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「伊織ちゃんもこんなモテるやつが彼氏だと不安だよな!? オレは宗ほどモテないし、宗ほど人気もない。それになにより、オレは宗よりも明るいし楽しいぜ! こんなおとなしいやつじゃあ伊織ちゃんもつまらないだろ!?」
「え、いや、そんなことは……」
「絶対オレのほうが宗よりいいって! とにかく一度オレと付き合ってみてよ! 絶対宗より楽しませるか……らっ!?」
そこまで言った九条の頭に、宗一郎はゲンコツを落とした。
九条はぐえっとカエルのつぶれたような声をあげてだらんと力なく頭を下げる。
宗一郎は静かに怒りを込めて口を開いた。
「いい加減にしろよ九条。伊織から手を放せ」
宗一郎は九条の手を乱暴に掴むと、その手を伊織から放させた。
いい加減悪ふざけが過ぎている。
宗一郎は九条を睨みすえたまま唇を持ち上げる。
「俺は伊織を手放すつもりはないよ。当然お前にも渡さない」
「そ、宗くん……」
「伊織は黙ってて。こいつ、ほんとこらしめてやらないと……!」
宗一郎が激しい怒りを瞳に秘めてそう言うと、それを察した九条が慌ててお手上げのポーズを作った。
「ま、待て、宗! オレが悪かった! おい相沢、宗のこの目はマジだヤバイ、オレを助けろ!」
「あはは。そのまま宗に絶交されちゃえばいいんじゃない?」
「わああ、それは嫌だ!」
相沢のその言葉に、慌てて九条が宗一郎の腰に巻きついた。
「うわ、離せよ気持ち悪いっ」
宗一郎は思いっきり嫌そうに顔をしかめて九条を引き剥がそうとするが、九条はしがみついて離れない。
「宗、悪い! オレが悪かった! 謝る! もう伊織ちゃんにも手ぇ出さないから! スパッと諦めるから! な? だから友達やめないでくれぇえ~!」
「わかった! わかった許す! 許すからくっつくな! あーもう、お前は女かうっとうしい!」
宗一郎はぎゅううっと強く抱きしめてくる九条に鳥肌を立てながら、なんとか九条を引き剥がすと、その頭に再びゲンコツを落とした。
九条がうううと小さな呻き声をあげておとなしくなる。
「今回は許すけど、次伊織に手ぇ出したら本当に容赦しないからな」
「――ハイ。肝に銘じておきます」
「よし」
これで一件落着と息を吐き出すと、今度は後ろで伊織がいたッ! と声をあげた。
何事かと後ろを振り返ると、足を押さえる伊織と腕を組んで怒りを露わにしているまりあがいた。
「ま、まりあちゃん、ちょ、なんでそんな思いっきり急に蹴るの!?」
「うるさいムカつくそんなに宗ちゃんに愛されて! あー、東京湾に沈めたぁい!」
まりあが天を仰いで物騒な事を叫んだ。
そして再びギンっと伊織を睨んでつかみかかろうとする。
「うわあまりあちゃんストップストップ!」
その手が伊織に届く前に、信長がまりあを後ろから羽交い絞めにした。
まりあは足をバタバタさせて信長に抵抗する。
「ちょっとノブくん、離しなさいよ~!」
「むりむりむり! まりあちゃん目がマジ! 今手ぇ離したら伊織がやられるっ!」
「だって伊織ちゃんばっかりずるい~!」
まりあは言うと、一層激しく暴れだした。
信長は必死にまりあを拘束する腕を強める。
「わ、ちょ、まりあちゃんそんな暴れるな……って、あー、もうむりだ! 神さん、オレ伊織がコンクリート漬けにされる前に先に部室行ってます!」