20
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まだそんなに暗くないし、一人で帰れるだろ?」
「やだ、宗くん、やだよ……! どうして? 別れたくない! 好きなのに……!」
「うそつき」
「え?」
思わず口をついて出た言葉に、伊織が愕然と動きを止めた。
そんな伊織の手に、宗一郎は無理矢理伊織の鞄を握らせる。
「伊織が愛してるのは俺じゃない。伊織はもう俺を見てないだろ? 俺は、そんな伊織とはもう付き合えない」
「ど、どうして……? なんでそんな話になってるの? わかんない、わかんないよ宗くん! ちゃんと説明してよっ!」
「ごめん。もう伊織と話したくないんだ。しばらくは顔もみたくない」
「そ……んな! なんで……!?」
宗一郎は泣き崩れる伊織から顔を背けて、伊織のからだを強引に体育館の外に押し出した。
「や、宗くん!」
「――さよなら、伊織」
それだけ言って、体育館のドアを閉める。
外から開けられないように、宗一郎は体育館のドアに背をつけて後ろ手でそれをしっかり押さえた。
「やぁ……っ! やだあああ! 宗くん……っ!」
ドアをどんどんと叩く音と、伊織の悲痛な叫び声が背中から伝わってくる。
宗一郎はその振動を受けながら、涙を零す。
「泣きたいのはこっちの方だよ。……伊織!」
外に聞こえないような声で宗一郎はぽつりと呟くと、ドアの外から伊織の気配がなくなるまで、そのままそこで静かに泣き続けた。
翌日。
部活開始時間の2時間前、宗一郎は信長に呼び出されて学校近くの公園にいた。
宗一郎は手元の腕時計で時間を確認する。
待ち合わせの時間まであと10分もないというのに、信長の姿はまだ公園になかった。
宗一郎はふうと重い息を吐き出す。
信長は話があるとだけ言っていたけれど、話とはまず間違いなく伊織のことだろう。
思って宗一郎は憂鬱な気持ちを吐き出すようにもう一度嘆息した。
昨日はよく眠れなかった。
まぶたを閉じても開けても伊織のことを思い出してしまってどうしようもなかった。
宗一郎は目を伏せて足元をじっと見つめる。
(俺、こんなんでインターハイ大丈夫なのかな……)
こんな風にバスケや私生活に影響を及ぼすなんてこれが初めてだった。
それほどまでに深く自分の中心を伊織が占めていたのだと、改めて気付かされる。
(今日、伊織の顔見るのつらいな……)
「神さん!」
ふいに自分の名を呼ばれ、宗一郎は顔をあげた。
名前を呼んだ本人、そして宗一郎を呼び出した張本人でもある信長が、慌てたように走ってこちらまで来る。
「遅いよ、ノブ。先輩を呼び出しといて自分はぎりぎりじゃあダメだろ。他の人にやったら怒られるぞ」
「す、すみません……! ちょっと昨日寝不足で……」
「ふうん」
(それはこっちも同じだよ)
「やだ、宗くん、やだよ……! どうして? 別れたくない! 好きなのに……!」
「うそつき」
「え?」
思わず口をついて出た言葉に、伊織が愕然と動きを止めた。
そんな伊織の手に、宗一郎は無理矢理伊織の鞄を握らせる。
「伊織が愛してるのは俺じゃない。伊織はもう俺を見てないだろ? 俺は、そんな伊織とはもう付き合えない」
「ど、どうして……? なんでそんな話になってるの? わかんない、わかんないよ宗くん! ちゃんと説明してよっ!」
「ごめん。もう伊織と話したくないんだ。しばらくは顔もみたくない」
「そ……んな! なんで……!?」
宗一郎は泣き崩れる伊織から顔を背けて、伊織のからだを強引に体育館の外に押し出した。
「や、宗くん!」
「――さよなら、伊織」
それだけ言って、体育館のドアを閉める。
外から開けられないように、宗一郎は体育館のドアに背をつけて後ろ手でそれをしっかり押さえた。
「やぁ……っ! やだあああ! 宗くん……っ!」
ドアをどんどんと叩く音と、伊織の悲痛な叫び声が背中から伝わってくる。
宗一郎はその振動を受けながら、涙を零す。
「泣きたいのはこっちの方だよ。……伊織!」
外に聞こえないような声で宗一郎はぽつりと呟くと、ドアの外から伊織の気配がなくなるまで、そのままそこで静かに泣き続けた。
翌日。
部活開始時間の2時間前、宗一郎は信長に呼び出されて学校近くの公園にいた。
宗一郎は手元の腕時計で時間を確認する。
待ち合わせの時間まであと10分もないというのに、信長の姿はまだ公園になかった。
宗一郎はふうと重い息を吐き出す。
信長は話があるとだけ言っていたけれど、話とはまず間違いなく伊織のことだろう。
思って宗一郎は憂鬱な気持ちを吐き出すようにもう一度嘆息した。
昨日はよく眠れなかった。
まぶたを閉じても開けても伊織のことを思い出してしまってどうしようもなかった。
宗一郎は目を伏せて足元をじっと見つめる。
(俺、こんなんでインターハイ大丈夫なのかな……)
こんな風にバスケや私生活に影響を及ぼすなんてこれが初めてだった。
それほどまでに深く自分の中心を伊織が占めていたのだと、改めて気付かされる。
(今日、伊織の顔見るのつらいな……)
「神さん!」
ふいに自分の名を呼ばれ、宗一郎は顔をあげた。
名前を呼んだ本人、そして宗一郎を呼び出した張本人でもある信長が、慌てたように走ってこちらまで来る。
「遅いよ、ノブ。先輩を呼び出しといて自分はぎりぎりじゃあダメだろ。他の人にやったら怒られるぞ」
「す、すみません……! ちょっと昨日寝不足で……」
「ふうん」
(それはこっちも同じだよ)