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夢小説設定
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「事情は聞いたの?」
信長は静かに首を振る。
「あいつ、聞いても教えてくんないんスよ。なんでもないの一点張りで。ったく、あの状態でよくなんでもないなんて言えるもんだぜ」
「ほんとね。――でも、なるほど。ノブくんはそれでイライラしてたのね」
「は? どういうイミッスか?」
「ふふ。伊織ちゃんに頼りにされなくってさびしいんでしょ? ノブくんは本当に伊織ちゃんが大好きなのね」
「はあ!? いや、違うッスよ! 全然違うッス! ただ、あいつがあんなんだとこっちも調子狂うだけで……」
「ふふ。恋って罪よね」
「いや、だから!」
重ねて言う小百合に信長がきっぱり否定しようとしたところで、再び体育館に瓦礫でも落っこちてきたような凄まじい音が響き渡った。
また伊織がなにかやらかしたらしい。
小百合は困ったように肩をすくめた。
「それにしても、本当に重症ね、伊織ちゃん。…………もしかして、悩みってアノことかしら」
ふと真顔になって、何かを考え込むように言う小百合に、信長が身を乗り出した。
その拍子に、顔に乗せていたタオルがぱさりと床に落ちる。
「え? アノことって? 小百合さん、何か知ってるんスか!?」
「あ、ううん。何でもないの。こっちのこと」
信長の勢いにハッと我に返った小百合の返答に、信長は不満そうに唇を尖らせた。
「え~!? そんなのズルイッスよ~。なんか知ってるんだったら教えてくださいよ~」
「ふふ。な・い・しょ! そんなことより、ノブくんは早く自分の気持ちを自覚した方がいいんじゃない? もたもたしてると手遅れになっちゃうんだから。それじゃあね」
小百合は楽しそうにそれだけ言うと、信長の落としたタオルを拾い上げ去っていった。
ひとり取り残された信長は、ちぇーっとつまらなそうに呟く。
「なんだよ~。小百合さんだけずっりーの。それに自分の気持ちってなんだよ」
信長ははぁーっと息を吐きながら再び仰向けにひっくり返った。
(伊織はそんなんじゃない。大事な友達で仲間で、だから元気がないと気になって落ち着かない。それだけだ。第一、オレはまりあちゃんが好きなんだし……)
そこまで考えて信長は頭を掻き毟った。
ただでさえぼさぼさ頭なのに、そのせいで余計に髪がぼさぼさになる。
伊織は違う。そんなんじゃない。なのに……。
『伊織ちゃんに頼りにされなくってさびしいんでしょ?』
小百合のあの言葉が、脳裏にこびりついて離れないのはなんでなんだろう。
「あ~~~、もうっ! わっかんねえ!」
体育館中に響くような大声で叫ぶと、信長は全身の筋肉を使って寝転んだ姿勢からびよんと一気に立ち上がった。
(このオレ様がうだうだ悩むなんて似合わねえぜ! こんなときは練習あるのみ!)
信長はキュッとヘアバンドを直すと、神さ~んと叫びながらコートに戻っていった。
「伊織ちゃん、ちょっといい?」
伊織がひとり外水道で、つまづいて中身をぶちまけてしまったドリンクボトルを片付けていると、小百合に声をかけられた。
「あ、はい」
信長は静かに首を振る。
「あいつ、聞いても教えてくんないんスよ。なんでもないの一点張りで。ったく、あの状態でよくなんでもないなんて言えるもんだぜ」
「ほんとね。――でも、なるほど。ノブくんはそれでイライラしてたのね」
「は? どういうイミッスか?」
「ふふ。伊織ちゃんに頼りにされなくってさびしいんでしょ? ノブくんは本当に伊織ちゃんが大好きなのね」
「はあ!? いや、違うッスよ! 全然違うッス! ただ、あいつがあんなんだとこっちも調子狂うだけで……」
「ふふ。恋って罪よね」
「いや、だから!」
重ねて言う小百合に信長がきっぱり否定しようとしたところで、再び体育館に瓦礫でも落っこちてきたような凄まじい音が響き渡った。
また伊織がなにかやらかしたらしい。
小百合は困ったように肩をすくめた。
「それにしても、本当に重症ね、伊織ちゃん。…………もしかして、悩みってアノことかしら」
ふと真顔になって、何かを考え込むように言う小百合に、信長が身を乗り出した。
その拍子に、顔に乗せていたタオルがぱさりと床に落ちる。
「え? アノことって? 小百合さん、何か知ってるんスか!?」
「あ、ううん。何でもないの。こっちのこと」
信長の勢いにハッと我に返った小百合の返答に、信長は不満そうに唇を尖らせた。
「え~!? そんなのズルイッスよ~。なんか知ってるんだったら教えてくださいよ~」
「ふふ。な・い・しょ! そんなことより、ノブくんは早く自分の気持ちを自覚した方がいいんじゃない? もたもたしてると手遅れになっちゃうんだから。それじゃあね」
小百合は楽しそうにそれだけ言うと、信長の落としたタオルを拾い上げ去っていった。
ひとり取り残された信長は、ちぇーっとつまらなそうに呟く。
「なんだよ~。小百合さんだけずっりーの。それに自分の気持ちってなんだよ」
信長ははぁーっと息を吐きながら再び仰向けにひっくり返った。
(伊織はそんなんじゃない。大事な友達で仲間で、だから元気がないと気になって落ち着かない。それだけだ。第一、オレはまりあちゃんが好きなんだし……)
そこまで考えて信長は頭を掻き毟った。
ただでさえぼさぼさ頭なのに、そのせいで余計に髪がぼさぼさになる。
伊織は違う。そんなんじゃない。なのに……。
『伊織ちゃんに頼りにされなくってさびしいんでしょ?』
小百合のあの言葉が、脳裏にこびりついて離れないのはなんでなんだろう。
「あ~~~、もうっ! わっかんねえ!」
体育館中に響くような大声で叫ぶと、信長は全身の筋肉を使って寝転んだ姿勢からびよんと一気に立ち上がった。
(このオレ様がうだうだ悩むなんて似合わねえぜ! こんなときは練習あるのみ!)
信長はキュッとヘアバンドを直すと、神さ~んと叫びながらコートに戻っていった。
「伊織ちゃん、ちょっといい?」
伊織がひとり外水道で、つまづいて中身をぶちまけてしまったドリンクボトルを片付けていると、小百合に声をかけられた。
「あ、はい」