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宗一郎は苦笑を滲ませながら伊織の頭を撫でてやる。
と、その肩を九条に掴まれた。
「宗、この子だ!」
「え?」
九条は、泣き真似をやめて何事かと顔をあげた伊織を、食い入るように見つめていた。
宗一郎の胸に嫌な予感が走る。
「え。九条、まさか」
宗一郎が言うより早く、九条が伊織の両肩に手を置いた。
わっと驚いて小さく悲鳴を上げる伊織にも構わずに、九条は興奮した様子で口を開く。
「オレ、九条要! 伊織ちゃんって言うの? よかったらオレと付き合わない?」
「――えええええ!?」
やっぱり! と動きを止める宗一郎と対照的に、今度はクラスから驚愕の声があがった。
「や、もちろんお互いのことよく知らないから、まずは友達からってことで……」
「だっ、だめだめだめ!」
九条がそこまで言いかけたとき、ハッと我に返った宗一郎は慌てて九条から伊織を引き剥がした。
人の彼女に告白するなんてとんでもない。
先ほどまで九条の手が置かれていた伊織の肩を汚れを落とすように払っている宗一郎に、九条が唇を尖らせる。
「なんだよ宗、邪魔するなよ! お前自分は幸せだからってオレにイジワル……」
「じゃなくて!」
拗ねたようにまくしたてる九条に、宗一郎が声をはさむ。
「九条、この子なの」
「あ?」
「だから、伊織が俺の彼女なの」
言いながら宗一郎はぐいっと伊織の肩を抱きよせた。
数瞬の沈黙の後、再び教室が悲鳴に包まれる。
えええ神いつの間に!? だとか、ウソーやだー神くぅーん! だとか、わたしも神くんのこと好きなのにーとか、様々な声が教室を飛び交う。
呆然としていた九条はハッと我に返ると、おそるおそる伊織を見た。
「な、ほ、ほんとうなのか伊織ちゃん!」
「は、はいぃ!」
いまだに状況を掴めていない伊織は、突然矛先を向けられて混乱した様子で頷いた。
宗一郎はそんな伊織を九条から遠ざけるように、自分の後ろに隠す。
「わかっただろ、九条。だから伊織のことは諦め……」
「宗!」
言い終わらないうちに九条が飛びつくようにして宗一郎の手を掴んだ。
男に手を掴まれる気色悪さに、宗一郎の口から思わずうわあという悲鳴が漏れる。
「な、なに?」
「頼む、宗! この子はオレに譲ってくれ!」
「はぁあ!?」
「お前なら他に好きだって言ってくれる女がいくらでもいるだろ?」
九条のその言葉に、まりあを含めた教室の半数以上の女子が一斉に手を挙げた。
それを見てげんなりする宗一郎に、九条が勝ち誇ったように口の端を持ち上げる。
「ほら、よりどりみどりじゃないか。だからこの子はオレにくれ! な?」
「ちょ、九条! 何言ってんだよお前! まりあも一緒になって手ぇあげないの!」
「えー!」
「えーじゃなくて!」
「伊織ちゃん!」
「わ、はい!」
まりあと攻防を繰り広げる宗一郎を尻目に、九条が今度は伊織の手をとった。
伊織が驚いて肩を飛び上がらせる。
と、その肩を九条に掴まれた。
「宗、この子だ!」
「え?」
九条は、泣き真似をやめて何事かと顔をあげた伊織を、食い入るように見つめていた。
宗一郎の胸に嫌な予感が走る。
「え。九条、まさか」
宗一郎が言うより早く、九条が伊織の両肩に手を置いた。
わっと驚いて小さく悲鳴を上げる伊織にも構わずに、九条は興奮した様子で口を開く。
「オレ、九条要! 伊織ちゃんって言うの? よかったらオレと付き合わない?」
「――えええええ!?」
やっぱり! と動きを止める宗一郎と対照的に、今度はクラスから驚愕の声があがった。
「や、もちろんお互いのことよく知らないから、まずは友達からってことで……」
「だっ、だめだめだめ!」
九条がそこまで言いかけたとき、ハッと我に返った宗一郎は慌てて九条から伊織を引き剥がした。
人の彼女に告白するなんてとんでもない。
先ほどまで九条の手が置かれていた伊織の肩を汚れを落とすように払っている宗一郎に、九条が唇を尖らせる。
「なんだよ宗、邪魔するなよ! お前自分は幸せだからってオレにイジワル……」
「じゃなくて!」
拗ねたようにまくしたてる九条に、宗一郎が声をはさむ。
「九条、この子なの」
「あ?」
「だから、伊織が俺の彼女なの」
言いながら宗一郎はぐいっと伊織の肩を抱きよせた。
数瞬の沈黙の後、再び教室が悲鳴に包まれる。
えええ神いつの間に!? だとか、ウソーやだー神くぅーん! だとか、わたしも神くんのこと好きなのにーとか、様々な声が教室を飛び交う。
呆然としていた九条はハッと我に返ると、おそるおそる伊織を見た。
「な、ほ、ほんとうなのか伊織ちゃん!」
「は、はいぃ!」
いまだに状況を掴めていない伊織は、突然矛先を向けられて混乱した様子で頷いた。
宗一郎はそんな伊織を九条から遠ざけるように、自分の後ろに隠す。
「わかっただろ、九条。だから伊織のことは諦め……」
「宗!」
言い終わらないうちに九条が飛びつくようにして宗一郎の手を掴んだ。
男に手を掴まれる気色悪さに、宗一郎の口から思わずうわあという悲鳴が漏れる。
「な、なに?」
「頼む、宗! この子はオレに譲ってくれ!」
「はぁあ!?」
「お前なら他に好きだって言ってくれる女がいくらでもいるだろ?」
九条のその言葉に、まりあを含めた教室の半数以上の女子が一斉に手を挙げた。
それを見てげんなりする宗一郎に、九条が勝ち誇ったように口の端を持ち上げる。
「ほら、よりどりみどりじゃないか。だからこの子はオレにくれ! な?」
「ちょ、九条! 何言ってんだよお前! まりあも一緒になって手ぇあげないの!」
「えー!」
「えーじゃなくて!」
「伊織ちゃん!」
「わ、はい!」
まりあと攻防を繰り広げる宗一郎を尻目に、九条が今度は伊織の手をとった。
伊織が驚いて肩を飛び上がらせる。