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仙道はそんな伊織に微笑みかける。
「伊織ちゃん、もしかしなくても神とケンカしたか別れたかしてたでしょ?」
「え!?」
仙道のその問いに伊織がびくりとからだを硬直させる。
じんわりと滲んでいく伊織の目を切なそうに見つめて、仙道は安心させるように微笑む。
「もう大丈夫だよ。とりあえず、オレのかわりに神のことボコボコにしてやって」
「え!? え!?」
ワケがわからず戸惑う伊織に、仙道は構わず言葉を続ける。
「じゃあ、オレは帰るよ。伊織ちゃん、今度はほんとうにキミを諦められたときに来るから。そうしたら、どっか遊びに行こうね」
それだけ言うと、仙道はうずくまる宗一郎の背中に思いっきり平手を食らわせて去っていった。
ジンジンと痛む背中を伊織の手を掴んでいるのと反対の手でさすって、宗一郎は呻いた。
「そ、宗先輩、大丈夫ですか?」
「…………ぶ」
「え?」
「大丈夫。……伊織、ちょっと外行こう」
「え!? でも、まだ練習中……、わ、宗先輩!?」
宗一郎は立ち上がると、伊織の手を引っ張って体育館外へと連れ出した。
外水道の近くまで来ると、伊織と向かい合うように立つ。
「宗先輩……?」
自分の事を宗先輩と呼び敬語で話し、怯えたように戸惑う伊織。
そんな伊織に宗一郎はどう謝ったらいいのかわからなくて、思わず声をつまらせた。
伊織はただ親友の女の子のことを話していただけなのに。きっと宗一郎に逃げ出した過去のことを話すのは容易いことじゃなかったろうに。
自分は勇気を出して話してくれた伊織に対して、なんて仕打ちをしてしまったんだろう。
昨日の伊織の泣き声が鮮明に耳によみがえる。
大切にすると誓ったのに、自分のどうしようもない勘違いで伊織をあんなに泣かせて、これ以上ないくらい傷つけて。
「伊織ごめん!」
宗一郎は勢いよくからだを半分に折り曲げた。
もうそうする以外思いつかなかった。
「え?」
「本当にごめん! 俺、すごく言いにくいんだけど、ショウのことを男だと勘違いしてた!」
「え」
その呟きを伊織が零した数秒後。
「えぇぇえええええ!?」
さらに大きな叫び声が伊織の口をついて出た。
「え、わたしショウのこと宗先輩に話したことなかったでしたっけ?」
「東京に絶縁状態の親友がいるとは聞いてたけど、名前までは……」
「え、じゃあちょっと待ってください、宗先輩は他の男のひとをわたしが宗先輩に向かって好きだと言ったと思ってたってことですか……!?」
昨日の自分の発言を思い返しているのか、伊織があわあわと動転しながら宗一郎に訊ねた。
宗一郎は気まずい気持ちをそのままに、こくりと頷く。
「うん」
「わああ、それってそれってひどすぎる……! あああ、宗先輩傷つけてごめんなさいどうしようごめんなさいごめんなさい!! あの、ショウは上田笙子って名前で、わたしの6歳の頃からの親友なんです。テニススクールで会って、そこから意気投合して、ずっとテニスでダブルス組んでたんです」
「うん」
「だけど中3の全中大会のシングルスでわたしがケガをして、その次の日にあったダブルスの試合に出れなくなっちゃって……。それからわたしショウに会わす顔がなくて避けちゃって、黙って神奈川まで来ちゃってそれで絶縁状態だったんです。ちなみに、ショウは昨日来た種田先輩の彼女です。正真正銘女の子ですから! 本当にごめんなさい!」
「伊織ちゃん、もしかしなくても神とケンカしたか別れたかしてたでしょ?」
「え!?」
仙道のその問いに伊織がびくりとからだを硬直させる。
じんわりと滲んでいく伊織の目を切なそうに見つめて、仙道は安心させるように微笑む。
「もう大丈夫だよ。とりあえず、オレのかわりに神のことボコボコにしてやって」
「え!? え!?」
ワケがわからず戸惑う伊織に、仙道は構わず言葉を続ける。
「じゃあ、オレは帰るよ。伊織ちゃん、今度はほんとうにキミを諦められたときに来るから。そうしたら、どっか遊びに行こうね」
それだけ言うと、仙道はうずくまる宗一郎の背中に思いっきり平手を食らわせて去っていった。
ジンジンと痛む背中を伊織の手を掴んでいるのと反対の手でさすって、宗一郎は呻いた。
「そ、宗先輩、大丈夫ですか?」
「…………ぶ」
「え?」
「大丈夫。……伊織、ちょっと外行こう」
「え!? でも、まだ練習中……、わ、宗先輩!?」
宗一郎は立ち上がると、伊織の手を引っ張って体育館外へと連れ出した。
外水道の近くまで来ると、伊織と向かい合うように立つ。
「宗先輩……?」
自分の事を宗先輩と呼び敬語で話し、怯えたように戸惑う伊織。
そんな伊織に宗一郎はどう謝ったらいいのかわからなくて、思わず声をつまらせた。
伊織はただ親友の女の子のことを話していただけなのに。きっと宗一郎に逃げ出した過去のことを話すのは容易いことじゃなかったろうに。
自分は勇気を出して話してくれた伊織に対して、なんて仕打ちをしてしまったんだろう。
昨日の伊織の泣き声が鮮明に耳によみがえる。
大切にすると誓ったのに、自分のどうしようもない勘違いで伊織をあんなに泣かせて、これ以上ないくらい傷つけて。
「伊織ごめん!」
宗一郎は勢いよくからだを半分に折り曲げた。
もうそうする以外思いつかなかった。
「え?」
「本当にごめん! 俺、すごく言いにくいんだけど、ショウのことを男だと勘違いしてた!」
「え」
その呟きを伊織が零した数秒後。
「えぇぇえええええ!?」
さらに大きな叫び声が伊織の口をついて出た。
「え、わたしショウのこと宗先輩に話したことなかったでしたっけ?」
「東京に絶縁状態の親友がいるとは聞いてたけど、名前までは……」
「え、じゃあちょっと待ってください、宗先輩は他の男のひとをわたしが宗先輩に向かって好きだと言ったと思ってたってことですか……!?」
昨日の自分の発言を思い返しているのか、伊織があわあわと動転しながら宗一郎に訊ねた。
宗一郎は気まずい気持ちをそのままに、こくりと頷く。
「うん」
「わああ、それってそれってひどすぎる……! あああ、宗先輩傷つけてごめんなさいどうしようごめんなさいごめんなさい!! あの、ショウは上田笙子って名前で、わたしの6歳の頃からの親友なんです。テニススクールで会って、そこから意気投合して、ずっとテニスでダブルス組んでたんです」
「うん」
「だけど中3の全中大会のシングルスでわたしがケガをして、その次の日にあったダブルスの試合に出れなくなっちゃって……。それからわたしショウに会わす顔がなくて避けちゃって、黙って神奈川まで来ちゃってそれで絶縁状態だったんです。ちなみに、ショウは昨日来た種田先輩の彼女です。正真正銘女の子ですから! 本当にごめんなさい!」