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伊織がまりあの指差す方向を見ると、一人の男のひとがこちらに向かって歩いてきていた。
色黒で、がっちりしていて、背は……バスケをやるにはそこまで高いほうじゃないんだろう。
伊織は、練習をしているほかのバスケ部員を見渡して思う。
(この人が牧さん……)
なんだかちょっと怖そうだ。
牧は二人の目の前まで来ると、眉間にしわを寄せて口を開いた。
「こら、雪原。だれが老けてるって?」
「きゃあ、聞こえてました?」
「ばっちりな」
かわいらしく首をすくめるまりあの頭を、牧はぽんと優しく叩くと、伊織に目を向けた。
「君は?」
その問いかけに、伊織の体を緊張が駆け抜ける。
「あ、す、鈴村伊織といいます! あ、あの、ま、まりあちゃんと一緒にマネージャーを希望していてっ」
(ひぃ~~! 緊張してうまくしゃべれない~~!!)
パニックになりながらもなんとか喋ろうと言葉を探していると、どこからかくすくすと笑い声が聞こえた。
ついで、聞き覚えのある声が聞こえる。
「ほら。牧さんが怖い顔するから、彼女おびえちゃってますよ」
「あ……」
(もしかして、この声って……)
高鳴る胸とともに、声の主にすばやく視線を移動すると、そこには入学式の日に体育館で出会ったひとがいた。
(やっぱり! 神先輩!!)
再び出会えたことがうれしくて、伊織の顔に笑顔が広がる。
胸が、どきんどきんと高鳴る。
「怖い顔ってな、神。俺は昔からこういう顔だ」
「はは。そうでしたね」
「お前な……」
牧とそんなやり取りを交わす宗一郎に、お久しぶりですと伊織が声をかけようとしたとき。
「宗ちゃんっ!!」
まりあの弾んだ声音が鼓膜を打った。
ヒュッと風を感じたかと思うと、まりあは伊織の脇を通りすぎ、目の前の宗一郎の腕に飛び込んでいった。
(え……?)
「うわっ! ――危ないよ、まりあ」
「えへへ。宗ちゃん、ごめんなさい」
とっさにまりあを抱きとめた宗一郎が、すぐにまりあから体を離して優しく嗜める。
そんな光景を呆然と見ながら、伊織の胸に、じわじわと嫌な予感が広がっていく。
(まさか……まさか……。まりあちゃんの言ってた人って……)
まりあは、立ち尽くす伊織に気づくと、ぱっと笑顔を向けた。
「あっ、伊織ちゃん! 紹介するね。この人がわたしの幼馴染、神宗一郎。宗ちゃんだよ!」
にこやかに話すまりあの言葉をどこか遠くに聞きながら、伊織は自分の目の前が真っ暗になっていくのを感じていた。
To be continued…
色黒で、がっちりしていて、背は……バスケをやるにはそこまで高いほうじゃないんだろう。
伊織は、練習をしているほかのバスケ部員を見渡して思う。
(この人が牧さん……)
なんだかちょっと怖そうだ。
牧は二人の目の前まで来ると、眉間にしわを寄せて口を開いた。
「こら、雪原。だれが老けてるって?」
「きゃあ、聞こえてました?」
「ばっちりな」
かわいらしく首をすくめるまりあの頭を、牧はぽんと優しく叩くと、伊織に目を向けた。
「君は?」
その問いかけに、伊織の体を緊張が駆け抜ける。
「あ、す、鈴村伊織といいます! あ、あの、ま、まりあちゃんと一緒にマネージャーを希望していてっ」
(ひぃ~~! 緊張してうまくしゃべれない~~!!)
パニックになりながらもなんとか喋ろうと言葉を探していると、どこからかくすくすと笑い声が聞こえた。
ついで、聞き覚えのある声が聞こえる。
「ほら。牧さんが怖い顔するから、彼女おびえちゃってますよ」
「あ……」
(もしかして、この声って……)
高鳴る胸とともに、声の主にすばやく視線を移動すると、そこには入学式の日に体育館で出会ったひとがいた。
(やっぱり! 神先輩!!)
再び出会えたことがうれしくて、伊織の顔に笑顔が広がる。
胸が、どきんどきんと高鳴る。
「怖い顔ってな、神。俺は昔からこういう顔だ」
「はは。そうでしたね」
「お前な……」
牧とそんなやり取りを交わす宗一郎に、お久しぶりですと伊織が声をかけようとしたとき。
「宗ちゃんっ!!」
まりあの弾んだ声音が鼓膜を打った。
ヒュッと風を感じたかと思うと、まりあは伊織の脇を通りすぎ、目の前の宗一郎の腕に飛び込んでいった。
(え……?)
「うわっ! ――危ないよ、まりあ」
「えへへ。宗ちゃん、ごめんなさい」
とっさにまりあを抱きとめた宗一郎が、すぐにまりあから体を離して優しく嗜める。
そんな光景を呆然と見ながら、伊織の胸に、じわじわと嫌な予感が広がっていく。
(まさか……まさか……。まりあちゃんの言ってた人って……)
まりあは、立ち尽くす伊織に気づくと、ぱっと笑顔を向けた。
「あっ、伊織ちゃん! 紹介するね。この人がわたしの幼馴染、神宗一郎。宗ちゃんだよ!」
にこやかに話すまりあの言葉をどこか遠くに聞きながら、伊織は自分の目の前が真っ暗になっていくのを感じていた。
To be continued…