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そこには、宗一郎の目的の人物であった仙道彰が立っていた。
仙道はゆっくりとした動作でこちらに片手をあげる。
「神、このあと時間あるか? ちょっと話があるんだ」
宗一郎は隣りを歩くまりあに視線を向けた。
まりあも突然の仙道の出現に驚いたように目をくりくりさせている。
「まりあ」
宗一郎は先ほどの反省も踏まえて、優しく呼びかける。
「俺の自転車で先帰って」
「え、でも……」
「まりあの家に止めておいてくれて構わないから」
「そ、宗ちゃん!」
「じゃあ、まりあ。気をつけて」
宗一郎は一方的に話を切り上げ、まりあに自転車を渡すと、戸惑うまりあをそのままに仙道に向かって歩き出した。
「まりあちゃん、ごめんね。ちょっとだけ神を借りるね」
首をめぐらせてまりあにすまなそうに頭を下げる仙道に、まりあは黙ってむくれて見せた。
仙道がそれを見て、ははと眉尻を下げて笑う。
「神。かわいい幼馴染がご立腹だよ」
「うん。後でフォローするからいいよ」
「へえ。そっか」
仙道はひとり納得したように笑いながら、まだむくれたままのまりあにひらひらと手を振っている。
宗一郎はそれを横目で一瞥して、口を開いた。
「仙道。この近くに公園があるんだ。そこでいい?」
「オッケー」
仙道は軽い調子で返事をすると、表情をあらためて前に向き直った。
公園にはもう人の姿がなかった。
昼間は子供たちでにぎやかなこの場所も、主がいなくなるととたんにさびしい場所に感じる。
宗一郎は公園の中ほどで足を止めると、のんびり後ろをついてきていた仙道を振り返った。
それに気付いた仙道も、ぴたりと足を止める。
視線がぶつかり、それまで和やかだった二人の空気が微妙な緊張感に包まれた。
仙道がゆっくりと話し出す。
「悪いな。帰るところを連れ出して」
「俺も仙道に会いに行くところだったから、ちょうどいいよ」
「へえ」
宗一郎のその返事に、仙道がおもしろそうに口の端を持ち上げた。
宗一郎は普段の穏やかな雰囲気に、どこか鋭いものを滲ませて仙道を見やる。
「それで、そっちの話って?」
宗一郎のその問いに、仙道の表情も真剣なモノに変わった。
挑むように向けられるその鋭いまなざしが宗一郎を貫く。
「神。お前、伊織ちゃんが好きなの?」
宗一郎は視線をそらすことなく真っ向から仙道を見つめかえし、静かな声ではっきりと答えた。
「好きだよ」
「……そうか」
「仙道も、だろ? さっき言ってた”たったひとり”って、伊織ちゃんのことなんだろ?」
「はは、正解」
仙道が眉尻を下げて笑った。
さきほどまで仙道を包んでいたとがった空気が緩み、かわりに憂いの色を纏っていく。
仙道はゆっくりとした動作でこちらに片手をあげる。
「神、このあと時間あるか? ちょっと話があるんだ」
宗一郎は隣りを歩くまりあに視線を向けた。
まりあも突然の仙道の出現に驚いたように目をくりくりさせている。
「まりあ」
宗一郎は先ほどの反省も踏まえて、優しく呼びかける。
「俺の自転車で先帰って」
「え、でも……」
「まりあの家に止めておいてくれて構わないから」
「そ、宗ちゃん!」
「じゃあ、まりあ。気をつけて」
宗一郎は一方的に話を切り上げ、まりあに自転車を渡すと、戸惑うまりあをそのままに仙道に向かって歩き出した。
「まりあちゃん、ごめんね。ちょっとだけ神を借りるね」
首をめぐらせてまりあにすまなそうに頭を下げる仙道に、まりあは黙ってむくれて見せた。
仙道がそれを見て、ははと眉尻を下げて笑う。
「神。かわいい幼馴染がご立腹だよ」
「うん。後でフォローするからいいよ」
「へえ。そっか」
仙道はひとり納得したように笑いながら、まだむくれたままのまりあにひらひらと手を振っている。
宗一郎はそれを横目で一瞥して、口を開いた。
「仙道。この近くに公園があるんだ。そこでいい?」
「オッケー」
仙道は軽い調子で返事をすると、表情をあらためて前に向き直った。
公園にはもう人の姿がなかった。
昼間は子供たちでにぎやかなこの場所も、主がいなくなるととたんにさびしい場所に感じる。
宗一郎は公園の中ほどで足を止めると、のんびり後ろをついてきていた仙道を振り返った。
それに気付いた仙道も、ぴたりと足を止める。
視線がぶつかり、それまで和やかだった二人の空気が微妙な緊張感に包まれた。
仙道がゆっくりと話し出す。
「悪いな。帰るところを連れ出して」
「俺も仙道に会いに行くところだったから、ちょうどいいよ」
「へえ」
宗一郎のその返事に、仙道がおもしろそうに口の端を持ち上げた。
宗一郎は普段の穏やかな雰囲気に、どこか鋭いものを滲ませて仙道を見やる。
「それで、そっちの話って?」
宗一郎のその問いに、仙道の表情も真剣なモノに変わった。
挑むように向けられるその鋭いまなざしが宗一郎を貫く。
「神。お前、伊織ちゃんが好きなの?」
宗一郎は視線をそらすことなく真っ向から仙道を見つめかえし、静かな声ではっきりと答えた。
「好きだよ」
「……そうか」
「仙道も、だろ? さっき言ってた”たったひとり”って、伊織ちゃんのことなんだろ?」
「はは、正解」
仙道が眉尻を下げて笑った。
さきほどまで仙道を包んでいたとがった空気が緩み、かわりに憂いの色を纏っていく。