終
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「伊織」
「わっ」
ふいに宗一郎に肩を掴まれたと思うと、そのまま抱き寄せられた。
いつにないくらい強い力で、宗一郎が抱きしめてくる。
「そ、宗……くん?」
戸惑うようにその名前を呼ぶと、耳元で宗一郎が呆れたように息を吐き出した。
「全然わかってない」
「え?」
「伊織は、全然わかってないよ」
「……なにを?」
訊ねるとからだを離された。
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳が、伊織をじっと見つめてくる。
「あのね、伊織。俺、いつだって伊織と一緒にいるときはどきどきしてるよ? 伊織の表情やしぐさや言葉ひとつで、心臓が痛いくらいに暴れるんだ」
「う、うそだよ。だって宗くんいつも平然としてるじゃない」
「うそじゃないよ。俺、あんまりそういうの顔にでないから、それで不安にさせてたなら謝るけど、でもそれが原因で俺が伊織のことそんなに好きじゃないなんて誤解して欲しくない。好きだよ伊織」
「……ほんと?」
「ほんとう。大好きだよ。ううん、もうそんな言葉じゃ伝えきれないほど、伊織のことが好きで好きでしょうがないんだ」
「宗くん……。うん。信じる」
「ありがとう」
ふわりと笑って、宗一郎は伊織のおでこにくちづけた。
「伊織、愛してる。――もしかしたら、伊織よりも俺の気持ちのほうが大きいかもね」
「――! そんなことないよ! わたしの方がずっとずっと宗くんのこと好きだもん!」
「はは、どうかな?」
爽やかに笑って宗一郎が言う。
「そうなの!」
ぐっと拳に力を込めて伊織は断言した。
宗一郎こそ、わかってない。
伊織がどれほど宗一郎のことを好きなのか。
どれほど宗一郎のことを必要としているのか。
きっと全然わかってない。
入学式のときに初めて会ってから今まで、いったいどれだけその笑顔と優しさに救われてきたのか、この人はきっと全然わかってないんだ。
(好きなんだよ、宗くん)
伊織はぎゅっと宗一郎の服の袖を掴む。
(自分でもどうしたらいいかわからないくらい、愛しくてもうどうしようもないの)
宗一郎がいてくれたから、過去とも逃げずに立ち向かうことができた。
仙道からも。テニスからも。笙子からも。
いつも傍で優しく見守ってくれる宗一郎の存在が、どれほど伊織の力になったか知れない。
どう伝えたらいいかわからなくて、伊織は目の前の宗一郎のからだにしがみついた。
宗一郎は黙って伊織を抱きしめ返してくれる。
大きくてあたたかい手の平で頭を撫でてくれる安心感に、伊織は瞳を閉じた。
「大好きなの、宗くん」
「うん」
「大好きなんだよ。わたしのほうこそ、ほんとうに、言葉では伝えられないくらい大好きなの」
「うん……」
言葉ってなんて無力なんだろう。
どんなに想いを込めて口にしても、伊織の気持ちの半分も伝えられない。
もどかしさをぶつけるように、宗一郎の腰にまわしている腕の力を強めた。
「わっ」
ふいに宗一郎に肩を掴まれたと思うと、そのまま抱き寄せられた。
いつにないくらい強い力で、宗一郎が抱きしめてくる。
「そ、宗……くん?」
戸惑うようにその名前を呼ぶと、耳元で宗一郎が呆れたように息を吐き出した。
「全然わかってない」
「え?」
「伊織は、全然わかってないよ」
「……なにを?」
訊ねるとからだを離された。
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳が、伊織をじっと見つめてくる。
「あのね、伊織。俺、いつだって伊織と一緒にいるときはどきどきしてるよ? 伊織の表情やしぐさや言葉ひとつで、心臓が痛いくらいに暴れるんだ」
「う、うそだよ。だって宗くんいつも平然としてるじゃない」
「うそじゃないよ。俺、あんまりそういうの顔にでないから、それで不安にさせてたなら謝るけど、でもそれが原因で俺が伊織のことそんなに好きじゃないなんて誤解して欲しくない。好きだよ伊織」
「……ほんと?」
「ほんとう。大好きだよ。ううん、もうそんな言葉じゃ伝えきれないほど、伊織のことが好きで好きでしょうがないんだ」
「宗くん……。うん。信じる」
「ありがとう」
ふわりと笑って、宗一郎は伊織のおでこにくちづけた。
「伊織、愛してる。――もしかしたら、伊織よりも俺の気持ちのほうが大きいかもね」
「――! そんなことないよ! わたしの方がずっとずっと宗くんのこと好きだもん!」
「はは、どうかな?」
爽やかに笑って宗一郎が言う。
「そうなの!」
ぐっと拳に力を込めて伊織は断言した。
宗一郎こそ、わかってない。
伊織がどれほど宗一郎のことを好きなのか。
どれほど宗一郎のことを必要としているのか。
きっと全然わかってない。
入学式のときに初めて会ってから今まで、いったいどれだけその笑顔と優しさに救われてきたのか、この人はきっと全然わかってないんだ。
(好きなんだよ、宗くん)
伊織はぎゅっと宗一郎の服の袖を掴む。
(自分でもどうしたらいいかわからないくらい、愛しくてもうどうしようもないの)
宗一郎がいてくれたから、過去とも逃げずに立ち向かうことができた。
仙道からも。テニスからも。笙子からも。
いつも傍で優しく見守ってくれる宗一郎の存在が、どれほど伊織の力になったか知れない。
どう伝えたらいいかわからなくて、伊織は目の前の宗一郎のからだにしがみついた。
宗一郎は黙って伊織を抱きしめ返してくれる。
大きくてあたたかい手の平で頭を撫でてくれる安心感に、伊織は瞳を閉じた。
「大好きなの、宗くん」
「うん」
「大好きなんだよ。わたしのほうこそ、ほんとうに、言葉では伝えられないくらい大好きなの」
「うん……」
言葉ってなんて無力なんだろう。
どんなに想いを込めて口にしても、伊織の気持ちの半分も伝えられない。
もどかしさをぶつけるように、宗一郎の腰にまわしている腕の力を強めた。