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放課後。
部活に向かうという信長と連れ立って、伊織とまりあの二人は体育館へと足を向けた。
どうやら、入学式が行われた体育館はもう使っていないらしく、それとは別にバスケ部専用の体育館があるらしい。
さすが私立の強豪校。お金のかけ方が違う。
(でも、あそこを使ってないんだとしたら、神先輩はバスケ部じゃないのかな……?)
期待に膨らんでいた胸が急速にしぼんでいくのを感じながら、しばらく信長についてだだっぴろい校内を進むと、大きな体育館が見えてきた。
かすかにボールの音もしている。
「あそこがバスケ部用の体育館?」
「そう。でっけえだろ!? しかも男バスのみなんだぜ!」
「ふうん。そうなんだ……」
しばらく圧倒されて声も出ないでいると、ふいにまりあがいつもどおりなことに気づいた。
伊織は小首をかしげて、まりあにたずねる。
「あれ? まりあちゃんはあまり驚かないんだね?」
「うん。まりあ、中学生のころによくバスケ部見に来てたから」
「え? そうなの? 誰か知り合いがいるの?」
「うん! まりあのね、大好きなひとがいるの!」
まりあは、うっすらと頬を染めて満面の笑みを浮かべる。
伊織はその言葉を聞いて、納得した。
「そっか。だから男バスのマネージャーをやりたかったんだね。中学のころからってことは先輩?」
「そうなの。いっこ上でね、家もとなりで、小さいころからずっと一緒なんだ。いつもまりあのこと守ってくれるの! あとで伊織ちゃんにも紹介するね!」
「うん、ありがとう」
そう話すまりあの顔はきらきらと輝いていて、とてもきれいだった。
(まりあちゃん、本当にその人のことが大好きなんだなぁ……)
自分まであったかい気持ちになって微笑んでいると、ハッと前にいる信長の存在を思い出した。
(そういえば……、ノブってまりあちゃんのこと好きなんだっけ!?)
おろおろした気持ちで前方を行く信長の様子を伺うと、今の会話は聞こえていなかったらしい。
妙な鼻歌をくちずさんで、なんだかご機嫌な様子だ。
(セ、セーフ……。今の会話が聞こえてたら、部活どころじゃなくなっちゃうもんね)
伊織は内心ホッと息を吐くと、複雑な気持ちで信長の背中を見つめた。
(でも、ノブの恋は前途多難だなぁ……。わたしは応援するからね、ノブ!)
力強く信長の背中に向けて思うと、その信長が急に振り返った。
「わあ!」
思わず声を上げた伊織に、信長が訝しそうに眉をひそめる。
「なんだよ、わあって。変なヤツだな。――着いたぞ」
そういわれて前を見ると、体育館の入り口に着いていた。
(ぜ、ぜんぜん気づかなかった。やっぱり考え事しながら歩くって危ないよね)
ひとりの時は絶対やめよう。
そう決意を固める伊織を信長はもう一度訝しそうに眺めてから、体育館のドアを開いた。
「チィーッス! いま牧さん呼んでくるから待ってろ」
信長は体育館中に響き渡るほど大きな声で挨拶をすると、伊織たちに向き直り、言うが早いか中に駆け出していく。
「牧さんてキャプテンだっけ?」
傍らのまりあに訊ねると、まりあは瞳をくりっとさせて不思議そうに伊織を見つめた。
「あれ。伊織ちゃん、牧さんのこと知ってるの?」
「知ってるっていうか……弟たちから名前だけ聞いたことあって」
「そうなんだ。うん、キャプテンだよ。すっごくうまくてかっこいいんだよ! ちょっと老けてるけど。――あ、あのひとがそうだよ!」
部活に向かうという信長と連れ立って、伊織とまりあの二人は体育館へと足を向けた。
どうやら、入学式が行われた体育館はもう使っていないらしく、それとは別にバスケ部専用の体育館があるらしい。
さすが私立の強豪校。お金のかけ方が違う。
(でも、あそこを使ってないんだとしたら、神先輩はバスケ部じゃないのかな……?)
期待に膨らんでいた胸が急速にしぼんでいくのを感じながら、しばらく信長についてだだっぴろい校内を進むと、大きな体育館が見えてきた。
かすかにボールの音もしている。
「あそこがバスケ部用の体育館?」
「そう。でっけえだろ!? しかも男バスのみなんだぜ!」
「ふうん。そうなんだ……」
しばらく圧倒されて声も出ないでいると、ふいにまりあがいつもどおりなことに気づいた。
伊織は小首をかしげて、まりあにたずねる。
「あれ? まりあちゃんはあまり驚かないんだね?」
「うん。まりあ、中学生のころによくバスケ部見に来てたから」
「え? そうなの? 誰か知り合いがいるの?」
「うん! まりあのね、大好きなひとがいるの!」
まりあは、うっすらと頬を染めて満面の笑みを浮かべる。
伊織はその言葉を聞いて、納得した。
「そっか。だから男バスのマネージャーをやりたかったんだね。中学のころからってことは先輩?」
「そうなの。いっこ上でね、家もとなりで、小さいころからずっと一緒なんだ。いつもまりあのこと守ってくれるの! あとで伊織ちゃんにも紹介するね!」
「うん、ありがとう」
そう話すまりあの顔はきらきらと輝いていて、とてもきれいだった。
(まりあちゃん、本当にその人のことが大好きなんだなぁ……)
自分まであったかい気持ちになって微笑んでいると、ハッと前にいる信長の存在を思い出した。
(そういえば……、ノブってまりあちゃんのこと好きなんだっけ!?)
おろおろした気持ちで前方を行く信長の様子を伺うと、今の会話は聞こえていなかったらしい。
妙な鼻歌をくちずさんで、なんだかご機嫌な様子だ。
(セ、セーフ……。今の会話が聞こえてたら、部活どころじゃなくなっちゃうもんね)
伊織は内心ホッと息を吐くと、複雑な気持ちで信長の背中を見つめた。
(でも、ノブの恋は前途多難だなぁ……。わたしは応援するからね、ノブ!)
力強く信長の背中に向けて思うと、その信長が急に振り返った。
「わあ!」
思わず声を上げた伊織に、信長が訝しそうに眉をひそめる。
「なんだよ、わあって。変なヤツだな。――着いたぞ」
そういわれて前を見ると、体育館の入り口に着いていた。
(ぜ、ぜんぜん気づかなかった。やっぱり考え事しながら歩くって危ないよね)
ひとりの時は絶対やめよう。
そう決意を固める伊織を信長はもう一度訝しそうに眺めてから、体育館のドアを開いた。
「チィーッス! いま牧さん呼んでくるから待ってろ」
信長は体育館中に響き渡るほど大きな声で挨拶をすると、伊織たちに向き直り、言うが早いか中に駆け出していく。
「牧さんてキャプテンだっけ?」
傍らのまりあに訊ねると、まりあは瞳をくりっとさせて不思議そうに伊織を見つめた。
「あれ。伊織ちゃん、牧さんのこと知ってるの?」
「知ってるっていうか……弟たちから名前だけ聞いたことあって」
「そうなんだ。うん、キャプテンだよ。すっごくうまくてかっこいいんだよ! ちょっと老けてるけど。――あ、あのひとがそうだよ!」