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「あ、うん。ごめんノブ、まりあをよろしく。俺も種目決め終わったら行くから、牧さんにそう伝えておいて」
「了解ッス!」
言うと信長はまりあを羽交い絞めにしたままズルズルと引きずって教室を出て行った。
廊下の奥からまだ、まりあのはーなーしーてーという声がこだまのように響いてくる。
宗一郎がそれを複雑な表情で見送っていると、ふいに袖を引かれた。
視線を落とすと、伊織が気まずそうにこちらを見上げている。
「伊織? どうしたの?」
「あ、いや……。もしかして、宗くんのクラス、まだ種目決めの途中……だったの?」
「あ、うん。そうだよ」
宗一郎のその返事に、伊織が動転して顔を青くした。
「わー、ごめんなさいお邪魔して! わ、わたしてっきりもうクラス解散した後だと思ってて……! せ、先輩がたもご迷惑おかけしてすみませんでした。宗くん、わたしも先に部活に行ってるね!」
言って慌てて駆け出そうとした伊織の腕を宗一郎はぱしりと掴んだ。
「あ、まって伊織! いいよ、平気だからここにいなよ」
「いやいやいや! なに言ってんの宗くんクラスの話し合い中でしょダメだよ平気じゃないよ」
「そっちこそ今更何言ってるの。だいたい今行ったらまりあにボコボコにされるよ」
「う……。そ、れは、甘んじてボコボコにされます……」
「だめだって。いいからここにいな。ね?」
「で、でも……」
「そうだな。おかげで種目も決まったし、いてくれて構わないぞ」
まだ言い募ろうとする伊織の声に被さるように、新たな声が割り込んだ。
体育祭実行委員の倉橋豊だった。
銀縁の眼鏡を軽く人差し指で押し上げて、伊織に向けて薄く微笑んでいる。
倉橋は九条と同じサッカー部レギュラーで、来年は司令塔になるのではと目されている存在だ。その聡明で知的な雰囲気でやはり女子生徒からの人気が高い。
「倉橋。え、種目決まったの?」
「ああ。神、お前テニスな」
あっさりと言い渡されたその内容に、宗一郎は目を丸くした。
自分は倉橋本人に頼まれてソフトに決まっていたはずなのに。
「え、俺ソフトだろ!? それに俺、テニスは苦手なんだけど……」
「そうか、わかった。じゃあ、九条にするか」
「へ? オレ?」
いきなり白羽の矢を立てられて、九条が間の抜けた声をあげた。
「まあ、別にかまわないけど?」
「そうか。じゃあ九条、よろしく頼む」
「オッケー」
「――ああ、神」
テニスが九条に決まってホッと息を吐き出していると、突然倉橋に名前を呼ばれた。
宗一郎はうん? と返事を返す。
「ちなみに今年のテニスはミックスダブルスだから、九条とお前の彼女……伊織ちゃん、だったか? をペアにするが構わないよな」
「え!?」
ぎょっとして声をあげる宗一郎とは対照的に、九条がやったぜラッキーと諸手をあげる。
その頭を軽く殴りつけて、宗一郎は倉橋に視線を戻す。
「え、ちょっと待って倉橋」
「気にするな、神。九条が抜けるとバスケが大幅に戦力ダウンだが、神がそこまでテニスが嫌だというなら仕方ない。ああそうだ、九条と伊織ちゃんが仲良くなっても文句言うなよ? じゃあこれで――」
「わあ、待った待った!」
解散、と続けようとした倉橋の言葉を遮って宗一郎は大声を上げる。
「わかった。俺がテニスをやる。九条はバスケで俺がテニスでいいから」
「決まりだな」
「了解ッス!」
言うと信長はまりあを羽交い絞めにしたままズルズルと引きずって教室を出て行った。
廊下の奥からまだ、まりあのはーなーしーてーという声がこだまのように響いてくる。
宗一郎がそれを複雑な表情で見送っていると、ふいに袖を引かれた。
視線を落とすと、伊織が気まずそうにこちらを見上げている。
「伊織? どうしたの?」
「あ、いや……。もしかして、宗くんのクラス、まだ種目決めの途中……だったの?」
「あ、うん。そうだよ」
宗一郎のその返事に、伊織が動転して顔を青くした。
「わー、ごめんなさいお邪魔して! わ、わたしてっきりもうクラス解散した後だと思ってて……! せ、先輩がたもご迷惑おかけしてすみませんでした。宗くん、わたしも先に部活に行ってるね!」
言って慌てて駆け出そうとした伊織の腕を宗一郎はぱしりと掴んだ。
「あ、まって伊織! いいよ、平気だからここにいなよ」
「いやいやいや! なに言ってんの宗くんクラスの話し合い中でしょダメだよ平気じゃないよ」
「そっちこそ今更何言ってるの。だいたい今行ったらまりあにボコボコにされるよ」
「う……。そ、れは、甘んじてボコボコにされます……」
「だめだって。いいからここにいな。ね?」
「で、でも……」
「そうだな。おかげで種目も決まったし、いてくれて構わないぞ」
まだ言い募ろうとする伊織の声に被さるように、新たな声が割り込んだ。
体育祭実行委員の倉橋豊だった。
銀縁の眼鏡を軽く人差し指で押し上げて、伊織に向けて薄く微笑んでいる。
倉橋は九条と同じサッカー部レギュラーで、来年は司令塔になるのではと目されている存在だ。その聡明で知的な雰囲気でやはり女子生徒からの人気が高い。
「倉橋。え、種目決まったの?」
「ああ。神、お前テニスな」
あっさりと言い渡されたその内容に、宗一郎は目を丸くした。
自分は倉橋本人に頼まれてソフトに決まっていたはずなのに。
「え、俺ソフトだろ!? それに俺、テニスは苦手なんだけど……」
「そうか、わかった。じゃあ、九条にするか」
「へ? オレ?」
いきなり白羽の矢を立てられて、九条が間の抜けた声をあげた。
「まあ、別にかまわないけど?」
「そうか。じゃあ九条、よろしく頼む」
「オッケー」
「――ああ、神」
テニスが九条に決まってホッと息を吐き出していると、突然倉橋に名前を呼ばれた。
宗一郎はうん? と返事を返す。
「ちなみに今年のテニスはミックスダブルスだから、九条とお前の彼女……伊織ちゃん、だったか? をペアにするが構わないよな」
「え!?」
ぎょっとして声をあげる宗一郎とは対照的に、九条がやったぜラッキーと諸手をあげる。
その頭を軽く殴りつけて、宗一郎は倉橋に視線を戻す。
「え、ちょっと待って倉橋」
「気にするな、神。九条が抜けるとバスケが大幅に戦力ダウンだが、神がそこまでテニスが嫌だというなら仕方ない。ああそうだ、九条と伊織ちゃんが仲良くなっても文句言うなよ? じゃあこれで――」
「わあ、待った待った!」
解散、と続けようとした倉橋の言葉を遮って宗一郎は大声を上げる。
「わかった。俺がテニスをやる。九条はバスケで俺がテニスでいいから」
「決まりだな」