終
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仙道は足場に片膝を着いてそう言うと、伊織の手の甲にそっと口づけた。
絵本に出てくる王子様のようなそのしぐさに、伊織の顔が驚いて赤く染まる。
「彰さん!?」
「はは、冗談冗談。顔赤くしちゃってかわいいなぁ、もう」
「じょ、冗談って……」
(心臓に悪すぎる……)
伊織はどきどきいう胸を押さえながら、向こうで信長とまりあの面倒を見ている宗一郎へ視線を転じた。
いくらここが向こうと離れているからって、こんなところ宗一郎に見られたら大変だ。
こちらに気付いた様子のない宗一郎に伊織はホッと胸を撫で下ろすと、視線を戻して仙道を軽く睨む。
「もう、悪ふざけもほどほどにしてくださいね。宗くん、結構ヤキモチ焼きなんですから」
「ごめんごめん」
仙道はくつくつと笑いながらそう言って、足場に腰を降ろした。隣りを手で叩いて、伊織にそこに座るように訴えてくる。
伊織が促されるままにそこに座ると、仙道がそれを満足げに見て言った。
「伊織ちゃん。あれから神とうまくいってる?」
「え? ……あ、はい」
なんとなく宗一郎とのことを仙道に話すのは気が引ける。
伊織が歯切れ悪く返事を返すと、伊織の気持ちを察したのか仙道が眉尻を下げて苦笑する。
「そんなに気を使わなくていいよ。オレ、ほんとうにもう平気だからさ」
「いや、でもだからってそれは無神経なんじゃ……?」
「そんなことないよ。そもそもオレが聞いてるんだし。それに、この前最後に見たのがケンカしてるところだったからさ。やっぱり気になるでしょ? 元ライバルとしてはね」
「あはは、あの時はお世話になりました」
そうだった。仙道と最後に会ったのは宗一郎が笙子を男だと勘違いして、一時的に別れていたあのときだった。結局あの時は仙道のおかげで、伊織の言うショウが笙子だとわかって、仲直りすることができたのだ。
伊織は思い出して小さく笑うと、仙道にお礼を言った。
仙道も薄く笑ってそれに答える。
「どういたしまして。神もしっかりしてるように見えて、案外おっちょこちょいだよなぁ。……まぁ、それだけ伊織ちゃんのことが好きで、冷静に判断できなかったってことだろうけど」
でもそんなことばっかりじゃ困っちゃうよな、と仙道がためいきと共に吐き出した。
伊織はそれに苦笑を返す。
「あ。そうだ、彰さん」
「ん?」
「部活はどうですか? ウワサ、聞きましたよ。彰さんが新キャプテンになるって」
言うと、仙道の顔が心底嫌そうに歪んだ。
(あ、あれ? 触れちゃいけない話題だったのかな……?)
伊織が戸惑っていると、仙道が遠くを見つめてふうとわざとらしく息を吐き出した。
「そうなんだよねー……。この前監督から直々に言われちゃってさ」
「嫌なんですか?」
「嫌っていうか……。オレがキャプテンなんて向かなくない?」
確かに仙道は少し、すこーし部活態度に問題があるかもしれないけれど、でもやっぱり仙道の持つ存在感や安心感は特別だ。
仙道の言葉一つで、みんながひとつにまとまることができる。
「適任だと思いますけど」
「そう?」
伊織の言葉に、仙道が難しい顔をして黙り込む。
「うーん……。伊織ちゃんがそう言ってくれるなら、頑張ってみようかなと思わないこともないけど……。あー、でもなぁー……」
絵本に出てくる王子様のようなそのしぐさに、伊織の顔が驚いて赤く染まる。
「彰さん!?」
「はは、冗談冗談。顔赤くしちゃってかわいいなぁ、もう」
「じょ、冗談って……」
(心臓に悪すぎる……)
伊織はどきどきいう胸を押さえながら、向こうで信長とまりあの面倒を見ている宗一郎へ視線を転じた。
いくらここが向こうと離れているからって、こんなところ宗一郎に見られたら大変だ。
こちらに気付いた様子のない宗一郎に伊織はホッと胸を撫で下ろすと、視線を戻して仙道を軽く睨む。
「もう、悪ふざけもほどほどにしてくださいね。宗くん、結構ヤキモチ焼きなんですから」
「ごめんごめん」
仙道はくつくつと笑いながらそう言って、足場に腰を降ろした。隣りを手で叩いて、伊織にそこに座るように訴えてくる。
伊織が促されるままにそこに座ると、仙道がそれを満足げに見て言った。
「伊織ちゃん。あれから神とうまくいってる?」
「え? ……あ、はい」
なんとなく宗一郎とのことを仙道に話すのは気が引ける。
伊織が歯切れ悪く返事を返すと、伊織の気持ちを察したのか仙道が眉尻を下げて苦笑する。
「そんなに気を使わなくていいよ。オレ、ほんとうにもう平気だからさ」
「いや、でもだからってそれは無神経なんじゃ……?」
「そんなことないよ。そもそもオレが聞いてるんだし。それに、この前最後に見たのがケンカしてるところだったからさ。やっぱり気になるでしょ? 元ライバルとしてはね」
「あはは、あの時はお世話になりました」
そうだった。仙道と最後に会ったのは宗一郎が笙子を男だと勘違いして、一時的に別れていたあのときだった。結局あの時は仙道のおかげで、伊織の言うショウが笙子だとわかって、仲直りすることができたのだ。
伊織は思い出して小さく笑うと、仙道にお礼を言った。
仙道も薄く笑ってそれに答える。
「どういたしまして。神もしっかりしてるように見えて、案外おっちょこちょいだよなぁ。……まぁ、それだけ伊織ちゃんのことが好きで、冷静に判断できなかったってことだろうけど」
でもそんなことばっかりじゃ困っちゃうよな、と仙道がためいきと共に吐き出した。
伊織はそれに苦笑を返す。
「あ。そうだ、彰さん」
「ん?」
「部活はどうですか? ウワサ、聞きましたよ。彰さんが新キャプテンになるって」
言うと、仙道の顔が心底嫌そうに歪んだ。
(あ、あれ? 触れちゃいけない話題だったのかな……?)
伊織が戸惑っていると、仙道が遠くを見つめてふうとわざとらしく息を吐き出した。
「そうなんだよねー……。この前監督から直々に言われちゃってさ」
「嫌なんですか?」
「嫌っていうか……。オレがキャプテンなんて向かなくない?」
確かに仙道は少し、すこーし部活態度に問題があるかもしれないけれど、でもやっぱり仙道の持つ存在感や安心感は特別だ。
仙道の言葉一つで、みんながひとつにまとまることができる。
「適任だと思いますけど」
「そう?」
伊織の言葉に、仙道が難しい顔をして黙り込む。
「うーん……。伊織ちゃんがそう言ってくれるなら、頑張ってみようかなと思わないこともないけど……。あー、でもなぁー……」