終
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は海南大附属高校実力テストの日だった。
実力テストとは文武両道を誇る海南大附属高校独自のもので、中間・期末試験とは別に月に一度行われる、その名の通り生徒たちの実力を測るためのテストである。
この結果が悪いと中間・期末試験時と同様、追試や補習が行われるという大変厄介な代物であった。
しかし、科目数は英・数・国の三教科のみで、実力テストの日は学校が午前中で終わる。
今日もその例に漏れることなく学校は午前中で終了し、現在午後五時。
テスト後の部活も終了して、伊織は自主練中の宗一郎に付き合ってバスケ部専用の体育館にいた。
現在バスケ部員で残っているのは、伊織と宗一郎、それから信長とまりあの四人だけである。
いつもはこの中に三年の牧と小百合もいるのだが、今日は進路の関係で部活終了とともに帰ってしまった。
ちなみに信長は秋の大会までにもっとスタミナをつけると豪語し、現在グラウンドで走りこみの最中だ。まりあもそれに付き合っている。
体育館の中は伊織と宗一郎のふたりきりだった。
伊織はボールを片手にシュートを放つ宗一郎の背中をじっと見つめた。
綺麗なフォームから放たれるシュートは、これまた綺麗な弧を描いてゴールに寸分の狂いもなく吸い込まれていく。
伊織はそれを見届ける宗一郎の、真剣な横顔を見るのが大好きだった。
いつも穏やかな宗一郎の、鋭く尖った真剣な顔。
何度見ても胸が小さく弾み、顔に熱が集まる。
「伊織」
どうやらぼうっと見とれすぎて、パスだしするのを忘れていたらしい。
伊織は宗一郎に名前を呼ばれて、ハッと我に返った。
「あ、ごめん、宗くん。ちょっとぼんやりしちゃって」
「はは。うん、いいよ。ちょうど500本終わったところだから。……テストで疲れた?」
言って宗一郎はやわらかく微笑んで伊織に近づくと、伊織の頬にそっと触れた。
そのままくいと顎を持ち上げられ、伊織の唇に宗一郎の唇が軽く触れる。
伊織は宗一郎の突然の行動に、一瞬で顔を赤く染めた。
ばくばくと心臓が激しく脈打ち、混乱のあまり目が回る。
そんな伊織を見て、宗一郎がおかしそうに肩を震わせた。
「はは。伊織、顔真っ赤だよ」
「だ、だって宗くんがいきなり……っ!」
「うん。伊織があんまりかわいい顔してこっちを見てたからつい、ね」
「ついって……」
伊織は真っ赤な顔を押さえて、じっと宗一郎を恨めしそうに見上げる。
「ここ、学校だよ? ノブとまりあちゃんだっていつ戻ってくるかわかんないのにもう」
「うん。でもさ、今みたいに伊織に見つめられちゃうと、ああもうかわいいなぁってなっちゃうんだよね。ね、もっかいキスしてもいい?」
「だだだだめです!」
「残念」
わざとらしく肩をすくめる宗一郎に、伊織はどっと疲れが増すのを感じた。
無害な顔をして、ほんとうに油断も隙もない。
「宗くん、帰り支度しておいでよ。ノブたちまだ戻ってこないみたいだし、着替えて待ってよう」
「そうだね。じゃあ俺ちょっと着替えてくるよ」
「うん。ボールとか片付けとくから」
「ありがとう」
宗一郎がふわりと笑って、今度は伊織のおでこに口づける。
伊織はそのやわらかな感触に顔を赤くしながらも、小さく頬をふくらませた。
「もう、宗くん!?」
さっき注意したばっかりなのに。
そんな非難をこめて名前を呼ぶと、宗一郎がおかしそうに顔をほころばせる。
「はは。伊織、好きだよ」
「…………。もう。宗くん、最近それ言えば許されると思ってるでしょ」
