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夢小説設定
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「ノブ、ありがと」
「おう。ま、まりあちゃんに絶交されても、オレがいるから安心しろよ」
「まりあちゃんのこと好きなのに、それでもわたしとも友達でいてくれるの?」
「あったりまえだろ? 男は女と違って、友情に関しては当人同士の問題なんだよ。仲良いヤツが自分の好きなヤツを嫌ったからって、オレまでそいつと付き合わなくなったり仲悪くなったりなんてしないの」
「ふーん。いいな、男って。わたしもしがらみのない男に生まれたかった」
「大丈夫だ、伊織。お前は十分男だ」
「…………ノブに、感動したわたしがバカだった」
伊織は結構本気で信長に拳をぶつけると、そのままにこりと微笑んだ。
「ありがとう、ノブ。大好き」
「……おう」
友情の証として向けられたその言葉に胸のやわらかいところを抉られ、ひとしれず泣きそうになりながら、それでも信長は笑顔で伊織に答えた。
「ノブくーん! 伊織ちゃーん!」
伊織が信長とじゃれあっているちょうどそのとき、遠くから声が聞こえた。
伊織が振り返ると、宗一郎とまりあが自転車を二人乗りしてこちらに向かってきていた。
朝から宗一郎の姿を見ることが出来て、伊織の胸が喜びに弾む。
さらさらの黒髪を風になびかせている宗一郎は、やっぱりとってもかっこいい。
まりあは自転車をこぐ宗一郎の肩に片手を置いて、空いたほうの手を大きく振っている。
伊織と信長の二人も手を振りかえした。
キッと音をたてて、宗一郎が伊織たちの隣りに自転車を止める。
「おはよう伊織ちゃん、ノブ」
「おはようございます、神先輩。朝会うなんて初めてですね」
「そうだね。今日はまりあが買い弁だから、ちょっとこっちに寄ったんだ」
「へえ、まりあちゃんが。珍しいね」
後半は、まりあに視線を移して伊織が言う。
まりあはまるで伊織に見せ付けるように宗一郎の腕に抱きつくと、笑顔で頷いた。
今度はずきりと軋む、伊織の胸。
「うん。ちょっと今から買ってくるから、待っててね宗ちゃん」
そう言って、まりあはコンビニにぱたぱたと駆け出していく。
三人はそれを見送ると、だれからともなく口を開いた。
「そっちは誰が買い弁なの?」
「あ、オレっス。かーちゃんに今日部活だって言うの忘れちゃって」
「ああ。ノブやりそうだね。そういうの」
「でも、かーちゃんもいい加減休日も部活があることくらいわかってて欲しいんすけどねー」
「それはノブのわがままだよ」
伊織が言うと、信長がぶすっと顔をふくれさせる。
「それはわかってっけどさー。かーちゃん弁当代もくれないんだぜ!?」
「え。じゃあ、やっぱり忍者めしの代金払おうか?」
「だからそれはいいって」
「でもノブ金欠のイメージだもん。なんか悪いよ」
「金欠は金欠だけど、たった三百円くらいどってことないぜ。いいから気にすんな。また髪ぐしゃぐしゃにするぞ」
「……ありがたくちょうだいしておきます」
「おう」
信長がなぜか得意げにふんぞり返って言う。
宗一郎はその二人のやりとりを見て、複雑な表情でため息をついた。
「なんか、俺ってお邪魔虫? 二人の間に入っていけないな」
「ええ! そんなことないです!」
「そうっすよ! 邪魔って言ったら伊織の方が邪魔で……」
「なに!?」