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わざわざ球技大会の種目と重なる部活の生徒は予め除外できるように名簿を作らされたり、運動部と文化部の比率は均等にだとか、明日の話し合いが円滑で滞りのないものになるように、これでもかというくらい綿密な準備をさせられてしまった。
(まったく……。競技とおんなじ部活の人なんて当日手を挙げてもらえばそれで済む話なのに……)
げっそりと疲れたように伊織は息を吐き出すと、部活へ向かう足をはやめた。
体育館の扉をすがりつくように掴むと、勢いよく引きあける。
「すみません、遅くなりましたっ!」
ぺこりと下げた頭をあげて、伊織は絶句した。
思わず反射的に、開けた扉をそのまま閉める。
(え、あれ……?)
見間違いだろうか。
いま。仙道が牧たちと一緒に練習していたような気がする。
思って伊織は、はははと乾いた笑い声をあげた。
まさか。そんなわけないじゃないか。
だって、仙道は陵南高校のバスケ部員だし。
いくらなんでも他校の生徒と一緒に練習だなんてそんなこと。
「ないないない! 見間違いだって……」
伊織があはははと笑って自分に言い聞かせていると、突然閉めた扉が開いた。
そこから、ほどよく汗をかいた仙道がひょこっと顔を出す。
「伊織ちゃん、委員会おつかれさま! そんなとこでなにやってるの?」
「って、わーーー、やっぱり彰さんっ!」
にこにこ笑顔で言ってくる仙道に、伊織は絶叫した。
脱力したようにがっくり地面に膝をつき、そんなバカな……なんで彰さんが一緒に練習……いやむしろ、ここはほんとうに海南……? と伊織はぶつぶつ呟いた。
それに仙道も一緒になってしゃがみこむ。
「伊織ちゃんどうしたの?」
「…………」
「伊織ちゃん? おーい」
なにやらひとりでぶつぶつ言いながら反応を返さない伊織に、仙道が弱って伊織の顔の下に手を滑り込ませてひらひら振った。
伊織はそれをも意に介さずに沈黙を貫く。
何でこの人は今日も懲りずにここにいるんだろう。なんで。
考えながら、伊織は自分の内側にイライラが募ってくるのを感じた。
どうすれば伝わるんだろう。どうすれば。
そんな伊織に、仙道が心配そうに眉尻を下げて言う。
「伊織ちゃん、大丈夫?」
そのとき、伊織の中の何かが音を立てて切れた。
伊織の全身がわなわなと震えて、怒りが体を駆け巡る。
仙道のせいでこんなに悩んでるのに、それなのに。
(大丈夫、ですって……?)
「大丈夫なわけ……ないでしょーー!!」
伊織は力いっぱい叫んだ。
その大声に、仙道はもちろん、体育館中の人間が練習の手をとめて伊織をぎょっと見つめた。
伊織は構わず、仙道に向かってまくし立てる。
「いいっ加減にしてください、彰さん! いったい何考えてるんですか!! もう五日ですよ!? 彰さん、もう今日で連続五日目ですよ!? こんなに練習休んで……!」
伊織の瞳にじんわりと涙が浮かぶ。
仙道がそれをみて、ハッと息を呑んだ。
「伊織ちゃん……」
「一日! たった一日練習休んだだけで、取り戻すのに三日もかかるんですよ!? 今日で五日目だから、彰さんの場合十五日間つまり約半月! こんな、こんな時間ムダ使いして! もうすぐ地区予選だって始まるんでしょう!? エースが五日も練習サボって、陵南の選手たちにだって迷惑かかるじゃないですか! エースなんだったらそこらへんもっとちゃんと自覚してください、練習サボりすぎてこのまま陵南に戻っても彰さん居場所なくなっちゃったらどうするんです、そんなのわたし嫌ですよ!? わたしにかまってるよりもっと他にやることあるでしょ、本当にいったい何考えてるんですか!!」
(まったく……。競技とおんなじ部活の人なんて当日手を挙げてもらえばそれで済む話なのに……)
げっそりと疲れたように伊織は息を吐き出すと、部活へ向かう足をはやめた。
体育館の扉をすがりつくように掴むと、勢いよく引きあける。
「すみません、遅くなりましたっ!」
ぺこりと下げた頭をあげて、伊織は絶句した。
思わず反射的に、開けた扉をそのまま閉める。
(え、あれ……?)
見間違いだろうか。
いま。仙道が牧たちと一緒に練習していたような気がする。
思って伊織は、はははと乾いた笑い声をあげた。
まさか。そんなわけないじゃないか。
だって、仙道は陵南高校のバスケ部員だし。
いくらなんでも他校の生徒と一緒に練習だなんてそんなこと。
「ないないない! 見間違いだって……」
伊織があはははと笑って自分に言い聞かせていると、突然閉めた扉が開いた。
そこから、ほどよく汗をかいた仙道がひょこっと顔を出す。
「伊織ちゃん、委員会おつかれさま! そんなとこでなにやってるの?」
「って、わーーー、やっぱり彰さんっ!」
にこにこ笑顔で言ってくる仙道に、伊織は絶叫した。
脱力したようにがっくり地面に膝をつき、そんなバカな……なんで彰さんが一緒に練習……いやむしろ、ここはほんとうに海南……? と伊織はぶつぶつ呟いた。
それに仙道も一緒になってしゃがみこむ。
「伊織ちゃんどうしたの?」
「…………」
「伊織ちゃん? おーい」
なにやらひとりでぶつぶつ言いながら反応を返さない伊織に、仙道が弱って伊織の顔の下に手を滑り込ませてひらひら振った。
伊織はそれをも意に介さずに沈黙を貫く。
何でこの人は今日も懲りずにここにいるんだろう。なんで。
考えながら、伊織は自分の内側にイライラが募ってくるのを感じた。
どうすれば伝わるんだろう。どうすれば。
そんな伊織に、仙道が心配そうに眉尻を下げて言う。
「伊織ちゃん、大丈夫?」
そのとき、伊織の中の何かが音を立てて切れた。
伊織の全身がわなわなと震えて、怒りが体を駆け巡る。
仙道のせいでこんなに悩んでるのに、それなのに。
(大丈夫、ですって……?)
「大丈夫なわけ……ないでしょーー!!」
伊織は力いっぱい叫んだ。
その大声に、仙道はもちろん、体育館中の人間が練習の手をとめて伊織をぎょっと見つめた。
伊織は構わず、仙道に向かってまくし立てる。
「いいっ加減にしてください、彰さん! いったい何考えてるんですか!! もう五日ですよ!? 彰さん、もう今日で連続五日目ですよ!? こんなに練習休んで……!」
伊織の瞳にじんわりと涙が浮かぶ。
仙道がそれをみて、ハッと息を呑んだ。
「伊織ちゃん……」
「一日! たった一日練習休んだだけで、取り戻すのに三日もかかるんですよ!? 今日で五日目だから、彰さんの場合十五日間つまり約半月! こんな、こんな時間ムダ使いして! もうすぐ地区予選だって始まるんでしょう!? エースが五日も練習サボって、陵南の選手たちにだって迷惑かかるじゃないですか! エースなんだったらそこらへんもっとちゃんと自覚してください、練習サボりすぎてこのまま陵南に戻っても彰さん居場所なくなっちゃったらどうするんです、そんなのわたし嫌ですよ!? わたしにかまってるよりもっと他にやることあるでしょ、本当にいったい何考えてるんですか!!」