふうと息を吐き出すと、そのまま力強く抱きしめたい衝動をぐっと我慢して、伊織の頭をがしがし撫でた。
そうしてゆっくり伊織から体を離す。
伊織に泣いて潤んだ瞳で見つめられて、信長の心臓がせわしなく動きはじめる。
信長はそんな自分の感情を隠すように、乱暴に伊織にタオルを渡すと、言った。
「仙道に何かされそうになったら、オレに連絡しろよ。すぐに飛んでってやるから」
「……ノブ~、大好き~~っ」
「なっちょっ、バカ、抱きつくな!!」
感極まって抱きついてきた伊織を信長は慌てて引き剥がす。
信長のタオルでおとなしく涙を拭きはじめた伊織の頭をもう一度がしがしと撫でて、信長は倉庫をあとにした。
ついに、このときが来てしまった。
伊織は更衣室で着替え終わると、はぁと深くため息を吐き出す。
夢だったらいいのに。そんな一縷の望みを抱きながら部室のドアをそろそろと開けた。
その先に制服姿でボールをくるくるまわす仙道の姿を見つけて、伊織はがっくりと肩を落とす。
(ああ、夢なわけないよね現実よね……)
しばらく伊織はうなだれたまま立ち尽くしていたが、観念したように仙道に声をかけた。
「……お待たせしました」
「あ、伊織ちゃん。準備できた? もう帰れるの?」
「残念ながら」
「はは。伊織ちゃんも往生際が悪いなぁ」
「うう、彰さんは諦めが悪いですね」
「まあね」
精一杯の皮肉で言ってやったつもりなのに、なんだかにっこり返されてしまった。
もうきっと、この人には何を言ってもダメだ。
そう感じて、伊織は疲れたような息を吐く。
「じゃあ帰ろうか」
「……はい。お先に失礼します」
どんよりした顔で伊織はそう言うと、仙道と一緒に体育館を後にした。
宗一郎は、去っていく二人の背中を眉根を寄せて見送った。
ほんとうは仙道となんて帰らせたくない。
だけど、しょうがない。これは、伊織にとっても必要なことだから。
そう念じて、宗一郎は今すぐあとを追いかけたい衝動を必死で抑え込む。
「わー、本当にあのふたり一緒に帰ったね!」
まりあが嬉しそうに言って宗一郎の腕に巻きついてくる。
「ねね、宗ちゃん。仙道さん、絶対帰り道伊織ちゃんに告白するよね」
「さあね。俺にはわからないよ」
平静を装って宗一郎はそう言う。
そんな宗一郎に気付いてないのか、まりあが不満げにばら色のほっぺをぷぅと膨らませて反論した。