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夢小説設定
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「あ、伊織ちゃんコーラ飲んでるんだ」
「へへ、好きなんです、コーラ」
「おいしいよね。俺も好きだよ、コーラ。まあ滅多に飲めないけど」
その言葉に、伊織がハッと缶を取り落としそうになった。
しまったという表情を浮かべて、宗一郎を振り返る。
「ご、ごめんなさい宗先輩!」
「え、なに?」
「だって、スポーツ選手は炭酸なかなか飲めないのに……! わたしったら何も考えずに……」
「ああ。はは、いいよ。炭酸飲んだら体力なくなるってやつ、一応気をつけてるけど俺あんまり信じてないし。にしても伊織ちゃん、よくそんなこと知ってるね。スポーツでもやってたの?」
「!」
その質問に、伊織がびくりと肩を震わせた。
「ち、中学のときに運動部で……!」
「へえ、そうなんだ」
伊織のその過敏な反応に宗一郎は内心で首をかしげた。
それ以上触れて欲しくなさそうな雰囲気だったので、宗一郎はさりげなく話をそらす。
「それにしても、ほんとうにおいしそうだね」
「あわわ、捨てましょうか!」
「はは、なんで! ……じゃあ、ひとくちちょうだい」
「え!?」
言って、宗一郎は伊織の手から缶をひょいと取り上げた。
流れるようなしぐさで缶に口をつけると、そのままひとくち嚥下する。
そのときにごくりと上下した宗一郎の喉仏が、公園の街灯に照らされてひどく色っぽく見えた。
伊織はからだじゅうの血が沸騰したように熱くなったのを感じた。
バクバクとせわしなく心臓が脈打つ。
(うわわ、宗先輩男の人なのにすごく綺麗で色っぽいっていうか、喉仏もそうだけど、ちょっとまってそれってこれって間接キス……!?)
頭に血が上ってなにがなんだかわからない。
混乱する伊織に、宗一郎は罪のない笑顔で笑って、伊織にコーラを返す。
「はい、ありがと」
「いいいえ、どういたしまして」
伊織はしどろもどろになりながらも缶を受け取った。
(これ、どうしよう……)
当然そのまま普通に飲めばいいに決まっているが、ほかにだれも人なんていないのに、なんだか世界じゅうの人に見張られているみたいで、くちもとに持っていく勇気がでなかった。
伊織と宗一郎と、二人だけしかいない公園で、手には口をつけたら間接キスの缶を持っていて。
(でも、宗先輩がここから飲んだってことは、宗先輩はもうわたしと間接キスしてるわけで……)
そこまで考えて、さらに伊織の頭がはずかしさで破裂した。
なんだか缶を持つ手が震える。
くすぐったくて、なにか叫びだしたいような気持ちになる。
(うう、宗先輩は全然普通なのに……)
もしかしたら、わたしってすっごいヘンタイなのかもしれない。伊織がのぼせた頭を冷やすようにパタパタと手で顔に風を送っていると、宗一郎がふいに静かに尋ねてきた。
「伊織ちゃん。……仙道が、こわい?」
「!」
その問いに、今度は伊織の体が一気に冷えた。
怯えて固くなる心を叱咤しながら、ぎゅっと手元の缶を握り締めて、伊織は震える唇を押し開く。
「彰さん……が、こわいっていうか……。あの、わたし、彰さんと同時期に、失ったものがあって……。それが、すごく、大切で……」
「うん」
「へへ、好きなんです、コーラ」
「おいしいよね。俺も好きだよ、コーラ。まあ滅多に飲めないけど」
その言葉に、伊織がハッと缶を取り落としそうになった。
しまったという表情を浮かべて、宗一郎を振り返る。
「ご、ごめんなさい宗先輩!」
「え、なに?」
「だって、スポーツ選手は炭酸なかなか飲めないのに……! わたしったら何も考えずに……」
「ああ。はは、いいよ。炭酸飲んだら体力なくなるってやつ、一応気をつけてるけど俺あんまり信じてないし。にしても伊織ちゃん、よくそんなこと知ってるね。スポーツでもやってたの?」
「!」
その質問に、伊織がびくりと肩を震わせた。
「ち、中学のときに運動部で……!」
「へえ、そうなんだ」
伊織のその過敏な反応に宗一郎は内心で首をかしげた。
それ以上触れて欲しくなさそうな雰囲気だったので、宗一郎はさりげなく話をそらす。
「それにしても、ほんとうにおいしそうだね」
「あわわ、捨てましょうか!」
「はは、なんで! ……じゃあ、ひとくちちょうだい」
「え!?」
言って、宗一郎は伊織の手から缶をひょいと取り上げた。
流れるようなしぐさで缶に口をつけると、そのままひとくち嚥下する。
そのときにごくりと上下した宗一郎の喉仏が、公園の街灯に照らされてひどく色っぽく見えた。
伊織はからだじゅうの血が沸騰したように熱くなったのを感じた。
バクバクとせわしなく心臓が脈打つ。
(うわわ、宗先輩男の人なのにすごく綺麗で色っぽいっていうか、喉仏もそうだけど、ちょっとまってそれってこれって間接キス……!?)
頭に血が上ってなにがなんだかわからない。
混乱する伊織に、宗一郎は罪のない笑顔で笑って、伊織にコーラを返す。
「はい、ありがと」
「いいいえ、どういたしまして」
伊織はしどろもどろになりながらも缶を受け取った。
(これ、どうしよう……)
当然そのまま普通に飲めばいいに決まっているが、ほかにだれも人なんていないのに、なんだか世界じゅうの人に見張られているみたいで、くちもとに持っていく勇気がでなかった。
伊織と宗一郎と、二人だけしかいない公園で、手には口をつけたら間接キスの缶を持っていて。
(でも、宗先輩がここから飲んだってことは、宗先輩はもうわたしと間接キスしてるわけで……)
そこまで考えて、さらに伊織の頭がはずかしさで破裂した。
なんだか缶を持つ手が震える。
くすぐったくて、なにか叫びだしたいような気持ちになる。
(うう、宗先輩は全然普通なのに……)
もしかしたら、わたしってすっごいヘンタイなのかもしれない。伊織がのぼせた頭を冷やすようにパタパタと手で顔に風を送っていると、宗一郎がふいに静かに尋ねてきた。
「伊織ちゃん。……仙道が、こわい?」
「!」
その問いに、今度は伊織の体が一気に冷えた。
怯えて固くなる心を叱咤しながら、ぎゅっと手元の缶を握り締めて、伊織は震える唇を押し開く。
「彰さん……が、こわいっていうか……。あの、わたし、彰さんと同時期に、失ったものがあって……。それが、すごく、大切で……」
「うん」