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「さ、でも大丈夫と言ったからにはいつもどおり働いてもらうわよ? 今日の午後練習は紅白戦だから、伊織ちゃんはビブスを持ってきてもらえる?」
「はい! すぐ取ってきます!」
「ふふ、お願いね」
伊織は小百合にピッと敬礼すると、急いで用具室へと向かった。
目当てのカゴを見つけると、伊織はそれを持って小百合のもとへ戻る。
「ありがとう伊織ちゃん。早かったのね。そういえばまりあちゃんは?」
「あ、委員会で遅れるみたいです。もうそろそろ来ると思うんですけど……」
伊織がそう言ったところでタイミング良くまりあが体育館に姿を現した。
その途端、一気にその場の空気が華やいだ。
まりあは伊織と小百合に気付くと、二人のもとへ子リスのようにちょこちょこと走ってきた。小百合に向かってぺこりと頭を下げる。
「お疲れさまです。ごめんなさい、委員会で遅くなってしまいました」
「お疲れさま、まりあちゃん。委員会ごくろうさま。もう準備はあらかた終わっているから、早く着替えていらっしゃい」
「はい! じゃあ伊織ちゃん、まりあちょっと着替えてくるね」
「うん」
ふわふわの綿飴みたいな髪を翻し、まりあは更衣室へと駆けていく。
その様子を小百合と二人で眺めていると、いつの間に隣りに来たのか、牧がやれやれといったような声を出した。
「やっと雪原が来たか。まったく、あいつらときたら、雪原が来ないと覇気が全然なくてな。なんのためにバスケをやってるんだか」
背後の部員たちを親指で指し、けしからんとため息を吐く牧に、伊織と小百合は顔を見合わせてくすくすと笑った。
「しょうがないわよ、紳一。まりあちゃん、ほんとうにかわいいもの」
「そうか? 俺はあんな乳くさいガキはごめんだがな」
「あら。レディに向かってそんなこと言ったらダメよ」
「レディって。おいおい、雪原はこの前まで中学生だったんだぞ」
「そんなの関係ないわよ。女の子はいつの間にか大人になるものなのよ」
小百合の言葉に、伊織もうんうんと頷く。
「そうですよ、牧先輩。今のでファンが十人くらいは減ったと思いますね」
「あいにく、俺はファンを増やすためにバスケをやっているわけじゃないからな。そんなのは別に構わん」
「あはは。牧先輩らしいです」
牧のその言葉に伊織が笑うと、小百合がちょいちょいと腕を小突いてきた。わざと牧に聞こえるように伊織に耳打ちする。
「違うわよ、伊織ちゃん。紳一ったら神くんやノブくんの人気のほうが高いから、やきもち妬いてるのよ」
「ええ!? そうだったんですか牧先輩!!」
伊織が衝撃を受けて牧を見ると、牧が呆れるような視線を返してきた。
「そんなわけないだろう。小百合、お前適当な事を吹き込むな。鈴村、お前もこんなくだらないこと信じるんじゃない。まったく。ほら、雪原も準備ができたようだし、そろそろ紅白戦を始めるぞ。小百合、部員を集合させろ」
「はいはい、わかりました。まったく、冗談が通じないんだから。――さあ、みんな集まって!」
紅白戦に出場する選手たちがセンターラインに整列した。
今日は、この前決まったレギュラー・準レギュラー陣の紅白試合だと言う。
チーム分けは、紅チームが小菅(C)・武藤(SF)・竹柴(PF)・宮益(G)・牧(PG)。白チームが高砂(C)・清田(SF)・日向(PF)・神(SG)・森(PG)。そのほか、それぞれ七人ずつ控え選手がいる。
レギュラー漏れした部員も、今後の勉強のためにと試合を観戦する。体を動かすだけが良い練習ではない。他人のプレーをしっかり見て、そこからなにか学び取ることも重要だ。
監督の高頭は、そこのところもよく心得ていた。
「はい! すぐ取ってきます!」
「ふふ、お願いね」
伊織は小百合にピッと敬礼すると、急いで用具室へと向かった。
目当てのカゴを見つけると、伊織はそれを持って小百合のもとへ戻る。
「ありがとう伊織ちゃん。早かったのね。そういえばまりあちゃんは?」
「あ、委員会で遅れるみたいです。もうそろそろ来ると思うんですけど……」
伊織がそう言ったところでタイミング良くまりあが体育館に姿を現した。
その途端、一気にその場の空気が華やいだ。
まりあは伊織と小百合に気付くと、二人のもとへ子リスのようにちょこちょこと走ってきた。小百合に向かってぺこりと頭を下げる。
「お疲れさまです。ごめんなさい、委員会で遅くなってしまいました」
「お疲れさま、まりあちゃん。委員会ごくろうさま。もう準備はあらかた終わっているから、早く着替えていらっしゃい」
「はい! じゃあ伊織ちゃん、まりあちょっと着替えてくるね」
「うん」
ふわふわの綿飴みたいな髪を翻し、まりあは更衣室へと駆けていく。
その様子を小百合と二人で眺めていると、いつの間に隣りに来たのか、牧がやれやれといったような声を出した。
「やっと雪原が来たか。まったく、あいつらときたら、雪原が来ないと覇気が全然なくてな。なんのためにバスケをやってるんだか」
背後の部員たちを親指で指し、けしからんとため息を吐く牧に、伊織と小百合は顔を見合わせてくすくすと笑った。
「しょうがないわよ、紳一。まりあちゃん、ほんとうにかわいいもの」
「そうか? 俺はあんな乳くさいガキはごめんだがな」
「あら。レディに向かってそんなこと言ったらダメよ」
「レディって。おいおい、雪原はこの前まで中学生だったんだぞ」
「そんなの関係ないわよ。女の子はいつの間にか大人になるものなのよ」
小百合の言葉に、伊織もうんうんと頷く。
「そうですよ、牧先輩。今のでファンが十人くらいは減ったと思いますね」
「あいにく、俺はファンを増やすためにバスケをやっているわけじゃないからな。そんなのは別に構わん」
「あはは。牧先輩らしいです」
牧のその言葉に伊織が笑うと、小百合がちょいちょいと腕を小突いてきた。わざと牧に聞こえるように伊織に耳打ちする。
「違うわよ、伊織ちゃん。紳一ったら神くんやノブくんの人気のほうが高いから、やきもち妬いてるのよ」
「ええ!? そうだったんですか牧先輩!!」
伊織が衝撃を受けて牧を見ると、牧が呆れるような視線を返してきた。
「そんなわけないだろう。小百合、お前適当な事を吹き込むな。鈴村、お前もこんなくだらないこと信じるんじゃない。まったく。ほら、雪原も準備ができたようだし、そろそろ紅白戦を始めるぞ。小百合、部員を集合させろ」
「はいはい、わかりました。まったく、冗談が通じないんだから。――さあ、みんな集まって!」
紅白戦に出場する選手たちがセンターラインに整列した。
今日は、この前決まったレギュラー・準レギュラー陣の紅白試合だと言う。
チーム分けは、紅チームが小菅(C)・武藤(SF)・竹柴(PF)・宮益(G)・牧(PG)。白チームが高砂(C)・清田(SF)・日向(PF)・神(SG)・森(PG)。そのほか、それぞれ七人ずつ控え選手がいる。
レギュラー漏れした部員も、今後の勉強のためにと試合を観戦する。体を動かすだけが良い練習ではない。他人のプレーをしっかり見て、そこからなにか学び取ることも重要だ。
監督の高頭は、そこのところもよく心得ていた。