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そのほうが宗一郎たちが出てくる頃にはスムーズに帰れて効率がいい。
今日も着替えを済ませて宗一郎と信長が部室から出てきた頃には、もう帰れる準備が整っていた。
「かえろー、宗ちゃん!」
まりあがハートマークを飛び散らせながら宗一郎に駆け寄っていく。
伊織と信長がそれを苦笑交じりに見守って、四人で体育館の出入り口を出た。
すると。
「やっほー、伊織ちゃん! おつかれさま」
「あ、きらさん!」
そこでいきなり仙道に声をかけられて、伊織はぎょっと身を引いた。
信長も宗一郎もまりあも、みな一様に驚いた表情で仙道をまじまじと見つめている。
伊織はとっさに隣りにいた信長の袖をつかむと、そのまま信長の後ろに身を隠した。
そんな伊織のおののきなど気にも留めず、仙道は困ったように眉尻を下げる。
「伊織ちゃんひどいなあ。あれから何回もメールしてるのに全部無視するんだもん。ちなみに、内容は読んでくれた?」
信長の背中越しに、伊織がぶんぶんと首を振った。
仙道はそんな伊織にははっと笑い声を零すと、指折り数えてメールの内容を読み上げ始めた。
「あのね、一通目がてんぷら食べたい。二通目が、越野がオニ。あ、越野って陵南のバスケ部員ね。この前も試合に出てた、背番号6番のやつ。んで、三通目が越野がアクマ。で、四通目が越野が大魔王。で、五通目が……」
「あのっ!」
永遠に続きそうなそれを、伊織が声を上げて制止した。
「わたし! 内容なんて聞いてませんから! ……なっ、なにしに来たんですか!」
それだけ言って、緊張で青ざめた顔色で伊織は仙道を見た。
仙道はそんな伊織を見て切なそうに微笑むと、手を差し伸べる。
「一緒に帰ろう、伊織ちゃん」
「かっ帰りません」
「どうして? 送るよ」
「ノっ、ノブが送ってくれるから大丈夫です!」
「ふうん。――ノブナガくん。その役オレに譲って」
「だだだだめだめ!」
信長が答えるより早く、伊織が怒涛のごとく答えた。
信長がそれを受けて、後ろで震える伊織を親指で示しながら仙道をにらみつけた。
「そう本人も言ってるんで。今日のところはおとなしく帰りやがれせんどー」
「えー。じゃあ三人で帰ろう」
にっこりと仙道が新たな提案をしてきた。
伊織はそれに強いめまいを覚えた。
もう、どうしてこの人は……。
過去をそんなに簡単に割り切れるわけがないのに。
仙道だって、そのことを知ってるはずなのに。
そこまで考えたとき、足もとがぐらっと揺らいだ。
地面に倒れこみそうになった体を、横から強い手で支えられる。
「伊織ちゃん! 大丈夫?」
「あ、宗……先輩。すみません、大丈夫です」
伊織は少しぼやっとする頭を手で押さえながらも、ひとりで立とうと、支えてくれる宗一郎の手から離れた。
しかし、今度は肩をつかまれぐんと宗一郎のそばに引き寄せられてしまう。
「!? そそ、宗先輩!?」
「顔色が悪いよ、伊織ちゃん。いいから俺によっかかって。仙道、今日はもういいだろ? これ以上彼女を追い詰めたって逆効果だよ」
「……神。たしかに……そうかもな」
仙道は伊織を気遣うように見つめると、その頬に手を伸ばした。
伊織はハッとなって目をつぶった。
今日も着替えを済ませて宗一郎と信長が部室から出てきた頃には、もう帰れる準備が整っていた。
「かえろー、宗ちゃん!」
まりあがハートマークを飛び散らせながら宗一郎に駆け寄っていく。
伊織と信長がそれを苦笑交じりに見守って、四人で体育館の出入り口を出た。
すると。
「やっほー、伊織ちゃん! おつかれさま」
「あ、きらさん!」
そこでいきなり仙道に声をかけられて、伊織はぎょっと身を引いた。
信長も宗一郎もまりあも、みな一様に驚いた表情で仙道をまじまじと見つめている。
伊織はとっさに隣りにいた信長の袖をつかむと、そのまま信長の後ろに身を隠した。
そんな伊織のおののきなど気にも留めず、仙道は困ったように眉尻を下げる。
「伊織ちゃんひどいなあ。あれから何回もメールしてるのに全部無視するんだもん。ちなみに、内容は読んでくれた?」
信長の背中越しに、伊織がぶんぶんと首を振った。
仙道はそんな伊織にははっと笑い声を零すと、指折り数えてメールの内容を読み上げ始めた。
「あのね、一通目がてんぷら食べたい。二通目が、越野がオニ。あ、越野って陵南のバスケ部員ね。この前も試合に出てた、背番号6番のやつ。んで、三通目が越野がアクマ。で、四通目が越野が大魔王。で、五通目が……」
「あのっ!」
永遠に続きそうなそれを、伊織が声を上げて制止した。
「わたし! 内容なんて聞いてませんから! ……なっ、なにしに来たんですか!」
それだけ言って、緊張で青ざめた顔色で伊織は仙道を見た。
仙道はそんな伊織を見て切なそうに微笑むと、手を差し伸べる。
「一緒に帰ろう、伊織ちゃん」
「かっ帰りません」
「どうして? 送るよ」
「ノっ、ノブが送ってくれるから大丈夫です!」
「ふうん。――ノブナガくん。その役オレに譲って」
「だだだだめだめ!」
信長が答えるより早く、伊織が怒涛のごとく答えた。
信長がそれを受けて、後ろで震える伊織を親指で示しながら仙道をにらみつけた。
「そう本人も言ってるんで。今日のところはおとなしく帰りやがれせんどー」
「えー。じゃあ三人で帰ろう」
にっこりと仙道が新たな提案をしてきた。
伊織はそれに強いめまいを覚えた。
もう、どうしてこの人は……。
過去をそんなに簡単に割り切れるわけがないのに。
仙道だって、そのことを知ってるはずなのに。
そこまで考えたとき、足もとがぐらっと揺らいだ。
地面に倒れこみそうになった体を、横から強い手で支えられる。
「伊織ちゃん! 大丈夫?」
「あ、宗……先輩。すみません、大丈夫です」
伊織は少しぼやっとする頭を手で押さえながらも、ひとりで立とうと、支えてくれる宗一郎の手から離れた。
しかし、今度は肩をつかまれぐんと宗一郎のそばに引き寄せられてしまう。
「!? そそ、宗先輩!?」
「顔色が悪いよ、伊織ちゃん。いいから俺によっかかって。仙道、今日はもういいだろ? これ以上彼女を追い詰めたって逆効果だよ」
「……神。たしかに……そうかもな」
仙道は伊織を気遣うように見つめると、その頬に手を伸ばした。
伊織はハッとなって目をつぶった。