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夢小説設定
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「伊織ちゃん、ノブくんすごいね! やっぱり一年生でただ一人のレギュラーだもんね。タダ者じゃないよね。もう立派に海南のエースだよ」
「まりあちゃん、それ、ノブに直接言ってやってよ。きっとすっごい喜んで、今よりもっとすごい選手になるかもよ?」
「ええ? そうかなあ」
「そうそう。あ、神先輩がボール持ったよ」
「ほんとだ! 宗ちゃーん、頑張ってー!」
まりあの声援が届いたのか、宗一郎の放ったボールは見事にゴールの網を揺らした。
宗一郎がにこりとこちらに微笑を向ける。
まりあに微笑んだはずなのに、伊織は自分と目が合ったような気がして、心臓がドキリと跳ね上がる。
「宗ちゃん、かっこいい!」
「……ほんとうだね」
どこか憂いを含んだような、その伊織の声音。
まりあがそれに敏感に反応したことに、伊織は気付かなかった。
結局、試合は牧率いる紅チームの勝利となった。
白チームももちろんいい試合をしたが、やはり自分でも切り込めて味方にもパスができるPG牧の存在は大きかった。
伊織は一人、外水道でドリンクボトルを濯ぎながら先ほどの試合を思い返していた。
心の中では宗一郎を応援していたけれど、隣りに座るまりあの手前、声に出して応援することができなかった。
(神先輩に、応援するって約束したのになあ)
「…………」
そのときの状況を思い出して、伊織の顔は火がついたように一気に赤くなった。
頭に浮かんだ映像を振り払うようにぷるぷると勢い良く顔を振る。
(ダメダメ! あんなの、神先輩にとってはなんでもないことなんだから! 意識なんてしちゃ絶対にダメ。ダメ……なんだけど……)
「かっこよかったなぁ……」
伊織はポツリと呟く。
脳裏に宗一郎の言葉が、笑顔が、プレーが閃いては消えていく。
宗一郎のことを思えば高鳴る胸の鼓動も、触れられれば赤くなる顔も、気付けば宗一郎を追ってしまう目も、もう誤魔化しようがなかった。
好きなのだ。自分は。宗一郎のことが。
「…………」
伊織の口から、今までで一番重いため息が漏れた。
(無謀すぎる)
自覚したからって、どうすることもできなかった。
宗一郎の近くにはまりあがいるし、まりあは宗一郎が好きだし、おそらく宗一郎もまりあが好きだろう。そして何よりも、まりあは自分の親友だ。
何をすることもできない、八方塞がり。
最初から、望みなど微塵もない。
「わかってるけど、やっぱりしんどいなぁ……」
もう一度ため息をついて、伊織はじゃぶじゃぶとドリンクボトルを濯ぎ続ける。
最後のドリンクボトルを濯ぎ終えたところで、ふと人の気配を感じた。
何の気なしに目をやると、そこには深刻な表情をしたまりあが立っていた。
「まりあちゃん……!」
今まで考えていたことが考えていたことなので、まりあの出現に伊織の心臓がぎくりと音を立てた。
早まる鼓動に慌てて表情を取り繕うと、動揺を誤魔化すように伊織は笑顔を向ける。
「まりあちゃん、それ、ノブに直接言ってやってよ。きっとすっごい喜んで、今よりもっとすごい選手になるかもよ?」
「ええ? そうかなあ」
「そうそう。あ、神先輩がボール持ったよ」
「ほんとだ! 宗ちゃーん、頑張ってー!」
まりあの声援が届いたのか、宗一郎の放ったボールは見事にゴールの網を揺らした。
宗一郎がにこりとこちらに微笑を向ける。
まりあに微笑んだはずなのに、伊織は自分と目が合ったような気がして、心臓がドキリと跳ね上がる。
「宗ちゃん、かっこいい!」
「……ほんとうだね」
どこか憂いを含んだような、その伊織の声音。
まりあがそれに敏感に反応したことに、伊織は気付かなかった。
結局、試合は牧率いる紅チームの勝利となった。
白チームももちろんいい試合をしたが、やはり自分でも切り込めて味方にもパスができるPG牧の存在は大きかった。
伊織は一人、外水道でドリンクボトルを濯ぎながら先ほどの試合を思い返していた。
心の中では宗一郎を応援していたけれど、隣りに座るまりあの手前、声に出して応援することができなかった。
(神先輩に、応援するって約束したのになあ)
「…………」
そのときの状況を思い出して、伊織の顔は火がついたように一気に赤くなった。
頭に浮かんだ映像を振り払うようにぷるぷると勢い良く顔を振る。
(ダメダメ! あんなの、神先輩にとってはなんでもないことなんだから! 意識なんてしちゃ絶対にダメ。ダメ……なんだけど……)
「かっこよかったなぁ……」
伊織はポツリと呟く。
脳裏に宗一郎の言葉が、笑顔が、プレーが閃いては消えていく。
宗一郎のことを思えば高鳴る胸の鼓動も、触れられれば赤くなる顔も、気付けば宗一郎を追ってしまう目も、もう誤魔化しようがなかった。
好きなのだ。自分は。宗一郎のことが。
「…………」
伊織の口から、今までで一番重いため息が漏れた。
(無謀すぎる)
自覚したからって、どうすることもできなかった。
宗一郎の近くにはまりあがいるし、まりあは宗一郎が好きだし、おそらく宗一郎もまりあが好きだろう。そして何よりも、まりあは自分の親友だ。
何をすることもできない、八方塞がり。
最初から、望みなど微塵もない。
「わかってるけど、やっぱりしんどいなぁ……」
もう一度ため息をついて、伊織はじゃぶじゃぶとドリンクボトルを濯ぎ続ける。
最後のドリンクボトルを濯ぎ終えたところで、ふと人の気配を感じた。
何の気なしに目をやると、そこには深刻な表情をしたまりあが立っていた。
「まりあちゃん……!」
今まで考えていたことが考えていたことなので、まりあの出現に伊織の心臓がぎくりと音を立てた。
早まる鼓動に慌てて表情を取り繕うと、動揺を誤魔化すように伊織は笑顔を向ける。