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倉橋が意地の悪そうな笑みを浮かべて言った。
まんまとしてやられた宗一郎はがっくりと肩を落とす。
倉橋はやり手だ。抜け目がない。
一気にどっと疲れが押し寄せてくる。
「そ、宗くん大丈夫?」
うなだれたまま動けないでいると、伊織が声をかけてきた。
宗一郎はそれに安心させるように微笑む。
「ん、大丈夫」
「宗くん、わたし別に九条先輩とペアでも平気だよ? そんな無理しなくても」
「いや、それは絶対だめ。論外。そんなことになるくらいなら、俺は喜んでテニスをやる」
「そ、そっか。ありがとう」
「うん」
頬を薄く染めて照れたように言う伊織に宗一郎は微笑んでみせる。
「さて、ラブラブっぷりを見せ付けるのはその辺でおしまいでいいか? 神。お前の彼女、フルネームなんて言うんだ?」
「あ、鈴村伊織です」
倉橋の質問に伊織が答えた。
倉橋は手元のノートに伊織の名前を書き込む。
「鈴村伊織……な。了解した。ペア割り担当俺だから、二人をペアにしといてやるよ」
「よろしく。あ、でも倉橋、もしかしたら伊織はテニスじゃなくなるかもしれない」
「ふうん? まあ、名前があったらペアにすれば問題ないだろう? 神が抜けるとソフトの戦力ダウンは否めないが、他に候補者のいないテニスが埋まるほうがいいだろう。誰か異論のあるやついるか?」
倉橋は言ってクラスを見渡した。どこからも反論が返って来ないのを確認すると、ノートをぱしんと閉じて、告げる。
「よし、じゃあこれで種目決めは終わりだ。長らくご苦労。解散」
倉橋の号令でざわざわと帰り支度を始める25組。
伊織は同じく帰り支度をしている宗一郎に話しかけた。
「宗くん、ごめんね。わたしのせいでテニスになっちゃって」
「いいよ。俺より伊織はどうするの? 大丈夫なの、テニスで」
「あ、うん。肩の方は球技大会くらいなら問題ないんだけど……」
言って伊織はため息をついた。
そう。身体的には問題ない。問題があるとすれば……。
「気持ちが、まだ追いつかないって言うか……」
「うん、そうだよね」
宗一郎が返事を返しながら鞄を肩にかけた。
二人並んで体育館へ歩き出す。
「伊織、クラスの人に事情は話したの?」
「うーん。カンタンには」
「カンタン?」
「うん。テニスには腕に覚えがあるからダメって」
答えると、隣りを歩く宗一郎が一瞬絶句した。呆れたような表情で伊織を振り返る。
「それ、逆にやめさせてもらえなかっただろ」
「うん、そうなの! なんで!?」
「いや、だってそれ、自分からテニス上手いって申告してるようなものだよ? 誰だって強いんだったらそのまま残すでしょ。優勝できた方がいいんだし」
「そ、そっか……」
宗一郎のその言葉に、今度は伊織が絶句した。そして頭を抱える。
まんまとしてやられた宗一郎はがっくりと肩を落とす。
倉橋はやり手だ。抜け目がない。
一気にどっと疲れが押し寄せてくる。
「そ、宗くん大丈夫?」
うなだれたまま動けないでいると、伊織が声をかけてきた。
宗一郎はそれに安心させるように微笑む。
「ん、大丈夫」
「宗くん、わたし別に九条先輩とペアでも平気だよ? そんな無理しなくても」
「いや、それは絶対だめ。論外。そんなことになるくらいなら、俺は喜んでテニスをやる」
「そ、そっか。ありがとう」
「うん」
頬を薄く染めて照れたように言う伊織に宗一郎は微笑んでみせる。
「さて、ラブラブっぷりを見せ付けるのはその辺でおしまいでいいか? 神。お前の彼女、フルネームなんて言うんだ?」
「あ、鈴村伊織です」
倉橋の質問に伊織が答えた。
倉橋は手元のノートに伊織の名前を書き込む。
「鈴村伊織……な。了解した。ペア割り担当俺だから、二人をペアにしといてやるよ」
「よろしく。あ、でも倉橋、もしかしたら伊織はテニスじゃなくなるかもしれない」
「ふうん? まあ、名前があったらペアにすれば問題ないだろう? 神が抜けるとソフトの戦力ダウンは否めないが、他に候補者のいないテニスが埋まるほうがいいだろう。誰か異論のあるやついるか?」
倉橋は言ってクラスを見渡した。どこからも反論が返って来ないのを確認すると、ノートをぱしんと閉じて、告げる。
「よし、じゃあこれで種目決めは終わりだ。長らくご苦労。解散」
倉橋の号令でざわざわと帰り支度を始める25組。
伊織は同じく帰り支度をしている宗一郎に話しかけた。
「宗くん、ごめんね。わたしのせいでテニスになっちゃって」
「いいよ。俺より伊織はどうするの? 大丈夫なの、テニスで」
「あ、うん。肩の方は球技大会くらいなら問題ないんだけど……」
言って伊織はため息をついた。
そう。身体的には問題ない。問題があるとすれば……。
「気持ちが、まだ追いつかないって言うか……」
「うん、そうだよね」
宗一郎が返事を返しながら鞄を肩にかけた。
二人並んで体育館へ歩き出す。
「伊織、クラスの人に事情は話したの?」
「うーん。カンタンには」
「カンタン?」
「うん。テニスには腕に覚えがあるからダメって」
答えると、隣りを歩く宗一郎が一瞬絶句した。呆れたような表情で伊織を振り返る。
「それ、逆にやめさせてもらえなかっただろ」
「うん、そうなの! なんで!?」
「いや、だってそれ、自分からテニス上手いって申告してるようなものだよ? 誰だって強いんだったらそのまま残すでしょ。優勝できた方がいいんだし」
「そ、そっか……」
宗一郎のその言葉に、今度は伊織が絶句した。そして頭を抱える。