10
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
けれど、覚悟したぬくもりはいっこうに触れない。
恐る恐る目を開けると、宗一郎が仙道の腕を掴んでそれを阻止していた。
「仙道」
宗一郎が、牽制するように仙道をみやる。
「……なるほどね」
仙道ははかるようにその視線を見返したかと思うと、一人納得したように呟いて、伊織から身を離した。
「じゃあ、伊織ちゃん。今日は帰るね。でもオレ、諦めないから」
「!」
仙道はそれだけ言うと、宗一郎に鋭い視線を残してその場を去っていった。
宗一郎はそれを見届けると、おもむろに自分の自転車の鍵を信長に渡した。
「わっ! 神さんなんすか、これ」
「ノブ、今日はまりあをお願い。俺が伊織ちゃん送って帰るから」
「了解っス、神さん!」
「ええ!? なんで宗ちゃん! 伊織ちゃんにはノブくんいるから大丈夫じゃない!」
信長はぴっと敬礼すると、ぎゃんぎゃん反論するまりあを引きずって、駐輪場へと消えていった。
宗一郎はそれを困ったように眺めて苦笑を零す。
伊織はそんな宗一郎を見て、困惑した。
やっぱり宗一郎が何を考えているのかわからない。
だって、あのときわたしのためじゃないって言ってたのに……。
伊織の心の中に、なんだかかわいくない気持ちがじわじわと広がっていく。
「宗先輩、あれじゃあまりあちゃんがかわいそうです」
「伊織ちゃん?」
伊織は宗一郎から体を離してひとりでまっすぐ立つと、宗一郎を怒ったように見やった。
なんだか胸がもやもやして苦しい。
興味ないなら興味ないで、優しくなんてしてくれなくていいのに。
そんな風にされたら余計、期待しちゃってつらいのに……。
胸がもやもやする。まっくろな感情が広がっていく。
「わたしなら、大丈夫ですから! ちゃんと一人で立てます。まりあちゃんのこと、もっと大事にしてあげてください」
「まりあのことならちゃんと大事にしてるよ。あれでもかわいい幼馴染だからね。だけど、いつ誰を大事にするかなんて、俺が決めることだよ」
宗一郎が、伊織の右手をとった。
「今、俺がそばにいたいのは伊織ちゃんだよ」
自身の両手で伊織の手を優しく包み込むと、真摯な瞳で伊織を見つめる。
伊織の胸がどくんと飛び上がった。
そのままどきどきと心臓は早鐘を打ち始める。
「俺は、伊織ちゃんの力になりたい」
「!」
「……迷惑?」
その言葉に、伊織はぷるぷると首を振る。
宗一郎がほっとしたようににこりと微笑んだ。
「はは、よかった」
そう言って、ゆっくりと伊織の手を掴んでいた手を離す。
宗一郎のぬくもりが徐々に薄れていくのを伊織はさびしい気持ちで見つめながら、ポツリと呟いた。
「宗先輩。わたし、なんかちょっとさっきやさぐれた気分で……。可愛くないこと言ってごめんなさい」
「……あれはあれで結構かわいかったけど」
「え?」
良く聞き取れずに伊織は問い返す。
恐る恐る目を開けると、宗一郎が仙道の腕を掴んでそれを阻止していた。
「仙道」
宗一郎が、牽制するように仙道をみやる。
「……なるほどね」
仙道ははかるようにその視線を見返したかと思うと、一人納得したように呟いて、伊織から身を離した。
「じゃあ、伊織ちゃん。今日は帰るね。でもオレ、諦めないから」
「!」
仙道はそれだけ言うと、宗一郎に鋭い視線を残してその場を去っていった。
宗一郎はそれを見届けると、おもむろに自分の自転車の鍵を信長に渡した。
「わっ! 神さんなんすか、これ」
「ノブ、今日はまりあをお願い。俺が伊織ちゃん送って帰るから」
「了解っス、神さん!」
「ええ!? なんで宗ちゃん! 伊織ちゃんにはノブくんいるから大丈夫じゃない!」
信長はぴっと敬礼すると、ぎゃんぎゃん反論するまりあを引きずって、駐輪場へと消えていった。
宗一郎はそれを困ったように眺めて苦笑を零す。
伊織はそんな宗一郎を見て、困惑した。
やっぱり宗一郎が何を考えているのかわからない。
だって、あのときわたしのためじゃないって言ってたのに……。
伊織の心の中に、なんだかかわいくない気持ちがじわじわと広がっていく。
「宗先輩、あれじゃあまりあちゃんがかわいそうです」
「伊織ちゃん?」
伊織は宗一郎から体を離してひとりでまっすぐ立つと、宗一郎を怒ったように見やった。
なんだか胸がもやもやして苦しい。
興味ないなら興味ないで、優しくなんてしてくれなくていいのに。
そんな風にされたら余計、期待しちゃってつらいのに……。
胸がもやもやする。まっくろな感情が広がっていく。
「わたしなら、大丈夫ですから! ちゃんと一人で立てます。まりあちゃんのこと、もっと大事にしてあげてください」
「まりあのことならちゃんと大事にしてるよ。あれでもかわいい幼馴染だからね。だけど、いつ誰を大事にするかなんて、俺が決めることだよ」
宗一郎が、伊織の右手をとった。
「今、俺がそばにいたいのは伊織ちゃんだよ」
自身の両手で伊織の手を優しく包み込むと、真摯な瞳で伊織を見つめる。
伊織の胸がどくんと飛び上がった。
そのままどきどきと心臓は早鐘を打ち始める。
「俺は、伊織ちゃんの力になりたい」
「!」
「……迷惑?」
その言葉に、伊織はぷるぷると首を振る。
宗一郎がほっとしたようににこりと微笑んだ。
「はは、よかった」
そう言って、ゆっくりと伊織の手を掴んでいた手を離す。
宗一郎のぬくもりが徐々に薄れていくのを伊織はさびしい気持ちで見つめながら、ポツリと呟いた。
「宗先輩。わたし、なんかちょっとさっきやさぐれた気分で……。可愛くないこと言ってごめんなさい」
「……あれはあれで結構かわいかったけど」
「え?」
良く聞き取れずに伊織は問い返す。