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「ま、まあまあ彰さん! 心配して来てくれたんですよね。ありがとうございます。嬉しいです」
険悪になりかけたムードを察して伊織が慌てて止めに入った。
あ、うん……と戸惑いながらも、仙道は宗一郎の胸倉を掴む手を放した。
しまってた気管が開放されて、宗一郎は小さくケホッと咳をする。
仙道はそんな宗一郎を鋭く一瞥して伊織に視線を戻した。
「伊織ちゃんのためなら、オレはいつだって駆けつけるよ」
「またそんなことばっかり言って。でも、ありがとうございます」
「ほんとうだから。あんなやつに伊織ちゃんを任せておけない」
宗一郎の全身に鋭くこちらを睨む仙道の視線が突き刺さった。
今の宗一郎には、その視線と対峙する気力も資格もなかった。
信長といい仙道といい、もういい加減ほっといてほしい。
こっちだって伊織を失って深く傷ついているのに。
(そういえば、仙道はショウとライバル関係だったって、昨日の種田が言ってたっけ)
種田から昨日連絡があったなら、ショウのことだって話しただろうに。
それなのに自分と伊織がまだ付き合っていると信じて疑わない仙道が宗一郎は不思議でならなかった。
伊織の渇いた声が、宗一郎の鼓膜にふれて、ひどく胸を締め付ける。
「……わたしは大丈夫ですよ、彰さん。でも、ありがとうございます」
「……うん。そういえば、さ。昨日種田が言ってたんだけど、笙子ちゃんは来なかったんだって?」
「あ、はい……」
(笙子……?)
仙道の口から発せられた名前に、ふと宗一郎は違和感を覚えて眉を寄せた。
その違和感を解きほぐそうとするように、二人の会話に耳を澄ます。
「種田が笙子ちゃんの話をしたらすごい勢いで拒絶されたって言ってたんだけど……。このまま笙子ちゃんとは会わないつもりなの?」
「だって……。会えません。わたしが前日のシングルスでケガをしたせいで、ショウは3年の全中でダブルスの試合に出れなくなっちゃったんですよ? あんなに一生懸命練習して、頑張ってたのに……。それまでだってたくさんたくさんショウに支えてもらってたのに。それなのにわたし、ショウにそのこと謝りもしないで、避けて、逃げて神奈川まで来たんです。いまさら、どんな顔して会ったらいいのか……」
「でも、待ってるよ。笙子ちゃんは伊織ちゃんのことずっとずっと待ってる」
「でも……!」
「え、ちょっと待って」
そこまで聞いて、宗一郎は嫌な予感にばくばく脈打つ心臓を抑えながら思わず声を滑り込ませた。
今自分は、なんだかとんでもないことに気付いた気がする。
突然声をはさんだ宗一郎に、二人が驚いたように振り返る。
「え?」
「や、ごめん割り込んで。え、でもちょっと待って? ショウって……」
「? 笙子ちゃんだよ?」
きょとんと仙道が答える。
「え?」
「だ~か~ら~! 伊織ちゃんの親友! 上田笙子(しょうこ)ちゃん!」
「……え!?」
瞬間頭が真っ白になった。
宗一郎は混乱する頭を必死で整理する。
ショウ=笙子。上田笙子。
つまり……。
「――!!」
(お、女の子……!?)
自分の途方もない勘違いに気付いて宗一郎はずるずるとその場にしゃがみ込んだ。
膝と膝の間に自身の顔をうずめる。
恥ずかしくて顔をあげられない。
まさかショウが女だったなんて。
険悪になりかけたムードを察して伊織が慌てて止めに入った。
あ、うん……と戸惑いながらも、仙道は宗一郎の胸倉を掴む手を放した。
しまってた気管が開放されて、宗一郎は小さくケホッと咳をする。
仙道はそんな宗一郎を鋭く一瞥して伊織に視線を戻した。
「伊織ちゃんのためなら、オレはいつだって駆けつけるよ」
「またそんなことばっかり言って。でも、ありがとうございます」
「ほんとうだから。あんなやつに伊織ちゃんを任せておけない」
宗一郎の全身に鋭くこちらを睨む仙道の視線が突き刺さった。
今の宗一郎には、その視線と対峙する気力も資格もなかった。
信長といい仙道といい、もういい加減ほっといてほしい。
こっちだって伊織を失って深く傷ついているのに。
(そういえば、仙道はショウとライバル関係だったって、昨日の種田が言ってたっけ)
種田から昨日連絡があったなら、ショウのことだって話しただろうに。
それなのに自分と伊織がまだ付き合っていると信じて疑わない仙道が宗一郎は不思議でならなかった。
伊織の渇いた声が、宗一郎の鼓膜にふれて、ひどく胸を締め付ける。
「……わたしは大丈夫ですよ、彰さん。でも、ありがとうございます」
「……うん。そういえば、さ。昨日種田が言ってたんだけど、笙子ちゃんは来なかったんだって?」
「あ、はい……」
(笙子……?)
仙道の口から発せられた名前に、ふと宗一郎は違和感を覚えて眉を寄せた。
その違和感を解きほぐそうとするように、二人の会話に耳を澄ます。
「種田が笙子ちゃんの話をしたらすごい勢いで拒絶されたって言ってたんだけど……。このまま笙子ちゃんとは会わないつもりなの?」
「だって……。会えません。わたしが前日のシングルスでケガをしたせいで、ショウは3年の全中でダブルスの試合に出れなくなっちゃったんですよ? あんなに一生懸命練習して、頑張ってたのに……。それまでだってたくさんたくさんショウに支えてもらってたのに。それなのにわたし、ショウにそのこと謝りもしないで、避けて、逃げて神奈川まで来たんです。いまさら、どんな顔して会ったらいいのか……」
「でも、待ってるよ。笙子ちゃんは伊織ちゃんのことずっとずっと待ってる」
「でも……!」
「え、ちょっと待って」
そこまで聞いて、宗一郎は嫌な予感にばくばく脈打つ心臓を抑えながら思わず声を滑り込ませた。
今自分は、なんだかとんでもないことに気付いた気がする。
突然声をはさんだ宗一郎に、二人が驚いたように振り返る。
「え?」
「や、ごめん割り込んで。え、でもちょっと待って? ショウって……」
「? 笙子ちゃんだよ?」
きょとんと仙道が答える。
「え?」
「だ~か~ら~! 伊織ちゃんの親友! 上田笙子(しょうこ)ちゃん!」
「……え!?」
瞬間頭が真っ白になった。
宗一郎は混乱する頭を必死で整理する。
ショウ=笙子。上田笙子。
つまり……。
「――!!」
(お、女の子……!?)
自分の途方もない勘違いに気付いて宗一郎はずるずるとその場にしゃがみ込んだ。
膝と膝の間に自身の顔をうずめる。
恥ずかしくて顔をあげられない。
まさかショウが女だったなんて。