終
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伊織は言葉と同時に地面にひれ伏した。
ははー、とお代官にするようにひれ伏す伊織を見て、種田が満足げに唇を持ち上げる。
「ふふ。わかってくれたらいいんだよ、伊織ちゃん。僕がどれだけ優しいかわかっただろう?」
「ええ、もうそりゃどれだけアクマかってことが骨身に染みてたっぷりと……!」
種田から顔を背け皮肉をこめて伊織がそう言うと、種田の目が楽しげに細められる。
「ふうん?」
「わああ、ウソですウソです!」
おでえかんさまお許し下せえと時代がかった言葉でひれ伏す伊織を見て、笙子が再び種田を諫めた。
その隙を見て、仙道が伊織を助け起こす。
「大丈夫、伊織ちゃん?」
「ふふ、彰さん。心的ダメージ無限大です」
伊織がげっそりと返すと、仙道が小さく考え込んだ末に、
「……ホイミ!」
と叫んだ。
伊織はそれに小さく吹き出す。
「あはは、回復呪文ですか!」
「効いた?」
「効きました効きました」
「じゃあ、種田にパルプンテでも唱えようか」
「いや、種田先輩自体がパルプンテなので、果たして効くかどうか……」
こそこそと額を寄せ合い、うむむと難しい顔をする伊織と仙道をよそに、種田が宗一郎に視線を移して口を開いた。
「やあ、神。久しぶり」
「久しぶり、種田。相変わらず愉快な性格してるね」
「そうかな? 僕にはこれが生きがいでね」
「はは。うろたえる伊織は確かにかわいいけど、あまり伊織をいじめないでやってくれる? さすがにかわいそうだからね」
「ふむ。神に言われたとなると、控えめにするしかないな」
「うん。よろしく頼むよ」
種田は宗一郎のその言葉に笑顔だけで答えると、笙子に視線を向けて言った。
「ショウ、この人が神宗一郎。伊織ちゃんの彼氏だよ。神、こっちは上田笙子。伊織ちゃんの親友で、僕の彼女」
「ああ、この人が噂の! 伊織ちゃんが彰さんを振ってまで選んだ男の人ですね」
ぱぁっと顔を輝かせて言う笙子のその言葉に、まだ種田対策をごにょごにょと話し合っていた伊織と仙道が同時に顔を向けた。
笙子は宗一郎に向き直ると、にこりと微笑む。
「はじめまして、ただいまご紹介に預かりました上田笙子です」
「神宗一郎です」
笙子は柔らかく笑んで自己紹介をする宗一郎の周囲をぐるぐる回りながら眺めると、再び正面に立ってうんと満足げに頷いた。
「なるほど。顔も素敵だし、身長も高いし、一見細身なようだけど筋肉もしっかりついてるし、なにより優しそうで誠実そう! うん、彰さんより全然神さんの方が伊織ちゃんを安心して任せられますね!」
「はは、そうかな」
「はい! わたしの目に狂いはないですよ。こと伊織ちゃんに関しては、変な男につかまって泣いて欲しくないですからね」
彰さんみたいな、と笙子は言って、仙道を見てにやりと微笑んだ。
そんなぁ~とがっくりうなだれる仙道を見て、伊織も顔をほころばせる。
伊織は宗一郎のそばによってその腕を取ると、笙子に自慢げに微笑んで見せた。