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夢小説設定
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「……っ、ご、ごめんなさい!」
自分でもなにに謝ってるのかよくわからなかったけど、伊織はなんとかそれだけ言って、その場を立ち去った。
背中に、宗一郎の視線を感じる。
どうしよう。どうしたらいい。だれかおしえて。
伊織の頬を、涙が一筋伝った。
と、そのとき。
「伊織ちゃあ~ん!」
まりあがちょこちょこと小リスのようにかけよってきた。
伊織は慌てて頬に零れ落ちた涙をぬぐうと、まりあのほうへ顔を向けた。
「どうしたの? まりあちゃん」
「ちょっと手伝って」
伊織のところにたどり着いたまりあは、迫力のある笑顔でにっこりそういうと、伊織の腕をとって歩き、体育館隅にあるボールカゴのそばで足を止めた。
ボール磨きグッズを伊織とまりあと二人分用意すると、ちょこんとその前に座る。
まりあは小さな手でぱしぱしと自分の横を叩き、伊織にも隣りに座るよう促す。
伊織は言われたとおりにそこに座ると、まりあに差し出されたボール磨きグッズと、大分汚れに年季が入ったボールを受け取った。
まりあの真意はわからなかったけど、とりあえず伊織はそれを磨いた。
さきほどの宗一郎の悲しそうな顔を頭から追い出したくて、伊織はボールのよごれを熱心に落としていく。
かなりボールが綺麗になってきたときに、横で同様にボール磨きをしているまりあが、ふいに口を開いた。
周りには聞こえないように、けれど噛み付くような剣幕で言ってくる。
「ちょっと伊織ちゃん! もっとうまくやってよ! あれじゃあ宗ちゃんがなんか誤解しちゃうじゃない!」
「…………ごめん」
もっともな意見に、伊織は素直に謝った。
「でも、どうしたらいいかわからなくて……」
「どうしたらって、普通に接すればいいじゃない。今までみたいに。なにが難しいの?」
「だって……。まりあちゃん、わたしと神先輩が二人になるのいやでしょ?」
それに、わたしも神先輩と二人だと気持ちが溢れて苦しいし。伊織はその言葉を声に出さず、飲み込んだ。
手元できゅっきゅとボールが鳴る。
「あったりまでしょ!? でもだからってあんな風に避けたらおかしいでしょ!? 伊織ちゃんってほんっと不器用! 信じらんない! 今までよりちょっと控えめに仲良くしてて、その中でさらにまりあを売り込めばいいのよ。かんたんでしょ?」
「…………」
鼻息もあらく言ってくるまりあに、伊織はしばし呆然とした。
内容も内容だけど、でもなんか……。
「……まりあちゃん」
「なに!?」
まりあがギンと鋭い視線を向けてくる。
「まりあちゃん、なんか性格変わったよね」
「!? 誰のせいだと思ってんのよ!」
いまにも手元のボールを伊織にぶつけんばかりの勢いで、まりあが言った。
相変わらず周囲を気にして声は小さいが、凄い迫力だ。
伊織はその答えに思わず苦笑する。
「あ、やっぱり?」
「当たり前でしょッ!? とにかくわたしに迷惑かけないで! 宗ちゃんに近づかないで! でも宗ちゃんに不審に思われないようにうまくやって! 親友でしょ!? あ、あと当たり前だけどこのことは宗ちゃんにはナイショだからね! わたしの性格のことも、宗ちゃんに言ったら絶交なんだから!」
まりあは一気にそれだけまくしたてると、まだまだたくさんある汚れたボールをそのままに、フンとその場を去っていった。
自分でもなにに謝ってるのかよくわからなかったけど、伊織はなんとかそれだけ言って、その場を立ち去った。
背中に、宗一郎の視線を感じる。
どうしよう。どうしたらいい。だれかおしえて。
伊織の頬を、涙が一筋伝った。
と、そのとき。
「伊織ちゃあ~ん!」
まりあがちょこちょこと小リスのようにかけよってきた。
伊織は慌てて頬に零れ落ちた涙をぬぐうと、まりあのほうへ顔を向けた。
「どうしたの? まりあちゃん」
「ちょっと手伝って」
伊織のところにたどり着いたまりあは、迫力のある笑顔でにっこりそういうと、伊織の腕をとって歩き、体育館隅にあるボールカゴのそばで足を止めた。
ボール磨きグッズを伊織とまりあと二人分用意すると、ちょこんとその前に座る。
まりあは小さな手でぱしぱしと自分の横を叩き、伊織にも隣りに座るよう促す。
伊織は言われたとおりにそこに座ると、まりあに差し出されたボール磨きグッズと、大分汚れに年季が入ったボールを受け取った。
まりあの真意はわからなかったけど、とりあえず伊織はそれを磨いた。
さきほどの宗一郎の悲しそうな顔を頭から追い出したくて、伊織はボールのよごれを熱心に落としていく。
かなりボールが綺麗になってきたときに、横で同様にボール磨きをしているまりあが、ふいに口を開いた。
周りには聞こえないように、けれど噛み付くような剣幕で言ってくる。
「ちょっと伊織ちゃん! もっとうまくやってよ! あれじゃあ宗ちゃんがなんか誤解しちゃうじゃない!」
「…………ごめん」
もっともな意見に、伊織は素直に謝った。
「でも、どうしたらいいかわからなくて……」
「どうしたらって、普通に接すればいいじゃない。今までみたいに。なにが難しいの?」
「だって……。まりあちゃん、わたしと神先輩が二人になるのいやでしょ?」
それに、わたしも神先輩と二人だと気持ちが溢れて苦しいし。伊織はその言葉を声に出さず、飲み込んだ。
手元できゅっきゅとボールが鳴る。
「あったりまでしょ!? でもだからってあんな風に避けたらおかしいでしょ!? 伊織ちゃんってほんっと不器用! 信じらんない! 今までよりちょっと控えめに仲良くしてて、その中でさらにまりあを売り込めばいいのよ。かんたんでしょ?」
「…………」
鼻息もあらく言ってくるまりあに、伊織はしばし呆然とした。
内容も内容だけど、でもなんか……。
「……まりあちゃん」
「なに!?」
まりあがギンと鋭い視線を向けてくる。
「まりあちゃん、なんか性格変わったよね」
「!? 誰のせいだと思ってんのよ!」
いまにも手元のボールを伊織にぶつけんばかりの勢いで、まりあが言った。
相変わらず周囲を気にして声は小さいが、凄い迫力だ。
伊織はその答えに思わず苦笑する。
「あ、やっぱり?」
「当たり前でしょッ!? とにかくわたしに迷惑かけないで! 宗ちゃんに近づかないで! でも宗ちゃんに不審に思われないようにうまくやって! 親友でしょ!? あ、あと当たり前だけどこのことは宗ちゃんにはナイショだからね! わたしの性格のことも、宗ちゃんに言ったら絶交なんだから!」
まりあは一気にそれだけまくしたてると、まだまだたくさんある汚れたボールをそのままに、フンとその場を去っていった。