「まさか。俺の素直な気持ちだよ」
「…………」
「あれ、なんで無言なの?」
実力テストとは文武両道を誇る海南大附属高校独自のもので、中間・期末試験とは別に月に一度行われる、その名の通り生徒たちの実力を測るためのテストである。
この結果が悪いと中間・期末試験時と同様、追試や補習が行われるという大変厄介な代物であった。
しかし、科目数は英・数・国の三教科のみで、実力テストの日は学校が午前中で終わる。
今日もその例に漏れることなく学校は午前中で終了し、現在午後五時。
テスト後の部活も終了して、伊織は自主練中の宗一郎に付き合ってバスケ部専用の体育館にいた。
現在バスケ部員で残っているのは、伊織と宗一郎、それから信長とまりあの四人だけである。
いつもはこの中に三年の牧と小百合もいるのだが、今日は進路の関係で部活終了とともに帰ってしまった。
ちなみに信長は秋の大会までにもっとスタミナをつけると豪語し、現在グラウンドで走りこみの最中だ。まりあもそれに付き合っている。
体育館の中は伊織と宗一郎のふたりきりだった。
伊織はボールを片手にシュートを放つ宗一郎の背中をじっと見つめた。
綺麗なフォームから放たれるシュートは、これまた綺麗な弧を描いてゴールに寸分の狂いもなく吸い込まれていく。
伊織はそれを見届ける宗一郎の、真剣な横顔を見るのが大好きだった。
いつも穏やかな宗一郎の、鋭く尖った真剣な顔。
何度見ても胸が小さく弾み、顔に熱が集まる。
「伊織」
どうやらぼうっと見とれすぎて、パスだしするのを忘れていたらしい。
伊織は宗一郎に名前を呼ばれて、ハッと我に返った。
「あ、ごめん、宗くん。ちょっとぼんやりしちゃって」
「はは。うん、いいよ。ちょうど500本終わったところだから。……テストで疲れた?」
言って宗一郎はやわらかく微笑んで伊織に近づくと、伊織の頬にそっと触れた。
そのままくいと顎を持ち上げられ、伊織の唇に宗一郎の唇が軽く触れる。
伊織は宗一郎の突然の行動に、一瞬で顔を赤く染めた。
ばくばくと心臓が激しく脈打ち、混乱のあまり目が回る。
そんな伊織を見て、宗一郎がおかしそうに肩を震わせた。
「はは。伊織、顔真っ赤だよ」
「だ、だって宗くんがいきなり……っ!」
「うん。伊織があんまりかわいい顔してこっちを見てたからつい、ね」
「ついって……」
伊織は真っ赤な顔を押さえて、じっと宗一郎を恨めしそうに見上げる。
「ここ、学校だよ? ノブとまりあちゃんだっていつ戻ってくるかわかんないのにもう」
「うん。でもさ、今みたいに伊織に見つめられちゃうと、ああもうかわいいなぁってなっちゃうんだよね。ね、もっかいキスしてもいい?」
「だだだだめです!」
「残念」
わざとらしく肩をすくめる宗一郎に、伊織はどっと疲れが増すのを感じた。
無害な顔をして、ほんとうに油断も隙もない。
「宗くん、帰り支度しておいでよ。ノブたちまだ戻ってこないみたいだし、着替えて待ってよう」
「そうだね。じゃあ俺ちょっと着替えてくるよ」
「うん。ボールとか片付けとくから」
「ありがとう」
宗一郎がふわりと笑って、今度は伊織のおでこに口づける。
伊織はそのやわらかな感触に顔を赤くしながらも、小さく頬をふくらませた。
「もう、宗くん!?」
さっき注意したばっかりなのに。
そんな非難をこめて名前を呼ぶと、宗一郎がおかしそうに顔をほころばせる。
「はは。伊織、好きだよ」
「…………。もう。宗くん、最近それ言えば許されると思ってるでしょ」
「まさか。俺の素直な気持ちだよ」
「…………」
「あれ、なんで無言なの?」