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夢小説設定
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「はは、なんでもないよ。伊織ちゃん、貧血はよくなった?」
「あ、はい」
「じゃあ、帰ろうか。自転車の鍵貸して」
「あ、ちょっと待ってください」
伊織はごそごそとカバンをあさって、自転車の鍵を取り出した。
それを宗一郎に渡しながら、悩ましげに眉根を寄せる。
「それにしても、やっぱり宗先輩はナゾなひとですね」
「俺がナゾ?」
自転車を押して伊織の元へ戻りながら、宗一郎が聞き返す。
歩いて帰ろうかという宗一郎の横に並ぶと、伊織はそれに大きく頷いた。
「はい。ナゾです。わたし、てっきりもう宗先輩に嫌われちゃったんだと思ってました」
「ええ!? 俺が!? なんで!? 俺そんな態度とってた!?」
伊織のその言葉に、宗一郎がぎょっとしたように伊織を見た。
その驚きように、伊織も目を丸くする。
「あ、いや……。だってこの前、なんか怒ってたような雰囲気で、伊織ちゃんのためにやったわけじゃないからって……」
「あ、ああ。あれ? なんだびっくりした。あれはね……」
説明しようとして宗一郎はハタと言葉を止めた。
ダメだ。説明できない。
まさか、伊織を思ってやったのではなくて、自分が、伊織と仙道がデートするなんて許せなかったからだなんて、言えるわけがない。
これじゃあ、ほとんど告白だ。
宗一郎はうまい言い訳はないかと思考をめぐらせた。
「あー、えーと、ほら。意気込んでも30点とられちゃったからちょっと恥ずかしかったんだよ」
歯切れ悪く言う宗一郎だったが、伊織はなんの疑問ももたずにそれを聞いて、安心したように笑った。
「なんだ。そうだったんですか? そんな、結果なんて関係ないのに。わたし、宗先輩ががんばってくれたって聞いて、すっごくすっごく嬉しかったんですよ!」
「そっか」
宗一郎は、ほんとうに嬉しそうに言う伊織に胸を落ち着かなくさせながら、自分も微笑み返した。
「それなら、変な意地張らずに素直に言えばよかったね」
「そうですよー。見かけによらずけっこう意地っ張りなんですね」
「まあね。男の子だからかっこつけたいときもあるよ」
「おお、なんか宗先輩が身近に感じる!」
「はは。伊織ちゃん、ちょっと寄り道して帰ろっか。そこの公園で缶ジュースでも飲まない? おごるよ」
「あ、じゃあ今日はわたしがおごります!」
「伊織ちゃんが?」
「はい! わざわざ遠回りして送ってくれてるんですし、お礼させてください」
「うーん。じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「ぜひ!」
そう言うと、二人は公園に入っていった。
宗一郎はブランコの前で自転車を止めると、その柵に腰を降ろした。
伊織はそのまま自販機の前まで歩いていき、お金を入れてまず自分の分を買うと、くるりと後ろを振り向いた。
「そうせんぱーい! 何飲みたいですかー?」
「んー。じゃあポカリ!」
「はーい!」
元気良く返事をすると、伊織は自販機にお金を入れた。
目的のボタンを押して受け取り口から商品を取り出すと、そのまま宗一郎のもとへ取って返す。
「はい」
伊織はにっこり笑って宗一郎にポカリを差し出すと、自分もその隣りに腰掛けた。
宗一郎は何の気なしに伊織の缶に目をやった。
「あ、はい」
「じゃあ、帰ろうか。自転車の鍵貸して」
「あ、ちょっと待ってください」
伊織はごそごそとカバンをあさって、自転車の鍵を取り出した。
それを宗一郎に渡しながら、悩ましげに眉根を寄せる。
「それにしても、やっぱり宗先輩はナゾなひとですね」
「俺がナゾ?」
自転車を押して伊織の元へ戻りながら、宗一郎が聞き返す。
歩いて帰ろうかという宗一郎の横に並ぶと、伊織はそれに大きく頷いた。
「はい。ナゾです。わたし、てっきりもう宗先輩に嫌われちゃったんだと思ってました」
「ええ!? 俺が!? なんで!? 俺そんな態度とってた!?」
伊織のその言葉に、宗一郎がぎょっとしたように伊織を見た。
その驚きように、伊織も目を丸くする。
「あ、いや……。だってこの前、なんか怒ってたような雰囲気で、伊織ちゃんのためにやったわけじゃないからって……」
「あ、ああ。あれ? なんだびっくりした。あれはね……」
説明しようとして宗一郎はハタと言葉を止めた。
ダメだ。説明できない。
まさか、伊織を思ってやったのではなくて、自分が、伊織と仙道がデートするなんて許せなかったからだなんて、言えるわけがない。
これじゃあ、ほとんど告白だ。
宗一郎はうまい言い訳はないかと思考をめぐらせた。
「あー、えーと、ほら。意気込んでも30点とられちゃったからちょっと恥ずかしかったんだよ」
歯切れ悪く言う宗一郎だったが、伊織はなんの疑問ももたずにそれを聞いて、安心したように笑った。
「なんだ。そうだったんですか? そんな、結果なんて関係ないのに。わたし、宗先輩ががんばってくれたって聞いて、すっごくすっごく嬉しかったんですよ!」
「そっか」
宗一郎は、ほんとうに嬉しそうに言う伊織に胸を落ち着かなくさせながら、自分も微笑み返した。
「それなら、変な意地張らずに素直に言えばよかったね」
「そうですよー。見かけによらずけっこう意地っ張りなんですね」
「まあね。男の子だからかっこつけたいときもあるよ」
「おお、なんか宗先輩が身近に感じる!」
「はは。伊織ちゃん、ちょっと寄り道して帰ろっか。そこの公園で缶ジュースでも飲まない? おごるよ」
「あ、じゃあ今日はわたしがおごります!」
「伊織ちゃんが?」
「はい! わざわざ遠回りして送ってくれてるんですし、お礼させてください」
「うーん。じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「ぜひ!」
そう言うと、二人は公園に入っていった。
宗一郎はブランコの前で自転車を止めると、その柵に腰を降ろした。
伊織はそのまま自販機の前まで歩いていき、お金を入れてまず自分の分を買うと、くるりと後ろを振り向いた。
「そうせんぱーい! 何飲みたいですかー?」
「んー。じゃあポカリ!」
「はーい!」
元気良く返事をすると、伊織は自販機にお金を入れた。
目的のボタンを押して受け取り口から商品を取り出すと、そのまま宗一郎のもとへ取って返す。
「はい」
伊織はにっこり笑って宗一郎にポカリを差し出すと、自分もその隣りに腰掛けた。
宗一郎は何の気なしに伊織の缶に目をやった。