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夢小説設定
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体育祭実行委員の倉橋も、今度は注意を忘れて何事かと成り行きを見守っていた。
伊織の表情はとても切羽詰まっていて、すがりつくように宗一郎の服の袖を掴んできた。
宗一郎は伊織の様子に表情を引き締める。
どうしたんだろう。伊織がこんなに焦っているなんて。
宗一郎は伊織を落ち着かせるように、意識していつもよりゆっくり声を出す。
「伊織? どうしたの、何かあった?」
「ど、どうしよう宗くん。どうしよう……!」
「うん。落ち着いて伊織。大丈夫だよ、どうしたの?」
「わ、わたし……わたし……!」
「うん」
「球技大会の種目、テニスになっちゃった!」
「…………え、ええええっ!?」
ぴったり三秒間沈黙した後、宗一郎は大声をあげた。
普段穏やかな宗一郎の慌てた様子に、クラスのみんなも驚いて宗一郎を見やる。
「え、テニスって、え!? なんで!? 伊織のクラス話し合いで決めなかったの!?」
「いや、話し合いだったんだけど……!」
「うん」
「な、なんか気づいたらテニスになってた……」
「え?」
どういうことだろう。
よく意味がわからず宗一郎が眉根を寄せていると、騒がしい足音が再び教室に入ってきた。
信長とまりあだ。
二人はこちらに気付くと、足早に近寄ってくる。
「神さん、聞いてくださいよ! 伊織のやつほんと信じられないんスよ!」
「伊織ちゃんったらね、種目決めのときに居眠りしちゃってたんだって」
「わー! ちょ、まりあちゃん、ノブ! シーっ!」
慌てたようにふたりを止める伊織に、まりあがかわいらしく舌を出す。
「なぁによ、止めたってムダだよーっだ。本当のことでしょ」
「だよなー。だいたいなんで一番前の席で居眠りなんかできんだよ、バッカじゃねえのお前」
「ち、違う! 居眠りじゃなくて、断じてなくて! そう、むしろあれは宇宙との交信っていうか! 電波がびびびっと落ちてきてそれに答えてたらいつのまにか時間が経っていてねっ」
「何言ってんだお前、そっちの方が余計怖いだろ!」
「うう、だって……」
伊織が悔しそうに下唇を噛む。
「それならわたしがテニスになったときに二人とも教えてくれればいいのに……」
「え~。そんなのって不条理な責任転嫁~。だってまさか一番前の席で寝てるなんて思わなかったもん。後ろからみたら普通に座ってるように見えたし。だからわたしたちもテニスに立候補したんだよね、ノブくん」
ねーっとまりあはかわいらしく信長に同意を求めた。信長もそれにうんうんと大きく頷いている。
宗一郎は三人の会話から状況を察すると、伊織の顔を覗き込んだ。
つまり。
「伊織、寝ちゃったんだ?」
「わああ、違うの! 違うんだよ宗くん!」
よっぽど居眠りしてしまったことを宗一郎に隠したいのか、伊織が慌てふためいて否定する。
「そ、そう、夢! 夢を見てたの!」
「……うん。夢を見れる状態のことを寝るって言うんだよ、伊織」
必死に否定する伊織がかわいくて笑いをかみ殺しながら答えてやると、自分のとんちんかんな答えに気付いた伊織ががびーんといった表情で止まった。
「はっ!!」
「……伊織ちゃん、バッカじゃない」
まりあが呆れたように呟いた。
「~~っだってだってお日様がとってもあたたかくて沈黙がすっごく心地よかったんだもんー!」
わああっと伊織が顔を伏せて泣き真似をした。
伊織の表情はとても切羽詰まっていて、すがりつくように宗一郎の服の袖を掴んできた。
宗一郎は伊織の様子に表情を引き締める。
どうしたんだろう。伊織がこんなに焦っているなんて。
宗一郎は伊織を落ち着かせるように、意識していつもよりゆっくり声を出す。
「伊織? どうしたの、何かあった?」
「ど、どうしよう宗くん。どうしよう……!」
「うん。落ち着いて伊織。大丈夫だよ、どうしたの?」
「わ、わたし……わたし……!」
「うん」
「球技大会の種目、テニスになっちゃった!」
「…………え、ええええっ!?」
ぴったり三秒間沈黙した後、宗一郎は大声をあげた。
普段穏やかな宗一郎の慌てた様子に、クラスのみんなも驚いて宗一郎を見やる。
「え、テニスって、え!? なんで!? 伊織のクラス話し合いで決めなかったの!?」
「いや、話し合いだったんだけど……!」
「うん」
「な、なんか気づいたらテニスになってた……」
「え?」
どういうことだろう。
よく意味がわからず宗一郎が眉根を寄せていると、騒がしい足音が再び教室に入ってきた。
信長とまりあだ。
二人はこちらに気付くと、足早に近寄ってくる。
「神さん、聞いてくださいよ! 伊織のやつほんと信じられないんスよ!」
「伊織ちゃんったらね、種目決めのときに居眠りしちゃってたんだって」
「わー! ちょ、まりあちゃん、ノブ! シーっ!」
慌てたようにふたりを止める伊織に、まりあがかわいらしく舌を出す。
「なぁによ、止めたってムダだよーっだ。本当のことでしょ」
「だよなー。だいたいなんで一番前の席で居眠りなんかできんだよ、バッカじゃねえのお前」
「ち、違う! 居眠りじゃなくて、断じてなくて! そう、むしろあれは宇宙との交信っていうか! 電波がびびびっと落ちてきてそれに答えてたらいつのまにか時間が経っていてねっ」
「何言ってんだお前、そっちの方が余計怖いだろ!」
「うう、だって……」
伊織が悔しそうに下唇を噛む。
「それならわたしがテニスになったときに二人とも教えてくれればいいのに……」
「え~。そんなのって不条理な責任転嫁~。だってまさか一番前の席で寝てるなんて思わなかったもん。後ろからみたら普通に座ってるように見えたし。だからわたしたちもテニスに立候補したんだよね、ノブくん」
ねーっとまりあはかわいらしく信長に同意を求めた。信長もそれにうんうんと大きく頷いている。
宗一郎は三人の会話から状況を察すると、伊織の顔を覗き込んだ。
つまり。
「伊織、寝ちゃったんだ?」
「わああ、違うの! 違うんだよ宗くん!」
よっぽど居眠りしてしまったことを宗一郎に隠したいのか、伊織が慌てふためいて否定する。
「そ、そう、夢! 夢を見てたの!」
「……うん。夢を見れる状態のことを寝るって言うんだよ、伊織」
必死に否定する伊織がかわいくて笑いをかみ殺しながら答えてやると、自分のとんちんかんな答えに気付いた伊織ががびーんといった表情で止まった。
「はっ!!」
「……伊織ちゃん、バッカじゃない」
まりあが呆れたように呟いた。
「~~っだってだってお日様がとってもあたたかくて沈黙がすっごく心地よかったんだもんー!」
わああっと伊織が顔を伏せて泣き真似をした。