5
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さあ、お前たち! 部内の紅白戦だからって手を抜くなよ! そんなことをするやつらがいたら、即レギュラーを外すからな!」
監督の檄に、選手たちがオウッと気合の声を返している。
つま先を床につけ、足首を捻っていた宗一郎は、傍に並ぶ信長に小さな声で話しかけられた。
「そんなこと言われるまでもないッスよね、神さん。牧さんと試合なんて燃えるぜ!」
「そうだね。……俺も少しは良い所見せないとな」
「え、監督にッスか?」
「それはもちろんそうだけど……」
そう言って宗一郎は、マネージャー席でスコアブックとにらめっこしている伊織に視線をやった。
どうやら小百合につけ方を教えてもらっているらしい。難しい顔をしてふむふむと頷いている様が、とても一生懸命でかわいらしかった。
宗一郎の口許に自然と笑みが浮かぶ。
それをみて、信長も宗一郎の視線を追った。その先で、伊織の隣に座るまりあを見つける。
「…………」
信長は何かを考え込むように沈黙すると、自分も気合を入れた。
「うしっ! 俺も神さんに負けないようにがんばるぞっ!」
「あれ。もしかして、ノブは俺のライバル?」
宗一郎が、信長も自分と同じ方向を見て言ったことに気付き訊ねる。
「え!? いや、それは……!」
「そうか。じゃあ今日はノブにパスしないようにしないと」
「そんな~! 神さ~ん」
情けない声を出す信長に、宗一郎は喉の奥でくつくつと笑う。
「冗談だよ。でも負けないからね、ノブ」
「ウ、ウッス」
「こら。神、清田。さっきから何をぶつぶつ話している。ちゃんと集中しろ」
「ハ、ハイ!」
牧の注意に、信長がピンと姿勢を正して返事をする。
その変わり身の早さに宗一郎は声を殺して笑うと、自分も牧に謝罪をする。
そして、隣の信長をちらりと横目で見た。
(ノブがライバルか……。これはのんびりしてられないな)
宗一郎が人知れず決意を固めたところで、試合開始のブザーが鳴り響いた。
試合開始から十分経過したところで、伊織はふうと感嘆の息を吐いた。
普段はあんなにひょうきんでにぎやかな先輩達が、コート上ではまるで別人のように動き回っていた。
伊織は真剣な表情でプレーに臨む宗一郎の顔をそっと見つめる。
(神先輩、かっこいいな)
無駄のない、なめらかなフォームから放たれるボールは、まるでそれが当たり前であるかのように、綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていく。
手元のスコアブックに目を落とすと、白チームでは宗一郎の得点が一番多かった。次いで信長となっている。
宗一郎の流れるような柔らかなプレーとは対照的に、信長は荒々しくパワフルなプレーが印象的だった。
あの、バスケ選手としては決して高くはない身長から繰り出されるスラムダンクは、圧巻だ。
また一点ダンクを決めて、信長がこちらに向かってVサインをしてくる。
伊織は隣りにいるまりあと笑い合うと、浮かれる信長に声援を送る。
「ノブがんばって!」
「ノブくんかっこいい~!」
視線の先の信長は、まりあの声援を受けて明らかにはしゃいでいた。
なんだか母親になったような気持ちになって、伊織は微笑む。
監督の檄に、選手たちがオウッと気合の声を返している。
つま先を床につけ、足首を捻っていた宗一郎は、傍に並ぶ信長に小さな声で話しかけられた。
「そんなこと言われるまでもないッスよね、神さん。牧さんと試合なんて燃えるぜ!」
「そうだね。……俺も少しは良い所見せないとな」
「え、監督にッスか?」
「それはもちろんそうだけど……」
そう言って宗一郎は、マネージャー席でスコアブックとにらめっこしている伊織に視線をやった。
どうやら小百合につけ方を教えてもらっているらしい。難しい顔をしてふむふむと頷いている様が、とても一生懸命でかわいらしかった。
宗一郎の口許に自然と笑みが浮かぶ。
それをみて、信長も宗一郎の視線を追った。その先で、伊織の隣に座るまりあを見つける。
「…………」
信長は何かを考え込むように沈黙すると、自分も気合を入れた。
「うしっ! 俺も神さんに負けないようにがんばるぞっ!」
「あれ。もしかして、ノブは俺のライバル?」
宗一郎が、信長も自分と同じ方向を見て言ったことに気付き訊ねる。
「え!? いや、それは……!」
「そうか。じゃあ今日はノブにパスしないようにしないと」
「そんな~! 神さ~ん」
情けない声を出す信長に、宗一郎は喉の奥でくつくつと笑う。
「冗談だよ。でも負けないからね、ノブ」
「ウ、ウッス」
「こら。神、清田。さっきから何をぶつぶつ話している。ちゃんと集中しろ」
「ハ、ハイ!」
牧の注意に、信長がピンと姿勢を正して返事をする。
その変わり身の早さに宗一郎は声を殺して笑うと、自分も牧に謝罪をする。
そして、隣の信長をちらりと横目で見た。
(ノブがライバルか……。これはのんびりしてられないな)
宗一郎が人知れず決意を固めたところで、試合開始のブザーが鳴り響いた。
試合開始から十分経過したところで、伊織はふうと感嘆の息を吐いた。
普段はあんなにひょうきんでにぎやかな先輩達が、コート上ではまるで別人のように動き回っていた。
伊織は真剣な表情でプレーに臨む宗一郎の顔をそっと見つめる。
(神先輩、かっこいいな)
無駄のない、なめらかなフォームから放たれるボールは、まるでそれが当たり前であるかのように、綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていく。
手元のスコアブックに目を落とすと、白チームでは宗一郎の得点が一番多かった。次いで信長となっている。
宗一郎の流れるような柔らかなプレーとは対照的に、信長は荒々しくパワフルなプレーが印象的だった。
あの、バスケ選手としては決して高くはない身長から繰り出されるスラムダンクは、圧巻だ。
また一点ダンクを決めて、信長がこちらに向かってVサインをしてくる。
伊織は隣りにいるまりあと笑い合うと、浮かれる信長に声援を送る。
「ノブがんばって!」
「ノブくんかっこいい~!」
視線の先の信長は、まりあの声援を受けて明らかにはしゃいでいた。
なんだか母親になったような気持ちになって、伊織は微笑む。