終
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「相変わらずガードが固いなぁ、神は」
「いや、つい条件反射で」
「はは、気持ちはわからないでもないけどね」
宗一郎の言葉に仙道が口許だけで笑う。
仙道はすぐに表情をあらためると、今度はどこか愁いを帯びた瞳を細めて宗一郎を見た。
「たまには遊びに来てもいいだろ? もう友達なんだしさ」
友達。
仙道の言葉が伊織の中でじんと響いた。
ひょっこり宗一郎の背中から顔をのぞかせると、それに気付いた仙道と伊織の目が合った。
優しく微笑んでくる仙道に、伊織の胸に表現しがたい感情が込み上げ、その視界が涙で歪む。
「あ、あきらさ~ん!」
感極まって伊織は仙道に抱きついた。
宗一郎が小さくあっと叫んだ声は、今の伊織には届かなかった。
嬉しかった。もう二度と友達と呼べないことも覚悟していたのに、仙道がこうして訪ねて来てくれたことがほんとうに嬉しかった。
仙道にしがみついて涙を零す伊織の頭を、仙道が優しく撫でてくれる。
「ははは。泣かないでよ、伊織ちゃん」
「だ、だって、だって……!」
言葉にできないのがもどかしくて、伊織は仙道の服を掴む手にきゅっと力を込めた。
仙道がそれを瞳を細めて見つめて伊織を体から離すと、その表情のまま伊織と視線を合わせるようにしゃがみ込んで、言った。
「……時間、掛かっちゃってごめんね、伊織ちゃん」
伊織はその言葉に小さく首を振る。
「い、いいえ……。ほんとうにまた会いに来てくれて、すごく嬉しいです……!」
「うん」
しゃくり上げながら言う伊織に、仙道が柔らかく微笑む。
「言ったでしょ、伊織ちゃん。恋愛感情がなくなったら会いに来るって。――まあ、この前種田の件で一回フライングしちゃったけど。……もう、大丈夫だから。お待たせ、伊織ちゃん」
「彰さん……」
にっこり微笑んでくる仙道に、伊織もなんとか笑顔を返した。
ふたり、しばらく見つめあう。
と。
「……もういいでしょ」
ムスッとしながら言う宗一郎に、伊織は体を引き寄せられた。
宗一郎のその様子に、仙道がはははと笑い声をあげる。
「神はけっこうヤキモチ焼きだな」
「仙道には特別だよ」
「へえ。まあ、そりゃそうか」
仙道が自嘲するような笑みを口の端にのぼらせる。が、それも一瞬のことで、すぐに楽しそうに伊織を見た。
仙道のその表情にきょとんっと目を丸くする伊織に、仙道はにこりと微笑んでみせる。
「伊織ちゃん。今日ここに来てるのは、実はオレだけじゃないんだよね」
「え?」
首を傾げる伊織をよそに、仙道は横を振り向いて手招きをした。
こちらへ歩み寄ってくる人影を見て、伊織は思わず息を呑む。
そこにいたのは、種田と……。
「ショウ……!」
ずっと会えずにいた伊織の東京の親友、上田笙子だった。