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(俺、バカだ……!)
そうだ。冷静に考えれば、おかしいことに気付くはずだった。
あの話を聞いていた牧も信長もまりあも、彼氏の宗一郎がいるのにショウを好きだと公言してはばからない伊織を、誰も咎めなかった。
牧はともかく、伊織が他の男に対してそんなことを言えば、信長とまりあが黙ってないはずなのに。
(それに……)
信長の言葉を思い出す。
『こういうのはふたまたとは言わないッスよ!』
(ほんと、その通りだよノブ……! 俺、女の子相手に嫉妬してどうするんだ……)
地面に突っ伏す勢いで伸びていく宗一郎に、仙道の不思議そうな声が振ってきた。
「え、なに。神知らなかったの?」
「いや、知らなかったっていうか……俺もうダメだ、仙道」
「はぁ!?」
「死ぬ……」
「ちょ、神、大丈夫か!?」
あああ~と呻きながらどんどん丸く小さくなっていく宗一郎に、仙道が慌ててしゃがみこむ気配がした。
そして宗一郎の背中に触れる、新たな手。小さくて、優しいぬくもりの手。
愛しい、伊織の手。
「宗……先輩」
あれだけ避けた後だ。
自分のことをなんと呼んでいいのかわからなくて戸惑ったんだろう、震える伊織の声で名前を呼ばれた。
どんな気持ちで自分の名前をそう呼んだんだろう。
自分が伊織にしたことを思い起こして、神の胸がすごい力で思い切り握り潰されたように痛んだ。
「あの、具合、悪いですか? 保健室、行きますか? まりあちゃんを……」
自分が連れて行くではなくて、まりあを呼んでこようと立ち上がりかけた伊織の手を宗一郎は掴んだ。
びくりと伊織の体が震えたのが、その手の振動から伝わってくる。
宗一郎はその手が離れないようにぎゅっと強く握り締めた。そして深く息を吐き出すと、態勢はそのままに仙道に話しかけた。
「仙道、ごめん。ちょっとせっかく来たのにすごく申し訳ないんだけど、今日は帰ってもらえない? 俺、伊織と二人で話したい」
「あ、ああ、それは構わないけど……」
仙道は宗一郎のその様子と伊織の腫れた目を交互に見て、事態に思い至ったのか眉間に皺を寄せた。
「神、お前もしかして……」
「ごめん仙道それ言わないで! 俺から伊織に説明するから!」
恥ずかしさと情けなさといろんな感情に耐えられなくて、思わず宗一郎は大声を上げた。
穴があったら入りたい気分だ。
仙道の呆れたようなため息が頭上から降ってくる。
「……神、一発殴ってもいい?」
「むしろ何発でも殴って。……だけど後日でもいい? 俺、一刻も早く伊織と話したい」
「…………。まあ、いいや。なんか、もっと違う理由で伊織ちゃんを泣かせたときにこぶしはとっとくことにする。なんとなく、今回はオレもちょっと同情する」
「俺は自己嫌悪で死にそうだよ」
「……ドンマイ」
心の底から感情がこもった声で、仙道がそれを呟いた。
宗一郎は余計打ちのめされたような気がして、いたたまれない気持ちになっていく。
「え、あの、あの?」
分かり合う男たちをよそに、伊織は戸惑った声をあげた。
そうだ。冷静に考えれば、おかしいことに気付くはずだった。
あの話を聞いていた牧も信長もまりあも、彼氏の宗一郎がいるのにショウを好きだと公言してはばからない伊織を、誰も咎めなかった。
牧はともかく、伊織が他の男に対してそんなことを言えば、信長とまりあが黙ってないはずなのに。
(それに……)
信長の言葉を思い出す。
『こういうのはふたまたとは言わないッスよ!』
(ほんと、その通りだよノブ……! 俺、女の子相手に嫉妬してどうするんだ……)
地面に突っ伏す勢いで伸びていく宗一郎に、仙道の不思議そうな声が振ってきた。
「え、なに。神知らなかったの?」
「いや、知らなかったっていうか……俺もうダメだ、仙道」
「はぁ!?」
「死ぬ……」
「ちょ、神、大丈夫か!?」
あああ~と呻きながらどんどん丸く小さくなっていく宗一郎に、仙道が慌ててしゃがみこむ気配がした。
そして宗一郎の背中に触れる、新たな手。小さくて、優しいぬくもりの手。
愛しい、伊織の手。
「宗……先輩」
あれだけ避けた後だ。
自分のことをなんと呼んでいいのかわからなくて戸惑ったんだろう、震える伊織の声で名前を呼ばれた。
どんな気持ちで自分の名前をそう呼んだんだろう。
自分が伊織にしたことを思い起こして、神の胸がすごい力で思い切り握り潰されたように痛んだ。
「あの、具合、悪いですか? 保健室、行きますか? まりあちゃんを……」
自分が連れて行くではなくて、まりあを呼んでこようと立ち上がりかけた伊織の手を宗一郎は掴んだ。
びくりと伊織の体が震えたのが、その手の振動から伝わってくる。
宗一郎はその手が離れないようにぎゅっと強く握り締めた。そして深く息を吐き出すと、態勢はそのままに仙道に話しかけた。
「仙道、ごめん。ちょっとせっかく来たのにすごく申し訳ないんだけど、今日は帰ってもらえない? 俺、伊織と二人で話したい」
「あ、ああ、それは構わないけど……」
仙道は宗一郎のその様子と伊織の腫れた目を交互に見て、事態に思い至ったのか眉間に皺を寄せた。
「神、お前もしかして……」
「ごめん仙道それ言わないで! 俺から伊織に説明するから!」
恥ずかしさと情けなさといろんな感情に耐えられなくて、思わず宗一郎は大声を上げた。
穴があったら入りたい気分だ。
仙道の呆れたようなため息が頭上から降ってくる。
「……神、一発殴ってもいい?」
「むしろ何発でも殴って。……だけど後日でもいい? 俺、一刻も早く伊織と話したい」
「…………。まあ、いいや。なんか、もっと違う理由で伊織ちゃんを泣かせたときにこぶしはとっとくことにする。なんとなく、今回はオレもちょっと同情する」
「俺は自己嫌悪で死にそうだよ」
「……ドンマイ」
心の底から感情がこもった声で、仙道がそれを呟いた。
宗一郎は余計打ちのめされたような気がして、いたたまれない気持ちになっていく。
「え、あの、あの?」
分かり合う男たちをよそに、伊織は戸惑った声をあげた。